受難 ①
文字数 1,614文字
羽里学園捜査班。
ただの民間警備員じゃない。
警察の少年犯罪の捜査官たちを、高給で引き抜いたというガチ集団だ。
遊田がポスターを盗んだ時も、速攻で犯人を割り出した実績がある。
そいつらが六人ほど駆けつけてきた。
『捜査員』の腕章を付けたタフガイたちが廊下を走ってたら、さぞ目立って、生徒たちは何事かと思ったのだろう。
灰皿の前に立つ、召愛。
もみ消された吸い殻。
そして、羽里は写真も渡したよ。召愛が喫煙してたり、援助交際をしているアレだ。
女性捜査員が訊ねると、羽里は頷いた。
捜査員たちは、手際よく『立ち入り禁止』と書かれたイエローテープを選挙事務所室の前に張り巡らし、帽子を被り、ゴム手袋をして中に入って行った。
生徒たちはその外側に集まって、ガヤガヤと騒ぎ出した。
スパイなどしていない。
ましてや、このような工作など、するわけがないと信じている。
だから、憶測だけで、悪く言うのは止めてあげて欲しい。
それと、イスカさん――」