第六項 救出
文字数 1,681文字
突進してくるミノタウロスに、俺は斬撃を見舞った。
「硬っ!腕がジーンだ」
皮膚の下に、軽量で硬いチタン合金製のアーマーを仕込んでいるかのよう、ミノタウロスはとんでもない硬さだった。惨殺するのは難しそうだ。しかもコイツ、俺の斬激に耐えられたのが嬉しかったらしい。猛牛を思わせる雄叫びを上げて、真直ぐ突進してきた。なんというか、キャラ設定に従順な、真面目君みたいだ。俺も、赤いマントを持ってくればよかった。
「おらよっ!」
刀を真直ぐに構え、奴に向かって走る。そしてヤツの口に、刀を突き立ててやった。
「内側は鍛えられないだろ?化け物だって、それは同じだ」
口から上を切り裂いて、ヤツの頭部を吹き飛ばす。そして俺は、ヤツの喉元に手榴弾をねじ込んだ。
急に語り部が代わっててごめんね。あんまりサキちゃんに、惨い戦闘の実況中継をさせたくなくってね。とくに最後の、手榴弾が内部で爆発して、”ボンッ!”って内側から吹き飛ぶ様子とか、正直残酷すぎるからね。
おっと!時間が来たみたいだ。俺が突入してから7分53秒。仲間が援護と称して突入してくる。中年の戦闘員である蓮野夫婦とヤスの3人だ。彼らは新世会の非戦闘員を制圧、通信手段を破壊してからここに来る。え?時間が中途半端だって?まあ、子供の成長イベント、七五三からとった数字だからね。
おっ!仲間が部屋に雪崩れ込んできた。ヤスが真っ先にメグちゃんの拘束を解いている。泣き崩れる妹を、あいつも泣きながらが抱きしめてる。何はともあれ、よかったよかった。
「こっちだ。急ぎたまえ」
3人の拘束を解いて、蓮野夫婦の夫が少女たちを連れ出す。すべてが計画通りだ。おっとイケナイ。ホッとしたら油断が生まれちまった。俺と鍔迫り合いをしていた鬼型の化け物が、俺を無視してみんなに襲いかかった。蓮野夫婦はマシンガンでこれを迎撃したが、サキちゃんが逃げ遅れる。
「ちぃっ!」
俺は鬼に踊りかかり、その背中を切り裂いた。そこにまた、手榴弾を詰め込んでっと。俺はサキちゃんを庇いながら床に伏せる。
「きゃあああああ!」
爆発で鬼は破壊され、とりあえず危機は去った。
さて、もうしばらくサキちゃんを抱きしめていたいけど、セクハラになる前に起き上がるかな。
「あ、あの……」
腕の中で泣いている少女……やばい!これ以上この娘に近づくと、彼女の魅力に溺れそうだ。そんなんで見とれてたりするから
「蓮野さん!扉が」
閉じちまった。彼女を逃がすのに失敗した。
「やれやれ……2人っきり……じゃなさそうだ」
2人っきりなら、密室も大歓迎なんだけどね。
「お兄……お兄……」
メグはまだ泣いていました。いつもは生意気な妹ですが、今はこんなに小さく、弱くていじらしい存在です。
俺もさっきまでずっと泣いていました。メグを助けられてよかった。
「ほらメグちゃん、涙を拭いて。ヤス君も」
助けてくれた女性が、俺たち兄妹にハンカチを貸してくれます。新世会の連中を制圧していたときとはまるで別人の、優しいお母さんな笑顔です。
「あ、ありがとうございます」
すみません。また語り部が代わりました。蓮さんたちは結界の中なので、代わりにヤスがお伝えします。
「よう。みんな無事で何よりだ」
嶋田教授がいらっしゃいました。ここは教授の所有するトレーラーの中です。
「嶋田、スメラギからの指示は?」
「今は待機だそうだ」
嶋田教授は蓮野さんと話したあと、俺たちの前に座りました。
「サキというお嬢ちゃんのことも心配するな。蓮がいっしょなら大丈夫だ」
「あ、あの……教授」
「ん?」
「教授と蓮さんって、どういう関係なんですか?蓮さん、さっき教授のこと呼び捨てにしてたし。なんていうか……」
「ああ、話してなかったな。蓮は俺たちのリーダーなんだよ」
「へ?だって、蓮さんは21歳ですよ?教授たちのリーダーって……」
「まあ、細かい話はおいおいな。今はこの戦いに勝つことだけを考えよう」
「は、はい!」
