第四章;第三話
文字数 2,437文字
佐伯 智 、僕の弟だ。
見た目からして女の子としか思えない姿をしている。
生まれてきたときからとても可愛いかった。
智は両親や親戚、幼稚園の先生から、常に『可愛い』と言われ続けていた。
中学二年生になっても声変わりはせず、女の子のように高めの可愛い声をしている。
髪は胸まであり黒髪ストレート。もちろん地毛だ。
眉のところでぱっつんにしている。
生え揃った永久歯だが犬歯がちょっと長い。
背も中学2年男子とは思えないのだ。
14歳男子の平均身長はと言うと、167から169センチと言われている。
智はというと身長155センチしかない。
これは14歳女子の平均身長よりも低いのだ。
体重も48キロと女子平均より軽い。
だからなのであろうか智は小柄な女の子としか見えない。
同じ中学の女の子と一緒に歩いていたとしても、そこに男の子が居るとは全く見えないのだ。
完全に女の子にしか見えないのだ。
本人は自分はもちろん男の子だと言っているのだが、女の子にいつも間違われて来ていたのだ。
小学校5年生のとき、智は髪の毛を伸ばし始めた。
女の子としての自我を持ったわけでは決してない。
何故、髪を伸ばしだしたのかを智に聞いたことがある。
男の子なのに女の子と言われてしまうのがイヤだったらしい。
男の子と見られないのなら女の子の格好をしてやる。
自分が男の子だと周りに納得させていくのではなく、
逆に自分が周りに合わせて女の子になれば、イヤだと思うことが無くなるのかもしれない。
良く言ってしまえば『逆転の発想』に近いものがあるが、
悪く言うと『ヤケクソ』に近いものがあると思う。
男の子に見られないから女の子の格好をする。
僕には全く理解できないことなので、『意味がわからん』と言わないで欲しい。
智は智なりに考えたことだと思う。
とても悩んで一生懸命に考えて考え抜いた結果に、『女の子になっちゃえばいいんだ』となったのだ。
僕も時々判らなくなることがある。
智は弟でいいのか。それとも妹として接すればいいのか。
智の名誉としてこれだけは言っておきたい。
智は男の子であり、智自身も男の子だと思っている。
見た目が女の子としか見えず、周りも女の子として扱われているので、
それなら女の子でいいよ。となっているだけなのだ。
実際に話をしてみると、声が可愛いということは横に置いて、
『うっせー!』『黙れ!』などの暴言。自分の事を『僕』。
自身が男の子なので性格は完全に男の子だ。
とても可愛い僕っ子の女の子と認識されているためか、かなり周りに好評の様子でウケが良い。
『まだ中学生だから』『僕っ子だから』ということで、中学校では男子女子問わずに人気だ。
中学校では制服も決められているのだが、学生服ではなくブレザーだからか、
制服を着ていても男に見られていない。
女子制服ならスカートのはずなのだが、智が制服ズボンでも男の子とは思われていないのだ。
男の子なのに男として見られていないと悩むのは当たり前であろう。
それなら女の子と思われていても良いや。髪も伸ばしてやろう。
そして智はさらに女の子としか見られなくなり、兄である僕でさえ智は男の子とすればいいのか。
妹として接してあげればいいのか判らない状態になるのだ。
智に聞くも『べつにどっちでもいいよ。お兄ちゃんの好きなように』
好きなようにと言うのなら、僕は弟でいいやとして接している。
しかし時々一緒に歩くと上目遣いで僕に話しかけられるのだが、
173センチの僕の横に155センチの智、
18センチも違いのある身長の差で上目遣いになるのは確実なのだが、
僕でさえ本当にこいつって男か?僕の弟なのか?と疑いたくなるのだ。
「智、小さいとき女の子っていつも言われるって悩んでいたじゃん。今はもうその悩みは無いのか?」
「そういえば悩んでたね。でも今はまったく悩んで無いよ。
自分が周りの期待に答えてやってるって思ってるからかな。
女の子の格好をすると可愛いねって言われても逆に嬉しいと思う」
期待はしてはいないとは思うが、可愛いや女の子みたいと言われるより、
女の子になってしまえば良いものなのか?本当にそういうものなんだろうか?
僕には疑問に思えてしょうがない。
このような智なのであるが、成長期が来ないことに両親は心配していた。
思春期遅発症なのではないか。と疑い始めた両親は、智を病院にいくことを薦めた。
このままではいけないと思い始めた智は、病院に通うこととなった。
男の子が155センチで成長が止まるのは考えにくい。
髭も生えてこない。声変わりも全くしない。病気と言うことも無い。
小さいときのままの姿で成長の兆しも無い。
遺伝子や染色体異常なものでは無いということ。
このままではホルモン治療が必要になってくるがどうするか?
