景色
文字数 726文字
「失敗したらどうしよう。」
富羅は相変わらずのエンジのジャージ姿で、瑠真と同じベッドの真っ白なシーツの上に並んで体育座りをした。
「気にすることはないさ。誰も僕らに期待してないよ。」
気休めなのか、ずいぶんと気楽なことをいう。
「ところで、気になっていたんだが、いつも同じファッションだけど流行りなの?」
いやいや、万年Tシャツ、ジーンズの君には言われたくない。
「普段は、ちゃんと3日おきに替えてます。いまは非常時だから一週間おきだけど・・・。」
「ふふふ。いつもの君だ。」
怒ったせいか不安が和らいだ。こいつなりに気を使ってくれたのか。
「なんでだろ。君といるときが一番落ち着くよ。自然の中にいるような香りがする。」
え?こんなこというやつだったっけ。
「どうせ、色気のないバカで地味な女ですから。」
あ~、やっちゃった。どうしも素直になれないんだよな。
「そうか、僕とおんなじだね。」
「ねえ、背中あわせていい?」
富羅は安蔵が言った、後ろで同じ景色を見るって言葉が気になっていた。
「何が見える?」
「壁。」
「そだね。」
たわいもない会話だが、それとは別に背中が暖かい。落ち着いてくる。もし、ここがクリスマスイブのイルミネーションの下だったら、キスをしていたかもしれない。でも、フェリーの船室ではそんな雰囲気は微塵もない。
世の中が落ち着いたらどんな景色が見えるのだろう。自分はその景色を誰と見ているだろう。
「自分の運命を恨んでない?」
「どうして?もっと前に死んでいても不思議はなかったんだよ。まだ生きているのが奇跡だと思う。残念なことは、もっと早く泊に来ていたら、もっと楽しいことが一杯経験できたんだろうなあ。」
富羅は相変わらずのエンジのジャージ姿で、瑠真と同じベッドの真っ白なシーツの上に並んで体育座りをした。
「気にすることはないさ。誰も僕らに期待してないよ。」
気休めなのか、ずいぶんと気楽なことをいう。
「ところで、気になっていたんだが、いつも同じファッションだけど流行りなの?」
いやいや、万年Tシャツ、ジーンズの君には言われたくない。
「普段は、ちゃんと3日おきに替えてます。いまは非常時だから一週間おきだけど・・・。」
「ふふふ。いつもの君だ。」
怒ったせいか不安が和らいだ。こいつなりに気を使ってくれたのか。
「なんでだろ。君といるときが一番落ち着くよ。自然の中にいるような香りがする。」
え?こんなこというやつだったっけ。
「どうせ、色気のないバカで地味な女ですから。」
あ~、やっちゃった。どうしも素直になれないんだよな。
「そうか、僕とおんなじだね。」
「ねえ、背中あわせていい?」
富羅は安蔵が言った、後ろで同じ景色を見るって言葉が気になっていた。
「何が見える?」
「壁。」
「そだね。」
たわいもない会話だが、それとは別に背中が暖かい。落ち着いてくる。もし、ここがクリスマスイブのイルミネーションの下だったら、キスをしていたかもしれない。でも、フェリーの船室ではそんな雰囲気は微塵もない。
世の中が落ち着いたらどんな景色が見えるのだろう。自分はその景色を誰と見ているだろう。
「自分の運命を恨んでない?」
「どうして?もっと前に死んでいても不思議はなかったんだよ。まだ生きているのが奇跡だと思う。残念なことは、もっと早く泊に来ていたら、もっと楽しいことが一杯経験できたんだろうなあ。」