牧場
文字数 1,226文字
一匹の巨大翼竜が草食恐竜の群れの上を飛んでいた。
それは、徐々に高度を下げると群れから遅れた一匹のマイアサウラを背後から追い立て始めた。林へ隠れようと逃げるマイアサウラを、木陰から1匹のティラノサウルスが突如襲った。彼は楽に獲物を手に入れることができた。彼は獲物を林の手前の開けた場所へと運んだ。しかし、その獲物にすぐには手をつけなかった。そう、彼は今回の狩の相棒である翼竜を待っていたのだ。いや、正確にはその背中のものを待っていた。その翼竜は、現代では未発見の種族であり、仮にウィンガロンとしておこう。
光沢のある緋色の体の翼竜は地上に静かに降りた。背中から小さな虫が降りた。いや、虫ではない。周りの恐竜たちが巨大すぎてそれが小さく見えたのだ。それは二足で歩き、人のように見えた。しかし、体表は毛のような緑色の鱗状のもので覆われており短い尻尾があった。それこそがシナプスだった。
シナプスはティラノサウルスの獲物に何かをつきたてた。そして、その巨大な死肉を解体し始めた。人型の小さな生物はナイフを使い肉の塊を3つに分けた。ティラノサウルスとウィンガロンは1つづつ食べ始めた。そして、残りの塊を抱えると、ウィンガロンの背中に乗った。
ここは、彼らの牧場だった。彼らは放牧している草食恐竜を追いたて、狩りをおこなっていたのだ。肉が集まると、ティラノサウルスを残し、小さな島へウィンガロンたちは引き上げていった。
島の地表にはたくさんの翼竜たちが暮らしていた。シナプスは小さなトカゲ型の恐竜に乗り換えて、洞窟に消えた。
真っ暗な洞窟を2時間ほど走ると突然薄明るい巨大な白い広場に出た。地下2千メートルはあろうか。本来であれば真っ暗な気温70度にもなる地下世界であるはずの場所がなぜ明るいのか。それは天井にあいた巨大きな穴から太陽光が差込み周りの鍾乳石に反射して洞窟全体をうっすらと照らしていたのだ。穴の淵は地上では滝になっていた。しかし、2千メートルの深さゆえ、水は小さな水滴となり地熱による上昇気流に乗り、底まで届くことはなかった。
どうして彼らがそこに住みついたかはわからない。ただ、昔から住んでおり、彼らは地上へ出るためにトカゲを馬代わりとし、翼竜を飛行機代わりにしていた。もっともトカゲにしても翼竜にしてもメリットはあった。もともとトカゲは翼竜の食料だった。しかし、翼竜が牧場で狩りをするようになってからは、トカゲは島の食物連鎖の頂点になった。翼竜にしてみても楽に大型の獲物を得られる牧場は魅力だった。
そして、狩りの大事な相棒ティラノサウルスも苦労して食物を得なくてもよい。おかげで、手はさらに小型化した。
裸子植物の時代、高温多湿の環境下では農業は発達しなかった。当時の植物には栄養価の高い果肉は無かったし、シダ等の草ならば、大型の恐竜が食べ散らかした草原でも、放っておけば数日も経たずに、一面が緑の草地に成長した。
それは、徐々に高度を下げると群れから遅れた一匹のマイアサウラを背後から追い立て始めた。林へ隠れようと逃げるマイアサウラを、木陰から1匹のティラノサウルスが突如襲った。彼は楽に獲物を手に入れることができた。彼は獲物を林の手前の開けた場所へと運んだ。しかし、その獲物にすぐには手をつけなかった。そう、彼は今回の狩の相棒である翼竜を待っていたのだ。いや、正確にはその背中のものを待っていた。その翼竜は、現代では未発見の種族であり、仮にウィンガロンとしておこう。
光沢のある緋色の体の翼竜は地上に静かに降りた。背中から小さな虫が降りた。いや、虫ではない。周りの恐竜たちが巨大すぎてそれが小さく見えたのだ。それは二足で歩き、人のように見えた。しかし、体表は毛のような緑色の鱗状のもので覆われており短い尻尾があった。それこそがシナプスだった。
シナプスはティラノサウルスの獲物に何かをつきたてた。そして、その巨大な死肉を解体し始めた。人型の小さな生物はナイフを使い肉の塊を3つに分けた。ティラノサウルスとウィンガロンは1つづつ食べ始めた。そして、残りの塊を抱えると、ウィンガロンの背中に乗った。
ここは、彼らの牧場だった。彼らは放牧している草食恐竜を追いたて、狩りをおこなっていたのだ。肉が集まると、ティラノサウルスを残し、小さな島へウィンガロンたちは引き上げていった。
島の地表にはたくさんの翼竜たちが暮らしていた。シナプスは小さなトカゲ型の恐竜に乗り換えて、洞窟に消えた。
真っ暗な洞窟を2時間ほど走ると突然薄明るい巨大な白い広場に出た。地下2千メートルはあろうか。本来であれば真っ暗な気温70度にもなる地下世界であるはずの場所がなぜ明るいのか。それは天井にあいた巨大きな穴から太陽光が差込み周りの鍾乳石に反射して洞窟全体をうっすらと照らしていたのだ。穴の淵は地上では滝になっていた。しかし、2千メートルの深さゆえ、水は小さな水滴となり地熱による上昇気流に乗り、底まで届くことはなかった。
どうして彼らがそこに住みついたかはわからない。ただ、昔から住んでおり、彼らは地上へ出るためにトカゲを馬代わりとし、翼竜を飛行機代わりにしていた。もっともトカゲにしても翼竜にしてもメリットはあった。もともとトカゲは翼竜の食料だった。しかし、翼竜が牧場で狩りをするようになってからは、トカゲは島の食物連鎖の頂点になった。翼竜にしてみても楽に大型の獲物を得られる牧場は魅力だった。
そして、狩りの大事な相棒ティラノサウルスも苦労して食物を得なくてもよい。おかげで、手はさらに小型化した。
裸子植物の時代、高温多湿の環境下では農業は発達しなかった。当時の植物には栄養価の高い果肉は無かったし、シダ等の草ならば、大型の恐竜が食べ散らかした草原でも、放っておけば数日も経たずに、一面が緑の草地に成長した。