そうなんです。蓮さんたちは今も、新世会と戦っているんです。
「硬っ!腕がジーンだ」
皮膚の下に、軽量で硬いチタン合金製のアーマーを仕込んでいるかのよう、ミノタウロスはとんでもない硬さだった。惨殺するのは難しそうだ。しかもコイツ、俺の斬激に耐えられたのが嬉しかったらしい。猛牛を思わせる雄叫びを上げて、真直ぐ突進してきた。なんというか、キャラ設定に従順な、真面目君みたいだ。俺も、赤いマントを持ってくればよかった。
「おらよっ!」
刀を真直ぐに構え、奴に向かって走る。そしてヤツの口に、刀を突き立ててやった。
「内側は鍛えられないだろ?化け物だって、それは同じだ」
口から上を切り裂いて、ヤツの頭部を吹き飛ばす。そして俺は、ヤツの喉元に手榴弾をねじ込んだ。
急に語り部が代わっててごめんね。あんまりサキちゃんに、惨い戦闘の実況中継をさせたくなくってね。とくに最後の、手榴弾が内部で爆発して、”ボンッ!”って内側から吹き飛ぶ様子とか、正直残酷すぎるからね。
おっと!時間が来たみたいだ。俺が突入してから7分53秒。仲間が援護と称して突入してくる。中年の戦闘員である蓮野夫婦とヤスの3人だ。彼らは新世会の非戦闘員を制圧、通信手段を破壊してからここに来る。え?時間が中途半端だって?まあ、子供の成長イベント、七五三からとった数字だからね。
おっ!仲間が部屋に雪崩れ込んできた。ヤスが真っ先にメグちゃんの拘束を解いている。泣き崩れる妹を、あいつも泣きながらが抱きしめてる。何はともあれ、よかったよかった。
「こっちだ。急ぎたまえ」
3人の拘束を解いて、蓮野夫婦の夫が少女たちを連れ出す。すべてが計画通りだ。おっとイケナイ。ホッとしたら油断が生まれちまった。俺と鍔迫り合いをしていた鬼型の化け物が、俺を無視してみんなに襲いかかった。蓮野夫婦はマシンガンでこれを迎撃したが、サキちゃんが逃げ遅れる。
「ちぃっ!」
俺は鬼に踊りかかり、その背中を切り裂いた。そこにまた、手榴弾を詰め込んでっと。俺はサキちゃんを庇いながら床に伏せる。
「きゃあああああ!」
爆発で鬼は破壊され、とりあえず危機は去った。
さて、もうしばらくサキちゃんを抱きしめていたいけど、セクハラになる前に起き上がるかな。
「あ、あの……」
腕の中で泣いている少女……やばい!これ以上この娘に近づくと、彼女の魅力に溺れそうだ。そんなんで見とれてたりするから
「蓮野さん!扉が」
閉じちまった。彼女を逃がすのに失敗した。
「やれやれ……2人っきり……じゃなさそうだ」
2人っきりなら、密室も大歓迎なんだけどね。
「お兄……お兄……」
メグはまだ泣いていました。いつもは生意気な妹ですが、今はこんなに小さく、弱くていじらしい存在です。
俺もさっきまでずっと泣いていました。メグを助けられてよかった。
「ほらメグちゃん、涙を拭いて。ヤス君も」
助けてくれた女性が、俺たち兄妹にハンカチを貸してくれます。新世会の連中を制圧していたときとはまるで別人の、優しいお母さんな笑顔です。
「あ、ありがとうございます」
すみません。また語り部が代わりました。蓮さんたちは結界の中なので、代わりにヤスがお伝えします。
「よう。みんな無事で何よりだ」
嶋田教授がいらっしゃいました。ここは教授の所有するトレーラーの中です。
「嶋田、スメラギからの指示は?」
「今は待機だそうだ」
嶋田教授は蓮野さんと話したあと、俺たちの前に座りました。
「サキというお嬢ちゃんのことも心配するな。蓮がいっしょなら大丈夫だ」
「あ、あの……教授」
「ん?」
「教授と蓮さんって、どういう関係なんですか?蓮さん、さっき教授のこと呼び捨てにしてたし。なんていうか……」
「ああ、話してなかったな。蓮は俺たちのリーダーなんだよ」
「へ?だって、蓮さんは21歳ですよ?教授たちのリーダーって……」
「まあ、細かい話はおいおいな。今はこの戦いに勝つことだけを考えよう」
「は、はい!」
そうなんです。蓮さんたちは今も、新世会と戦っているんです。