やっぱり爬虫類

文字数 645文字

 低周波を出すには大きな筒で、パワーもいるはずだ。5センチぐらいの小さな木の棒で出るものだろうか?
「ここは、大きな木がたくさんあるから低い音になります。草原だたら、高い音で伝わります。」

 植物達が増幅しているのか。
「ですから、近くに植物が無いと届きません。」

 笛はやたら硬い木でできていた。後から、鉄刀木という木の枝だと解った。
「人間は、自分達に従順なもの意外きらう傾向があります。おそらく、とても弱く臆病な種族だからでしょう。」
 そう言い残して、シナプスは去った。
「しまった、名前を聞くのを忘れた。」
 彼らに名前があるのかも解らないけど。

 引き上げる前に、二人はどうすべきか考えた。結論がでるわけでもないが、シナプスたちの信頼を裏切りたくは無い。大人が会えば、捕獲して弱点を調べ、絶滅させるに違いない。自分達が、盾になって守ってあげるしかない。狡猾な大人たちを相手に、二人だけでは心もとない。
 チャララ~。
 携帯がなる。中学で別れた友人の夏美からだ。
「夏休みが延びたから、何人かで集まらない?お正月、帰れそうにないからさ。」
 富羅は迷った。彼らなら力になってくれるだろうか?とりあえず、時間が合えばということでOKした。
「僕なら解るよ。」
 瑠真がボソッと言った。

 どうやら、彼には正直者と嘘つきの区別ができるらしい。なんでも、嘘をついているときには体温がわずかだが上昇するというのだ。蛇のピット管と同じじゃないか。
「やっぱり、こいつは爬虫類だ。」
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登場人物紹介

羽合 富羅(はあい ふら)

農業高校1年で寮暮らし。ジャージ姿。伸長約140cmのチビで地味。植物の声が聞こえる。夢は樹木医。

夏休みを北海道泊村の実家で過ごす。

春馬 瑠真(はるま るま)

富羅の実家の村に移住してきた。身長約180cm。知識はあるが性格は子供。カメレオンを腕に乗せ散歩させている。

夏美(なつみ)

富羅の中学の同級生。スポーツ万能。勘違いから富羅と勉をくっつけようとしている。

弥子(やこ)

富羅の幼馴染で中学まで同級生。土地成金のお嬢様。両性類や爬虫類が嫌い。瑠真を好きになる。

勉(つとむ)

富羅の幼馴染で中学まで同級生。勉強はできるが運動はダメ。夏美のことが好き。

ドクター・春馬

泊村の診療所の女医。元遺伝子治療の研究者。

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