攻撃
文字数 1,382文字
その時、空にオーロラが出現した。北海道でも滅多に見れるものではない。
「愚かな人間もいたものだ。ちょっと出かける。」
アルマはオーロラの中心へと飛んで行った。
「攻撃が始まった。」
瑠真は震えていた。
「バカな。自殺行為だ。」
教授は瑠真を抱えて吐き捨ているように言った。
「目標確認しました。全軍、総攻撃に移りました。」
国連の一室ではアメリカ大統領が報告を受けていた。
「バカなサルどもだ。ゴルフをして、ひよっこの小僧に行方不明者の遺骨を何体か返させたら、尻尾を振って攻撃許可を出すんだからな。国民の命など何とも思ってないらしい。」
「うちは、北方のうち2島をやってもいいといったら、喜んで攻撃許可をした。」
「竹島から手を引くといったら許可したぜ。」
「こっちは、尖閣の開発を止めるだけでOKだった。」
「商業捕鯨再開に賛成するといったら、了承したよ。」
「阿呆のやつがトップだと国民はかわいそうだな。」
「ジャップに、かわいそうもないだろ。」
「泊の原発が暴走した。それだけのことだ。気にすることはない。」
あらゆる国からのミサイルが成層圏を超えて日本を目指していた。
アルマは遥か上空にいた。かれは、自分の体毛を何本か抜くと空中にばらまいた。落下してくるミサイルはステルス毛に当たり次々に互いに接触し爆発した。上空で爆発したミサイルにより、強烈な電磁波が発生する。それは、他のミサイルの制御を乱し、さらなる誤爆を招いた。
北海道の夜空には、季節外れの花火がいつまでも輝いていた。
電子機器が使えなくなると、もはや戦闘機も飛ばせない。戦車も弾道計算ができない。現地では混乱が続いた。現場の自衛官には何も知らされていない。かれらは見捨てられたのだ。
夜が明けてしばらくすると、アルマが帰ってきた。
「人間は愚かだな。おとなしく飼われるんだな。その前に、女。お前の能力は魅力的だ。その遺伝子を調べてやろう。」
いきなりのことで逃げることもできなかった。富羅は、アルマに丸呑みにされた。アルマの体はゴム風船のように膨らんだ。
「富羅!」
瑠真は教授の手を振りほどくと、アルマの口の中に左腕を突っ込んだ。
ブシュー
瑠真は左腕をアルマに食いちぎられ、薄赤い血があたりに飛び散った。
「私は、少し休まねばならない。邪魔するんじゃない。」
アルマは苦しそうに飛び立った。ふらついていた。北へ向かうが、いまにも落ちそうだ。瑠真の体はアルマの細胞によってすぐに傷口が閉じた。
アルマは弁天島に降りた。島の頂上で丸くうつぶせになった。
電磁波が乱れては、自衛隊も動けない。中央からの指示が出るまで、現地で待機する他はなかった。シナプスは消えた。安蔵と瑠真と教授は、弁天島に向かった。
島の上で、アルマは苦しんでいる。明らかに様子がおかしい。
「お前、何をした。」
アルマは、瑠真に向かって低くうめいた。
「僕の細胞を入れた。お前の細胞をアポトーシスさせる。」
「そうか、細胞の自滅プログラムを発動させたのか。量が多いな。人間はやはり愚かだ。お前も死ぬんだぞ。」
そういうと、静かに息絶えた。
「父さん、そろそろ逝くよ。母さんにも伝えて。」
アルマと瑠真の体が崩れ始めた。半日ほどすると二人の体は完全に溶けてしまった。
「愚かな人間もいたものだ。ちょっと出かける。」
アルマはオーロラの中心へと飛んで行った。
「攻撃が始まった。」
瑠真は震えていた。
「バカな。自殺行為だ。」
教授は瑠真を抱えて吐き捨ているように言った。
「目標確認しました。全軍、総攻撃に移りました。」
国連の一室ではアメリカ大統領が報告を受けていた。
「バカなサルどもだ。ゴルフをして、ひよっこの小僧に行方不明者の遺骨を何体か返させたら、尻尾を振って攻撃許可を出すんだからな。国民の命など何とも思ってないらしい。」
「うちは、北方のうち2島をやってもいいといったら、喜んで攻撃許可をした。」
「竹島から手を引くといったら許可したぜ。」
「こっちは、尖閣の開発を止めるだけでOKだった。」
「商業捕鯨再開に賛成するといったら、了承したよ。」
「阿呆のやつがトップだと国民はかわいそうだな。」
「ジャップに、かわいそうもないだろ。」
「泊の原発が暴走した。それだけのことだ。気にすることはない。」
あらゆる国からのミサイルが成層圏を超えて日本を目指していた。
アルマは遥か上空にいた。かれは、自分の体毛を何本か抜くと空中にばらまいた。落下してくるミサイルはステルス毛に当たり次々に互いに接触し爆発した。上空で爆発したミサイルにより、強烈な電磁波が発生する。それは、他のミサイルの制御を乱し、さらなる誤爆を招いた。
北海道の夜空には、季節外れの花火がいつまでも輝いていた。
電子機器が使えなくなると、もはや戦闘機も飛ばせない。戦車も弾道計算ができない。現地では混乱が続いた。現場の自衛官には何も知らされていない。かれらは見捨てられたのだ。
夜が明けてしばらくすると、アルマが帰ってきた。
「人間は愚かだな。おとなしく飼われるんだな。その前に、女。お前の能力は魅力的だ。その遺伝子を調べてやろう。」
いきなりのことで逃げることもできなかった。富羅は、アルマに丸呑みにされた。アルマの体はゴム風船のように膨らんだ。
「富羅!」
瑠真は教授の手を振りほどくと、アルマの口の中に左腕を突っ込んだ。
ブシュー
瑠真は左腕をアルマに食いちぎられ、薄赤い血があたりに飛び散った。
「私は、少し休まねばならない。邪魔するんじゃない。」
アルマは苦しそうに飛び立った。ふらついていた。北へ向かうが、いまにも落ちそうだ。瑠真の体はアルマの細胞によってすぐに傷口が閉じた。
アルマは弁天島に降りた。島の頂上で丸くうつぶせになった。
電磁波が乱れては、自衛隊も動けない。中央からの指示が出るまで、現地で待機する他はなかった。シナプスは消えた。安蔵と瑠真と教授は、弁天島に向かった。
島の上で、アルマは苦しんでいる。明らかに様子がおかしい。
「お前、何をした。」
アルマは、瑠真に向かって低くうめいた。
「僕の細胞を入れた。お前の細胞をアポトーシスさせる。」
「そうか、細胞の自滅プログラムを発動させたのか。量が多いな。人間はやはり愚かだ。お前も死ぬんだぞ。」
そういうと、静かに息絶えた。
「父さん、そろそろ逝くよ。母さんにも伝えて。」
アルマと瑠真の体が崩れ始めた。半日ほどすると二人の体は完全に溶けてしまった。