しかし智はホルモン治療を拒否した。
智は自分の身体の事を考えたのだろう。
ホルモン治療で無理やり男となることを嫌ったのだろう。
自分は男である。その意識を大事にしようとしていたのだろう。
自分は生まれたときから男なのだから、男の子になれるであろうと思ったのかもしれない。
そして中学二年生になった智はまだ、見た目に女の子のままになっている。
いまでも病院には通院している。
両親からホルモン療法を薦められたが智は拒否し続けている。
両親から僕から智に言ってほしいと言われることがあった。
しかし僕は智の意思を尊重していきたいと思い両親の願いを断った。
それから両親も智の身体の事を言うことは無くなっていった。
この智がこれからの話に出てくる。
とても僕にとって重要な人物になっていくこととなるのだった。
見た目からして女の子としか思えない姿をしている。
生まれてきたときからとても可愛いかった。
智は両親や親戚、幼稚園の先生から、常に『可愛い』と言われ続けていた。
中学二年生になっても声変わりはせず、女の子のように高めの可愛い声をしている。
髪は胸まであり黒髪ストレート。もちろん地毛だ。
眉のところでぱっつんにしている。
生え揃った永久歯だが犬歯がちょっと長い。
背も中学2年男子とは思えないのだ。
14歳男子の平均身長はと言うと、167から169センチと言われている。
智はというと身長155センチしかない。
これは14歳女子の平均身長よりも低いのだ。
体重も48キロと女子平均より軽い。
だからなのであろうか智は小柄な女の子としか見えない。
同じ中学の女の子と一緒に歩いていたとしても、そこに男の子が居るとは全く見えないのだ。
完全に女の子にしか見えないのだ。
本人は自分はもちろん男の子だと言っているのだが、女の子にいつも間違われて来ていたのだ。
小学校5年生のとき、智は髪の毛を伸ばし始めた。
女の子としての自我を持ったわけでは決してない。
何故、髪を伸ばしだしたのかを智に聞いたことがある。
男の子なのに女の子と言われてしまうのがイヤだったらしい。
男の子と見られないのなら女の子の格好をしてやる。
自分が男の子だと周りに納得させていくのではなく、
逆に自分が周りに合わせて女の子になれば、イヤだと思うことが無くなるのかもしれない。
良く言ってしまえば『逆転の発想』に近いものがあるが、
悪く言うと『ヤケクソ』に近いものがあると思う。
男の子に見られないから女の子の格好をする。
僕には全く理解できないことなので、『意味がわからん』と言わないで欲しい。
智は智なりに考えたことだと思う。
とても悩んで一生懸命に考えて考え抜いた結果に、『女の子になっちゃえばいいんだ』となったのだ。
僕も時々判らなくなることがある。
智は弟でいいのか。それとも妹として接すればいいのか。
智の名誉としてこれだけは言っておきたい。
智は男の子であり、智自身も男の子だと思っている。
見た目が女の子としか見えず、周りも女の子として扱われているので、
それなら女の子でいいよ。となっているだけなのだ。
実際に話をしてみると、声が可愛いということは横に置いて、
『うっせー!』『黙れ!』などの暴言。自分の事を『僕』。
自身が男の子なので性格は完全に男の子だ。
とても可愛い僕っ子の女の子と認識されているためか、かなり周りに好評の様子でウケが良い。
『まだ中学生だから』『僕っ子だから』ということで、中学校では男子女子問わずに人気だ。
中学校では制服も決められているのだが、学生服ではなくブレザーだからか、
制服を着ていても男に見られていない。
女子制服ならスカートのはずなのだが、智が制服ズボンでも男の子とは思われていないのだ。
男の子なのに男として見られていないと悩むのは当たり前であろう。
それなら女の子と思われていても良いや。髪も伸ばしてやろう。
そして智はさらに女の子としか見られなくなり、兄である僕でさえ智は男の子とすればいいのか。
妹として接してあげればいいのか判らない状態になるのだ。
智に聞くも『べつにどっちでもいいよ。お兄ちゃんの好きなように』
好きなようにと言うのなら、僕は弟でいいやとして接している。
しかし時々一緒に歩くと上目遣いで僕に話しかけられるのだが、
173センチの僕の横に155センチの智、
18センチも違いのある身長の差で上目遣いになるのは確実なのだが、
僕でさえ本当にこいつって男か?僕の弟なのか?と疑いたくなるのだ。
「智、小さいとき女の子っていつも言われるって悩んでいたじゃん。今はもうその悩みは無いのか?」
「そういえば悩んでたね。でも今はまったく悩んで無いよ。
自分が周りの期待に答えてやってるって思ってるからかな。
女の子の格好をすると可愛いねって言われても逆に嬉しいと思う」
期待はしてはいないとは思うが、可愛いや女の子みたいと言われるより、
女の子になってしまえば良いものなのか?本当にそういうものなんだろうか?
僕には疑問に思えてしょうがない。
このような智なのであるが、成長期が来ないことに両親は心配していた。
思春期遅発症なのではないか。と疑い始めた両親は、智を病院にいくことを薦めた。
このままではいけないと思い始めた智は、病院に通うこととなった。
男の子が155センチで成長が止まるのは考えにくい。
髭も生えてこない。声変わりも全くしない。病気と言うことも無い。
小さいときのままの姿で成長の兆しも無い。
遺伝子や染色体異常なものでは無いということ。
このままではホルモン治療が必要になってくるがどうするか?
しかし智はホルモン治療を拒否した。
智は自分の身体の事を考えたのだろう。
ホルモン治療で無理やり男となることを嫌ったのだろう。
自分は男である。その意識を大事にしようとしていたのだろう。
自分は生まれたときから男なのだから、男の子になれるであろうと思ったのかもしれない。
そして中学二年生になった智はまだ、見た目に女の子のままになっている。
いまでも病院には通院している。
両親からホルモン療法を薦められたが智は拒否し続けている。
両親から僕から智に言ってほしいと言われることがあった。
しかし僕は智の意思を尊重していきたいと思い両親の願いを断った。
それから両親も智の身体の事を言うことは無くなっていった。
この智がこれからの話に出てくる。
とても僕にとって重要な人物になっていくこととなるのだった。