第四章;第四話

文字数 2,370文字

「ねえ恭也。一週間くらい前かな。小学生くらいの可愛い男の子から告白されちゃった」
 二学期の中間テストが終わった10月11日の後、15日頃に僕に結が話しかけてきた。

 二学期に入ると僕と結は、友達の恋愛相談を受けていた。
 鈴木太一君と未来さんとの恋愛に関わったのだ。
 僕と結と未来さんで太一くんを嵌めて告白させた。
 太一くんと未来さんはそれからお付き合いを始めていた。

 結さんからの情報によると、二人はとても良い関係になっていると聞く。
 太一君は未来さんと一緒に僕と結さんのところに来てお礼を言いに来たこともある。
 僕も結さんもとても喜んだ。
 今では仲良くなり、お互いに悩みを語り合う仲になっていた。

 それから中間テストに向けて勉強をするようにもなっていた。
 僕、太一くん、未来さんは結さんの家に行き、一緒にテスト勉強をしていったのだ。
 第一高と第二高と第三女子は使っている教科書が違う。
 しかし結さんの母親は第三女子の教師、結さんのお姉さんである由依先輩は第一高二年生。
 僕は第二高だが第一高生徒と第三女子生徒には簡単らしく、
 僕は全員から教えてもらっていた。

 中間テストの結果、
 21位に三浦結、22位に田端美耶、23位に鈴木太一と上位。
 第三女子の未来はもともと3位と上位にいたため1位(首席)、
 第二高校の僕も学年1位(首席)を守り抜くという結果だった。
 太一はまた結さんや美耶さんに負けたと悔しがっていたが、
 かなり優秀な成績に僕たちは喜んでいた。

 そして15日になって結さんが男の子から告白されることを告げた。
「結、おまえ小学生にも人気なのかよ」
 太一くんの言葉に未来さんが言う。
「結さんファンって第三女子にもいるんだから、小学校や中学校に居てもおかしくないかもね」
 未来さんの話により第三女子にも結さんファンが多くいることを知った。

 実は第二高にも結さんのファンが実は居るとても可愛いスポーツ万能で優秀な女の子。
 それで僕っ子というところが良いという話を聞く。
 僕のところに来ては『三浦結と付き合ってるんだろ。いいなあ』と。
『まだお付き合いはしていないよ。でも大切な友達だ』と僕は言う。
 実際に僕は結さんとお付き合いをしたい。結さんを彼女にしたい。
 でも、結さんはなにか大きな悩みを持っていて、僕との交際が出来ないという。
 結さん自身の問題を解決するまで待ってほしいと言う。
 だから僕は結さんのことをいつまででも待つと言っている状態なのだ。

「結は恭也の事が好き、恭也も結の事が好き。
 もう決まっているんだから周りが結に告白しても無駄だろ。」
 太一の言葉通りだとしても、
 僕には結さんの事が好きな人がとても多いことに僕は焦りを見せ始めていた。
 僕は結さんを誰にも渡したくないからだ。

「結さん、その告白した小学生の男の子ってどんな子なの?」
 僕がとても知りたいことを未来さんが結に質問した。
「とっても可愛い子なの。見た目が女の子みたいで、髪を伸ばしていて背が私と同じくらい」
 見た目が女の子で髪を伸ばしている男の子?僕はすぐに智の事が頭に浮かんだ。

「本当にその子は小学生?」
 僕は智の気がして仕方が無かった。
「男の子だって僕はすぐに気が付いたけど幼い顔で可愛かったし、
 男の子で私と同じくらいって小学生かなって思ったの」
 智は身長155センチで結さんよりちょっと低めだ。
 でも智の事を初見で男の子だと思う人は一人も居ない。
 しかし結さんの特徴を聞くと智だとしか思えないのだ。

(智からも好きな人ができたと言う話は聞いて無いから違うのか)
 結さんに告白した小学生の男の子。
 一体どのような子供なのだろうか、とても興味があった。

 みんなと別れて自分の家に着き、僕は真っ先に智の部屋に行き智と話をする。
 そして結さんに告白した男の子が智だったということを知ることとなった。

「なんかいつも一緒に居る男が居るみたいなんだけどさ。
 そいつから絶対に奪ってやる。その子は可愛くてすっげえ良い女なんだぞ。
 お兄ちゃんは知ってるかな?第一高の三浦結っていう女の子だよ」

 智に好きな人がいるのか。それだけを聞いておくべきだと思っていただけなのだが、
 まさか三浦結という名前が智の口から出るとは思っていなかった。
 一緒に居る男が僕だとは知らずに興奮状態の智がさらに言う。

「僕ってさ、病院に通院してるだろ?その病院で出会ったんだよ。お姉さんが一緒だった。
 名前が呼ばれて診察室に入っていったんだ。僕は名前を聞き逃さなかった。
 三浦結と呼ばれていたんだ。席を立って診察室に入るとき目を奪われたんだ。
 とても可愛くて、マジでさ一目惚れだったんだよ。制服で第一高と判った。
 そして付き添っていたお姉さんは三浦由依さんだと判った。
 三浦姉妹は中学でも有名で第一高に運動部の部活動を活発させた偉人。
 部活に力を入れていない第一高を変えたすごい人だと言われていたんだ。
 僕のほうが年下だけどさでも本気で好きになった。そして告白した。
 お兄ちゃんさ。三浦結に付きまとっている男のことを知らない?」

 僕は智にすべてを話した。智はとても驚いていた。
 僕がいつも朝に迎えに行っている女子高生が結さんだと知らなかったようだ。
 智にも僕が結さんに告白していることを話したのだった。
 まさか兄弟揃って結さんに一目惚れをしているとは知らなかった。

「そっか。お兄ちゃんだったんだね。それなら話が早いや。
 三浦結さんは絶対に渡さない。僕が結さんと付き合うから。」

 弟、智が僕に宣戦布告をするのだった。

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登場人物紹介

三浦大輔(みうらだいすけ);県立城北第二高校1年生。

恭也の親友。現実派。母親と姉の事が嫌い。

三浦 結(みうら ゆう);私立城北第一高校1年生。

大輔の従妹ということになっている。

勝気で短気・頑固。涙脆い。正義感が強い。

佐伯恭也(さえききょうや);県立城北第二高校1年生。

大輔の親友・小学校4年生からの幼馴染。三浦結が大好き。

三浦翔子(みうらしょうこ);私立城北女子第三高校の教師。

三浦由依・大輔・結の母親。

三浦由依(みうら ゆい);私立城北第一高校2年生。

三浦大輔・結の姉。

鈴木太一(すずきたいち);私立城北第一高校1年生。

負けず嫌い。未来の幼馴染。結のクラスメート。

四谷未来(よつや みく);私立城北女子第三高校1年生。

太一の家の隣に住んでいる。幼馴染。太一に恋心有り。夢見る乙女。

田端美耶(たばた みや);私立城北第一高校1年生。

いつも本を読んでいる。自分の伝えたい言葉を格言や台詞を使い話す。

佐伯 智(さえき とも);市立北浜中学校2年生。

佐伯恭也の弟。見た目は女の子だが完全な男の子。

結のことが大好き。

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