第2章 第8話
文字数 1,467文字
なんか、変な男。
勝手にウツになったかと思えば、勝手に目を潤ませて盛り上がったり。
情緒不安定なのかなあ、なんて思いつつ握った右手を離し、車に乗ろうとする。ゆーだいさんが私のすぐ後ろに立つ。
え… ちょっと待って…まさか?
アタシの右頭の上あたりに気配を感じるー やっぱ背高いなあ、私を見下ろす男なんて、あんまいなかったしー
その辺りに息遣いを感じる。
うわー これってー
まさかー
半身だけゆーだいさんに向き直る。
あーーーー、ダメダメダメ!
この人彼女いるし。ダメダメダメ。
住んでる世界もチゲーし。生きてきた環境も全然チゲーし。
それにゴルフ下手くそだし、口悪いし。
ちょっと優しいし、実は気配りスゲーし。
よーく見ると、ちょっとだけイケメンだし。妹のみなみさん、チョー可愛いし。
ダメだってば。
てか。こんなアタシに、ゆーだいさんが本気になるはずもないか。貧乏でガサツで貧乳でデカくて坊主頭で。って事は、何? まさかのア・ソ・ビ?
何それ、マジムカつく。
そりゃあバカで勉強ムリで背がデカくて足もデカイけど。遊ばれる、なんて論害(外)だ。冗談ではない。プロを目指すモノとして、断じてゆるさ…
「あの、みなみちゃん…」
ゴクリ。まさかの人生初口説かれタイム? ちょ、心の準備が… それに、あんな素敵… ではないけど… 彼女がいるじゃ…
私は助手席のドアにもたれかかり、ゆーだいさんと向き合う。こんなに近くで見るのは初めてだ。暗がりでイマイチ顔が見えないが、メチャおしゃれな大人の匂いが鼻をくすぐる。
こんなドキドキするの、初めてかも知れないー体を動かすことも、声を出すこともできなくなっちゃったーただ、目の前のイケてる男性を見上げる事しか…
この胸の鼓動を聞かれたくない! 何か喋って誤魔化したい、でも声が出ない…
いきなり肩を掴まれーたかと思ったら、車の屋根を掴んで。おー、これって一種の壁ドンでは? 車のドアだから、ドアドン? キューン!
「こっち運転席なんだ、けど…」
外車… そっか。左ハンドル、な…
「あのさ。やっぱりスマホ持ってた方が便利じゃない?」
ゆーだいさんが唐突に語り出す。そりゃそーだよ。喉から手が出るほど、欲しいさ実は。
「実は、使ってない去年のモデルのスマホあるんだけど。良かったら、使わない?」
マジ、か?
あなたは、ネ申ですか?
「いやいやいや。そんなの悪いよ、売っちゃった方がいいっしょ?」
「Yモバとか、格安SIM入れれば、月2000円位で行けるだろ?」
ゴクリ。恥ずかしながら、マジ欲しいっす。
「そこまでしてもらったら、彼女さんに叱られるって。やめときなって…」
なんてエラいアタシ。こんな状況でもキチンと気を遣えます。あー、でも欲しいよお…
「陽菜は、関係ないし。うん、そうしよう。来週持ってくるよ。」
「そ、それは…」
「スマホにゴルフのアプリ入れて、スコア管理とかピンまでの距離とか、便利だぞ」
知ってらー。だから欲しいんだよおー
「選考会のエントリーもスマホから簡単に出来るだろ?」
そーなの。チョー簡単に出来ちゃうの。欲しいよおー
「それに、メールでもいいけど、ラインで連絡取る方が、楽だし…」
ですよね! スマホでライン、したいっすマジで!
