狩り

　ある日、パイソンが朝からうずくまっていた。具合が悪いのか食事もとらない。２日後の朝、ジャバヤは彼の異変に気付いた。彼の手足にするどい爪が生え、真っ白だった四足は灰褐色に変わっていた。
　それは、シナプスたちが馬代わりにしているトカゲの色に似ていた。
「まさかな。」
　数日前に、島で最大のトカゲが忽然と消えたという事件があったばかりだった。

　ジャバヤはパイソンに乗ると狩りの練習に出た。ベシカについて牧場へ行くと、パイソンの変化に気づいたマイアサウラたちが一斉に逃げ出した。彼らはまだ相棒となるティラノサウルスを決めていない。そのため狩りの真似事のつもりで、一頭のマイアサウラの上につけた。突然パイソンが巨体のマイアサウラをするどい爪でつかむと、そのまま飛び上がった。驚いたのは背中にいたジャバヤであった。パイソンはマイアサウラをつかんだまま高く上がると、それを放した。翼のないマイアサウラは、そのまま地面に落下した。激しい衝突音とともに、彼は息絶えた。

　ジャバヤは興奮したが、ベシカは当分パイソンに狩りをさせるのを禁じた。彼が、牧場の秩序を乱すと感じたからだった。その後、しばらくパイソンが海で魚たちを相手に狩りの練習をする光景が見られた。
　やがて、パイソンが牧場で狩りをする光景を見かけたものが現れた。彼が子供のマイアサウラを丸呑みにしていたというのだ。数日後、彼の貧弱な尻尾は立派な長さに成長していた。

　ついに、決定的な瞬間が訪れる。パイソンが牧場のティラノサウルを襲ったというのである。
「もはや、パイソンは我々の手に負えない。始末するしかない。」
　長の決定は絶対だった。それは、地球の意思なのだ。