諜報部隊
文字数 863文字
都会では、年寄りを中心に神隠しが起こっていた。
「役立たずの老いぼれがいなくなってくれんだ。ありがたいこった。」
「まだまだ子供にかかるんだ。じいさん、ばあさんの年金がなくなったら俺の小遣いが減っちまうじゃねえか。」
「年寄りが減ったら、オレオレできねえじゃん。主婦相手に浮気調査詐欺でもすっかな。」
誰も年が明けたら、今度は自分達が間引かれるなんて思ってもいない。
先日、弥子のばあちゃんの行方がわからなくなった。朝方出て行って、夜になっても帰ってこない。
富羅と瑠真は慌てて、シナプスに会いに行った。施設の中には入れないので、近くのわき道からフェンス越しの会話だ。
「こんな田舎で間引きはしないよ。」
じゃあ、どこへ行ったんだ。徘徊するほどぼけているわけではない。警察に頼もうにも、せめて24時間様子を見てくださいと断られてしまった。夜が明けて、夏美や富羅は手分けをして、村中探した。
「ただいま。」
昼ごろ、ひょっこり帰ってきた。
「老人会でよそ者の情報収集を呼びかけとったら、宴会が始まってな。つい、寝込んじまったわい。」
弥子がおばあさんに、出没しているスパイの話を聞きだそうしたところ、老人会にまで話が発展してしまったそうだ。やぱり、弥子にはうかつなことはいえない。
「滝のそばで黒尽くめの男を見かけた。ありゃ、宇宙人だ。いきなり現れたかと思ったら、やつはわしに気がついたのか、忽然と消えおった。」
「わしも見たぞ。そいつは海から上がってきて、背中のチャックをあけて中から出てきた。人間に化けた宇宙人にちがいないわい。」
それはウエットスーツだと思うんだが。
「満州の言葉を話しておった。」
「ありゃあシベリアのやつだ。」
「きっと、連合国のやつらじゃ。」
いったい、いつの時代の話だ。なんだか、生き生きとして若返ったような雰囲気があるが、記憶まで若返らせることはないだろう。
学校が始まれば、富羅以外の3人は出て行ってしまう。それまで目立たないように、もう少し静かに活動できないものか。
「役立たずの老いぼれがいなくなってくれんだ。ありがたいこった。」
「まだまだ子供にかかるんだ。じいさん、ばあさんの年金がなくなったら俺の小遣いが減っちまうじゃねえか。」
「年寄りが減ったら、オレオレできねえじゃん。主婦相手に浮気調査詐欺でもすっかな。」
誰も年が明けたら、今度は自分達が間引かれるなんて思ってもいない。
先日、弥子のばあちゃんの行方がわからなくなった。朝方出て行って、夜になっても帰ってこない。
富羅と瑠真は慌てて、シナプスに会いに行った。施設の中には入れないので、近くのわき道からフェンス越しの会話だ。
「こんな田舎で間引きはしないよ。」
じゃあ、どこへ行ったんだ。徘徊するほどぼけているわけではない。警察に頼もうにも、せめて24時間様子を見てくださいと断られてしまった。夜が明けて、夏美や富羅は手分けをして、村中探した。
「ただいま。」
昼ごろ、ひょっこり帰ってきた。
「老人会でよそ者の情報収集を呼びかけとったら、宴会が始まってな。つい、寝込んじまったわい。」
弥子がおばあさんに、出没しているスパイの話を聞きだそうしたところ、老人会にまで話が発展してしまったそうだ。やぱり、弥子にはうかつなことはいえない。
「滝のそばで黒尽くめの男を見かけた。ありゃ、宇宙人だ。いきなり現れたかと思ったら、やつはわしに気がついたのか、忽然と消えおった。」
「わしも見たぞ。そいつは海から上がってきて、背中のチャックをあけて中から出てきた。人間に化けた宇宙人にちがいないわい。」
それはウエットスーツだと思うんだが。
「満州の言葉を話しておった。」
「ありゃあシベリアのやつだ。」
「きっと、連合国のやつらじゃ。」
いったい、いつの時代の話だ。なんだか、生き生きとして若返ったような雰囲気があるが、記憶まで若返らせることはないだろう。
学校が始まれば、富羅以外の3人は出て行ってしまう。それまで目立たないように、もう少し静かに活動できないものか。