「だから。どうかな?」
「も、問題ないかと… ぜひ、オナシャス!」
門限10分前に寮に入る。
来週、夢のスマホが手に入る。
風呂に入り、布団に入る。目をつむる。
スマホの事で頭がいっぱいで、来週来るスマホが待ち遠しくて
窓の外が明るくなるまで寝付けなかった…
勝手にウツになったかと思えば、勝手に目を潤ませて盛り上がったり。
情緒不安定なのかなあ、なんて思いつつ握った右手を離し、車に乗ろうとする。ゆーだいさんが私のすぐ後ろに立つ。
え… ちょっと待って…まさか?
アタシの右頭の上あたりに気配を感じるー やっぱ背高いなあ、私を見下ろす男なんて、あんまいなかったしー
その辺りに息遣いを感じる。
うわー これってー
まさかー
半身だけゆーだいさんに向き直る。
あーーーー、ダメダメダメ!
この人彼女いるし。ダメダメダメ。
住んでる世界もチゲーし。生きてきた環境も全然チゲーし。
それにゴルフ下手くそだし、口悪いし。
ちょっと優しいし、実は気配りスゲーし。
よーく見ると、ちょっとだけイケメンだし。妹のみなみさん、チョー可愛いし。
ダメだってば。
てか。こんなアタシに、ゆーだいさんが本気になるはずもないか。貧乏でガサツで貧乳でデカくて坊主頭で。って事は、何? まさかのア・ソ・ビ?
何それ、マジムカつく。
そりゃあバカで勉強ムリで背がデカくて足もデカイけど。遊ばれる、なんて論害(外)だ。冗談ではない。プロを目指すモノとして、断じてゆるさ…
「あの、みなみちゃん…」
ゴクリ。まさかの人生初口説かれタイム? ちょ、心の準備が… それに、あんな素敵… ではないけど… 彼女がいるじゃ…
私は助手席のドアにもたれかかり、ゆーだいさんと向き合う。こんなに近くで見るのは初めてだ。暗がりでイマイチ顔が見えないが、メチャおしゃれな大人の匂いが鼻をくすぐる。
こんなドキドキするの、初めてかも知れないー体を動かすことも、声を出すこともできなくなっちゃったーただ、目の前のイケてる男性を見上げる事しか…
この胸の鼓動を聞かれたくない! 何か喋って誤魔化したい、でも声が出ない…
いきなり肩を掴まれーたかと思ったら、車の屋根を掴んで。おー、これって一種の壁ドンでは? 車のドアだから、ドアドン? キューン!
「こっち運転席なんだ、けど…」
外車… そっか。左ハンドル、な…
「あのさ。やっぱりスマホ持ってた方が便利じゃない?」
ゆーだいさんが唐突に語り出す。そりゃそーだよ。喉から手が出るほど、欲しいさ実は。
「実は、使ってない去年のモデルのスマホあるんだけど。良かったら、使わない?」
マジ、か?
あなたは、ネ申ですか?
「いやいやいや。そんなの悪いよ、売っちゃった方がいいっしょ?」
「Yモバとか、格安SIM入れれば、月2000円位で行けるだろ?」
ゴクリ。恥ずかしながら、マジ欲しいっす。
「そこまでしてもらったら、彼女さんに叱られるって。やめときなって…」
なんてエラいアタシ。こんな状況でもキチンと気を遣えます。あー、でも欲しいよお…
「陽菜は、関係ないし。うん、そうしよう。来週持ってくるよ。」
「そ、それは…」
「スマホにゴルフのアプリ入れて、スコア管理とかピンまでの距離とか、便利だぞ」
知ってらー。だから欲しいんだよおー
「選考会のエントリーもスマホから簡単に出来るだろ?」
そーなの。チョー簡単に出来ちゃうの。欲しいよおー
「それに、メールでもいいけど、ラインで連絡取る方が、楽だし…」
ですよね! スマホでライン、したいっすマジで!
「だから。どうかな?」
「も、問題ないかと… ぜひ、オナシャス!」
門限10分前に寮に入る。
来週、夢のスマホが手に入る。
風呂に入り、布団に入る。目をつむる。
スマホの事で頭がいっぱいで、来週来るスマホが待ち遠しくて
窓の外が明るくなるまで寝付けなかった…