第三項 案ずるよりも
文字数 1,342文字
「どうしたら、どうしたらいいんですか?お願いです……私に未来を……未来を教えてください!」
30代の主婦が、泣き腫らした目で占い師に縋っています。
「あの子が帰ってきてくれたのに、今度は夫が暴力を……わたし、もうどうしていいか……」
「大丈夫よ」
いつものように、占い師が可愛らしい包を手渡し
「お仏壇をお掃除して、位牌の並べ方を変えなさい。目上の方を右上にね。それから、お線香と一緒にこれを焚いて御覧なさい」
包の中には、いつもの”お香”が入っているようです。
「あとはご主人がお休みになった後、そっと寝室にお行きなさい。そうすれば、夫婦仲が良くなるわ」
「あ、ありがとうございます!」
こうして主婦は、包を受け取ってしまいました。その晩自分が、眠った夫を殴り殺すことになるとも知らず。夫のゴルフクラブで、彼の頭を叩き割ってしまうのに……
「ねぇサキ」
「なあに?」
「最近暗いよ。何か悩み事?」
お姉さんキャラのアマノが心配してくれます。今は午後1時、下校途中です。え?1時の下校って早すぎるって?それは今日が土曜日だからです。
「別に悩んでなんか……そんなことより、お昼何食べる?」
土曜日は午前中だけなので、帰りにどこかでお昼を食べようということになりました。もちろん、お小遣いとの兼ね合いもあるので、学食かファーストフードになるんですけどね。
「アマノ先輩。そんなのぉ~、わかりきってるじゃないですかぁ~」
せっかく話を逸らしたのに、メグが寝た子を起こします。話題を復活させるのです。とぉ~っても楽しそうに。
「蓮野さんがいなくなっちゃったからですよぉ~」
さあ、”サキちゃんで遊ぼう!”ってな目つきで、”That's好奇心”を私に向けてきます。
「あのねぇ~」
半分当たりですが、半分ハズレです。だってメグたちは、彼が戦う姿、裏の顔を知らないのですから。
「家はわかってるんだし、行ってみましょうよ?」
「そんな!男性の部屋に行くなんて、そんなことできないよ!」
「そうかなぁ~?蓮野さん、喜ぶと思うけどなぁ~」
どうしてメグは、私たちをくっつけたがるのでしょう?今も納得がいかないらしく、次のアイデアを検討中です。
「あ、そうだ!」
メグの頭の上に、電球マーク。なにかが閃いた合図です。
「な、なにを……”思いついちゃった”の?」
恐る恐る聞いてみると
「お弁当作ってください!」
「お弁当?」
「はい!蓮野さん、先輩のお弁当”美味しい”って言ってたじゃないですか」
「そ、そういえばそんなことが」
卵焼きを略奪された、残念な思い出が去来します。
「だからお弁当を持って家に」
「ちょっと待って!いきなり、”お久しぶりです。はい、お弁当”って、押しかけるの?それはいくらなんでも」
「う~~~ん……ちょっと不自然かなぁ~」
”ちょっと”というか、かなり不自然です。ある日突然、理由も無くお弁当を持ってくる女子高生。皆さんだったらどう思います?
「じゃあ、最後の手段に出るしかないですね」
「さ、最後の手段?」
今度は何を言い出すつもりでしょう?そもそも最後の手段って……
「大学に行ってみませんか?」
「え?」
「私の兄貴も、聖都大に通ってるんです」
30代の主婦が、泣き腫らした目で占い師に縋っています。
「あの子が帰ってきてくれたのに、今度は夫が暴力を……わたし、もうどうしていいか……」
「大丈夫よ」
いつものように、占い師が可愛らしい包を手渡し
「お仏壇をお掃除して、位牌の並べ方を変えなさい。目上の方を右上にね。それから、お線香と一緒にこれを焚いて御覧なさい」
包の中には、いつもの”お香”が入っているようです。
「あとはご主人がお休みになった後、そっと寝室にお行きなさい。そうすれば、夫婦仲が良くなるわ」
「あ、ありがとうございます!」
こうして主婦は、包を受け取ってしまいました。その晩自分が、眠った夫を殴り殺すことになるとも知らず。夫のゴルフクラブで、彼の頭を叩き割ってしまうのに……
「ねぇサキ」
「なあに?」
「最近暗いよ。何か悩み事?」
お姉さんキャラのアマノが心配してくれます。今は午後1時、下校途中です。え?1時の下校って早すぎるって?それは今日が土曜日だからです。
「別に悩んでなんか……そんなことより、お昼何食べる?」
土曜日は午前中だけなので、帰りにどこかでお昼を食べようということになりました。もちろん、お小遣いとの兼ね合いもあるので、学食かファーストフードになるんですけどね。
「アマノ先輩。そんなのぉ~、わかりきってるじゃないですかぁ~」
せっかく話を逸らしたのに、メグが寝た子を起こします。話題を復活させるのです。とぉ~っても楽しそうに。
「蓮野さんがいなくなっちゃったからですよぉ~」
さあ、”サキちゃんで遊ぼう!”ってな目つきで、”That's好奇心”を私に向けてきます。
「あのねぇ~」
半分当たりですが、半分ハズレです。だってメグたちは、彼が戦う姿、裏の顔を知らないのですから。
「家はわかってるんだし、行ってみましょうよ?」
「そんな!男性の部屋に行くなんて、そんなことできないよ!」
「そうかなぁ~?蓮野さん、喜ぶと思うけどなぁ~」
どうしてメグは、私たちをくっつけたがるのでしょう?今も納得がいかないらしく、次のアイデアを検討中です。
「あ、そうだ!」
メグの頭の上に、電球マーク。なにかが閃いた合図です。
「な、なにを……”思いついちゃった”の?」
恐る恐る聞いてみると
「お弁当作ってください!」
「お弁当?」
「はい!蓮野さん、先輩のお弁当”美味しい”って言ってたじゃないですか」
「そ、そういえばそんなことが」
卵焼きを略奪された、残念な思い出が去来します。
「だからお弁当を持って家に」
「ちょっと待って!いきなり、”お久しぶりです。はい、お弁当”って、押しかけるの?それはいくらなんでも」
「う~~~ん……ちょっと不自然かなぁ~」
”ちょっと”というか、かなり不自然です。ある日突然、理由も無くお弁当を持ってくる女子高生。皆さんだったらどう思います?
「じゃあ、最後の手段に出るしかないですね」
「さ、最後の手段?」
今度は何を言い出すつもりでしょう?そもそも最後の手段って……
「大学に行ってみませんか?」
「え?」
「私の兄貴も、聖都大に通ってるんです」