間引き
文字数 1,098文字
「ここの仲間は、君たちに感謝している。だから忠告をしにきた。間もなく、人間たちを収穫する時期がくる。増えすぎた人間たちを間引く。」
「間もなくっていつ?」
「一回眠ったら。」
え?明日。富羅は驚いた。それと同時に、背筋がぞっとした。背中のあたりが寒くなった。恐る恐る振り返ると、黒い影が見える。いつの間にか起きてきた瑠真が立っていた。
「何してんのよ。」
「日向ぼっこ。」
朝から太陽に向かって突っ立て、ミーヤキャットか。瑠真は会話に加われないからしかたないか。瑠真にあわてて説明をする。
「爬虫類だったら眠るというのは冬のことなんだが。」
植物も同じらしい。何千年と生きる植物にとって1年は間もなくなのだろう。しかし、春になったら間引かれる。基準はどうなってる。
富羅は、自分が助かる事だけを考えていることに気付き恥ずかしくなった。連日のニュースを見ていると、おかしな大人が多い。自分ファースト。人は地球にとって一番の害獣なのかもしれない。
「僕達は取引はしない。人間は都合の悪いものは絶滅させる。われわれは、近づけなくするだけでわざわざ駆除しない。毒や棘なども守るものであって攻撃するものではない。」
言われてみれば、返す言葉も無い。人間は全て、要、不要で判断し、不要なものは徹底的になくす。敵対するものや、競争相手は潰すことが正義と信じている。
何億年とかけて作られた自然の価値観のなかで逸脱した生物が排除されるのもいたしかたないことなのだ。
「われわれは、棘と同じだ。植物が自分を守り、育つために生み出した。人間が、自然の摂理の中で生きていくなら、われわれは脅威とはならないだろう。」
何の権限も持たない二人だ。空約束はできない。しかも、彼らは二人以外には会わないという。おそらく、捕まって色々調べられるのがいやなのだろう。自分だって、人間のようなわがままな宇宙人に会いたいかといわれれば断る。
「我々に会いたいときには、これを吹くといい。世界中の植物を通してつながっている。近くの仲間が助けてくれる。」
彼は、富羅に細い木の筒を差し出した。富羅は右手で慎重に受け取ると口に当てた。一方の端から息を吹き込んだ。何も鳴らない。
「聞こえている。」
そう告げると、彼は瑠真にも渡そうとしたが、彼は断った。
「ごめん。音が大きすぎて。」
瑠真には聞こえるらしい。きっと、犬笛みたいなものなのだろう。若い時ほど高い音がよく聞こえるという。
「私が年寄みたいじゃない。」
富羅は少し機嫌が悪くなった。
「足元から波打つような、低い音。」
こいつ、やっぱり爬虫類だ。
「間もなくっていつ?」
「一回眠ったら。」
え?明日。富羅は驚いた。それと同時に、背筋がぞっとした。背中のあたりが寒くなった。恐る恐る振り返ると、黒い影が見える。いつの間にか起きてきた瑠真が立っていた。
「何してんのよ。」
「日向ぼっこ。」
朝から太陽に向かって突っ立て、ミーヤキャットか。瑠真は会話に加われないからしかたないか。瑠真にあわてて説明をする。
「爬虫類だったら眠るというのは冬のことなんだが。」
植物も同じらしい。何千年と生きる植物にとって1年は間もなくなのだろう。しかし、春になったら間引かれる。基準はどうなってる。
富羅は、自分が助かる事だけを考えていることに気付き恥ずかしくなった。連日のニュースを見ていると、おかしな大人が多い。自分ファースト。人は地球にとって一番の害獣なのかもしれない。
「僕達は取引はしない。人間は都合の悪いものは絶滅させる。われわれは、近づけなくするだけでわざわざ駆除しない。毒や棘なども守るものであって攻撃するものではない。」
言われてみれば、返す言葉も無い。人間は全て、要、不要で判断し、不要なものは徹底的になくす。敵対するものや、競争相手は潰すことが正義と信じている。
何億年とかけて作られた自然の価値観のなかで逸脱した生物が排除されるのもいたしかたないことなのだ。
「われわれは、棘と同じだ。植物が自分を守り、育つために生み出した。人間が、自然の摂理の中で生きていくなら、われわれは脅威とはならないだろう。」
何の権限も持たない二人だ。空約束はできない。しかも、彼らは二人以外には会わないという。おそらく、捕まって色々調べられるのがいやなのだろう。自分だって、人間のようなわがままな宇宙人に会いたいかといわれれば断る。
「我々に会いたいときには、これを吹くといい。世界中の植物を通してつながっている。近くの仲間が助けてくれる。」
彼は、富羅に細い木の筒を差し出した。富羅は右手で慎重に受け取ると口に当てた。一方の端から息を吹き込んだ。何も鳴らない。
「聞こえている。」
そう告げると、彼は瑠真にも渡そうとしたが、彼は断った。
「ごめん。音が大きすぎて。」
瑠真には聞こえるらしい。きっと、犬笛みたいなものなのだろう。若い時ほど高い音がよく聞こえるという。
「私が年寄みたいじゃない。」
富羅は少し機嫌が悪くなった。
「足元から波打つような、低い音。」
こいつ、やっぱり爬虫類だ。