準備
文字数 1,237文字
「教授は呉で潜水艦から降りて、陸路で東京へ向かう予定だった。しかし、都心が壊滅したことで、急遽、家族の住む北海道へ移動することになった。その条件として、お前達に会わせろというのだ。何かを伝えたいのか、依頼したいのかはわかからない。とにかく、会うまでは動かないというのだ。」
千歳から、広島へと飛ぶ。
「ようきんしゃったな。」
空港から乗ったタクシーの運転手が話しかける。
「洋金シャッター?」
「ヨーキー飼った?」
瑠真と富羅は方言で語りかけられて意味が解らない。
「よおきたねエってことなんよ。」
きょとんとする二人に、運転手が解説する。
「え?洋服汚い?」
思わず叫んでしまった富羅に安蔵は大笑いした。北海道にも方言はあるが、明治になってからの移民が多いためここまでの訛りはない。九州や関西などの古い土地のほうがきっと訛りが強いのだろう。
呉の海自の基地へとそのまま入る。すごいセキュリティかと思ったら、結構普通に入れた。後で知ったが民間人もよくくるので慣れているのだそうだ。
会議室なのだろうか、殺風景なテーブルとパイプ椅子だけの部屋に通された。
「極秘なんで、目立たないようにな。」
安蔵が二人に小声で話す。
入ってきた自衛官同士は敬礼するが、安蔵はしない。そうか、民間人として行動しているので、他人のいる前では常日頃からそうゆう対応をしているのだ。安蔵が部屋を出ると、入れ替わりに教授が入ってきた。
「やあ、君があの時の子だね。」
教授は、口の前に人差し指を立てながら反対側の椅子に座った。余計な事はしゃべるなってことだろう。
「人間はいつかアルマと決着をつけなくてはいけなくなる。やつは、今や動物の長であるが、人はそれを認めないだろう。やつが姿を現せば、人間の総攻撃が始まるかもしれない。だから、私は先制攻撃の無い日本の地をやつとの対話の場に選んだ。地球には意思疎通できる種が大きくわけて動物、植物、人間の3つある。これらが共存するには、対話が不可欠だ。羽合君はなぜか植物たちから信頼されている。アルマと互角に対話できるのは同じ細胞を持つ瑠真しかいない。人間代表はこれから考えるが、政治家や指導者といった連中は信用が置けない。できれば、未来を担う子供達がいいが、何の力もない彼らの口約束ではアルマも信用しないだろう。人は地球に生かされている身だ。ただ、要望は伝えたい。飼われるのではなく自分達も彼らと同等に生きていくためへの要望だ。彼らは人間の本質を知っている。わがままで強欲だと。彼らは妥協をしない種とは決して協議をしないだろう。」
教授は息を大きく吸うと、ゆっくりと二人に向かってしゃべり始めた。
「春になれば、一方的におおがかりな刈りいれが始まる。その前に話し合いをしなくてはならない。冬になると植物も動物も多くが眠りについてしまう。本土の人間に邪魔されたくない。だから、北海道へ行く。それに君達も自宅に近いほうがいいだろう。」
千歳から、広島へと飛ぶ。
「ようきんしゃったな。」
空港から乗ったタクシーの運転手が話しかける。
「洋金シャッター?」
「ヨーキー飼った?」
瑠真と富羅は方言で語りかけられて意味が解らない。
「よおきたねエってことなんよ。」
きょとんとする二人に、運転手が解説する。
「え?洋服汚い?」
思わず叫んでしまった富羅に安蔵は大笑いした。北海道にも方言はあるが、明治になってからの移民が多いためここまでの訛りはない。九州や関西などの古い土地のほうがきっと訛りが強いのだろう。
呉の海自の基地へとそのまま入る。すごいセキュリティかと思ったら、結構普通に入れた。後で知ったが民間人もよくくるので慣れているのだそうだ。
会議室なのだろうか、殺風景なテーブルとパイプ椅子だけの部屋に通された。
「極秘なんで、目立たないようにな。」
安蔵が二人に小声で話す。
入ってきた自衛官同士は敬礼するが、安蔵はしない。そうか、民間人として行動しているので、他人のいる前では常日頃からそうゆう対応をしているのだ。安蔵が部屋を出ると、入れ替わりに教授が入ってきた。
「やあ、君があの時の子だね。」
教授は、口の前に人差し指を立てながら反対側の椅子に座った。余計な事はしゃべるなってことだろう。
「人間はいつかアルマと決着をつけなくてはいけなくなる。やつは、今や動物の長であるが、人はそれを認めないだろう。やつが姿を現せば、人間の総攻撃が始まるかもしれない。だから、私は先制攻撃の無い日本の地をやつとの対話の場に選んだ。地球には意思疎通できる種が大きくわけて動物、植物、人間の3つある。これらが共存するには、対話が不可欠だ。羽合君はなぜか植物たちから信頼されている。アルマと互角に対話できるのは同じ細胞を持つ瑠真しかいない。人間代表はこれから考えるが、政治家や指導者といった連中は信用が置けない。できれば、未来を担う子供達がいいが、何の力もない彼らの口約束ではアルマも信用しないだろう。人は地球に生かされている身だ。ただ、要望は伝えたい。飼われるのではなく自分達も彼らと同等に生きていくためへの要望だ。彼らは人間の本質を知っている。わがままで強欲だと。彼らは妥協をしない種とは決して協議をしないだろう。」
教授は息を大きく吸うと、ゆっくりと二人に向かってしゃべり始めた。
「春になれば、一方的におおがかりな刈りいれが始まる。その前に話し合いをしなくてはならない。冬になると植物も動物も多くが眠りについてしまう。本土の人間に邪魔されたくない。だから、北海道へ行く。それに君達も自宅に近いほうがいいだろう。」