第十項 逢いに来て
文字数 1,458文字
「ちぃっ!あの時と同じか」
急展開でごめんなさい。ここからは蓮野さんのお話です。煙と炎が立ち上る、交差点での出来事です。私たちが蓮野さんを探しているとき、戦いは始まったのです。
「得体の知れない殺人、連日の通り魔事件で不安を煽って、シメは市街地でのテロ。あのときと同じ手口だ」
この街で起きていることに、彼は覚えがあるようです。
テロで狙われるのって、要人が集まる政治と司法の中心地だと思いませんか?でも、実はそうじゃないんです。戦争でもそうですが、中心部が狙われるのは最後の最後です。だって、軍のトップや政治家さんがやられちゃったら、誰も”敗戦”を決断できませんからね。
話がそれてしまいました。とにかく今、私たちの住む街で、テロが発生しています。角に銀行とデパートが並ぶ交差点。五十日(ごとおび)なんかは、みんなが列を作って大混雑です。え?ゴトオビって何かって?それはですね、”5の倍数の日付と月末”のことです。お給料や年金って、この五十日に振込まれることが多いそうです。ですから、五十日に銀行とかに行くと、ATMとか窓口が、とっても混んでいると思いませんか?
戦いの舞台は、そんな密集地帯です。9月30日金曜日の駅前交差点。お金の引き出しや振込みで、お昼からごった返していました。デパートもこのタイミングで売り上げを伸ばそうと、バーゲンを開いています。通り魔とか暴走車が送り込まれたりしたら、大惨事間違いなしのステージです。
「予想どおりだった。予想どおりなんたけどさ」
彼の読みどおり、敵は今日仕掛けてきました。場所もドンピシャで、最初のプレリュード感染者が現れると同時に、速攻で撃破できたようです。ですが彼は動揺しています。
「余計な工夫しやがって」
なにか不都合があったのでしょうか?
「くっそ、どうする?」
交差点中央に突っ込んできた暴走トレーラー。中から出てきた化け物の巨躯と、それが大爆発。そこはもうパニックです。大パニックです。道路は渋滞と化し、群衆が溢れています。とてもじゃありませんが、歩いて移動することなんてできません。
「面倒くせぇ!」
乱暴ですが、彼は立ち往生している自動車の屋根の上を飛び回りました。お行儀悪いかもしれませんが、それだけ必死だったのです。一体何をそんなに焦っているのでしょう?
「もう一匹はどこだ!?」
もう一匹?どうも、交差点には二匹の化物が現れるはずだったようです。周囲を見渡す、黒コートの蓮野さん。そんな彼を
「蓮野さん!」
アマノが呼び止めました。
「無事でいろよ!」
アマノから事情を聞いた蓮野さんは
「なんだってこんなときに」
自分を抑えられなかったようです。
「あの小娘は!」
私のことを心配してくれているみたいです。小娘呼ばわりされちゃってますが……
彼は、アマノから聞いた情報をもとに、私を助けに来てくれました。一緒に道路を渡ろうとしたとき、後ろで逃げ遅れた老夫婦と子供を助けようとして、私はアマノたちとはぐれてしまったのです。
彼の視界に、私と化け物が映ります。鬼なのに、巨大なガトリングガンを装備したそれが、銃口を私に向けました。今まさに、引き金が引かれようとしています。
「させるか!」
彼は銀色の悪魔を召喚し
「は、蓮野さん?」
化け物を吹き飛ばしました。銀色の人影が、化け物の横っ面を殴打したのです。
「来い!」
子供を抱きかかえ、震えながら庇っている私を
「きゃああああああ!?」
ショッピングモールに連れ込みました。
急展開でごめんなさい。ここからは蓮野さんのお話です。煙と炎が立ち上る、交差点での出来事です。私たちが蓮野さんを探しているとき、戦いは始まったのです。
「得体の知れない殺人、連日の通り魔事件で不安を煽って、シメは市街地でのテロ。あのときと同じ手口だ」
この街で起きていることに、彼は覚えがあるようです。
テロで狙われるのって、要人が集まる政治と司法の中心地だと思いませんか?でも、実はそうじゃないんです。戦争でもそうですが、中心部が狙われるのは最後の最後です。だって、軍のトップや政治家さんがやられちゃったら、誰も”敗戦”を決断できませんからね。
話がそれてしまいました。とにかく今、私たちの住む街で、テロが発生しています。角に銀行とデパートが並ぶ交差点。五十日(ごとおび)なんかは、みんなが列を作って大混雑です。え?ゴトオビって何かって?それはですね、”5の倍数の日付と月末”のことです。お給料や年金って、この五十日に振込まれることが多いそうです。ですから、五十日に銀行とかに行くと、ATMとか窓口が、とっても混んでいると思いませんか?
戦いの舞台は、そんな密集地帯です。9月30日金曜日の駅前交差点。お金の引き出しや振込みで、お昼からごった返していました。デパートもこのタイミングで売り上げを伸ばそうと、バーゲンを開いています。通り魔とか暴走車が送り込まれたりしたら、大惨事間違いなしのステージです。
「予想どおりだった。予想どおりなんたけどさ」
彼の読みどおり、敵は今日仕掛けてきました。場所もドンピシャで、最初のプレリュード感染者が現れると同時に、速攻で撃破できたようです。ですが彼は動揺しています。
「余計な工夫しやがって」
なにか不都合があったのでしょうか?
「くっそ、どうする?」
交差点中央に突っ込んできた暴走トレーラー。中から出てきた化け物の巨躯と、それが大爆発。そこはもうパニックです。大パニックです。道路は渋滞と化し、群衆が溢れています。とてもじゃありませんが、歩いて移動することなんてできません。
「面倒くせぇ!」
乱暴ですが、彼は立ち往生している自動車の屋根の上を飛び回りました。お行儀悪いかもしれませんが、それだけ必死だったのです。一体何をそんなに焦っているのでしょう?
「もう一匹はどこだ!?」
もう一匹?どうも、交差点には二匹の化物が現れるはずだったようです。周囲を見渡す、黒コートの蓮野さん。そんな彼を
「蓮野さん!」
アマノが呼び止めました。
「無事でいろよ!」
アマノから事情を聞いた蓮野さんは
「なんだってこんなときに」
自分を抑えられなかったようです。
「あの小娘は!」
私のことを心配してくれているみたいです。小娘呼ばわりされちゃってますが……
彼は、アマノから聞いた情報をもとに、私を助けに来てくれました。一緒に道路を渡ろうとしたとき、後ろで逃げ遅れた老夫婦と子供を助けようとして、私はアマノたちとはぐれてしまったのです。
彼の視界に、私と化け物が映ります。鬼なのに、巨大なガトリングガンを装備したそれが、銃口を私に向けました。今まさに、引き金が引かれようとしています。
「させるか!」
彼は銀色の悪魔を召喚し
「は、蓮野さん?」
化け物を吹き飛ばしました。銀色の人影が、化け物の横っ面を殴打したのです。
「来い!」
子供を抱きかかえ、震えながら庇っている私を
「きゃああああああ!?」
ショッピングモールに連れ込みました。