第二章;第十話

文字数 3,061文字

「未来、男女間の友情ってどう思う?」
 僕の家の居間で寝転がってくつろいでいる未来に尋ねた。

「恋愛対象にならずに友達でいれるのかってこと?」
 簡単に言ってしまえばそういうことだ。
 しかし未来よ。
 ミニスカートで寝転がるのはいいけどパンツが見えている。

「恋愛対象じゃなくて友人で居ることってあるんじゃないかな」
 なるほど未来は男女間の友情はあり派か。
「でもさよくアニメや漫画であるよな。
 幼馴染で友達だった女の子のことが
 急に可愛く見えて好きになっちゃうやつ」
「それ知ってる。男の子の方が兄弟で、
 同じ女の子を好きになって、
 兄弟で取り合う話とか?」
 未来、そのようなドロドロ恋愛劇が好きだったのか。

「でもさ、友情と恋愛って違う気がするんだよね。
 友達がいつの間にかとても仲良くなって、
 相手の事が好きだと気づいたっていうこともあるけどさ。
 それは友情であって恋愛とは違う気がするんだよね」

 未来の言うことは、一つの意見として聞くべきだとは思う。
 でも、所詮は男と女なのだ。
 大人になっていけば男と女は友人関係より、
 恋愛対象となっていくのではないのか?
 そのように考えていくと男女間の友情と言うのは、
 友人関係で居続けるより恋愛になることが多いように思う。

「でも結ちゃんはそういう感じにならないよね」
 三浦結。結の方は恭也の事を友人だと思っているが、
 恭也は結の事をどのように思っているのだろうか?

 第二高から第一高まで毎日のように来ている。
 そして結の帰りを待ち続けている。
 ただの友人だからということだけで、そこまでするのか?
 学校の処分だからと言うことだけでここまでするのだろうか?

 いつも校門で待っていると言うのなら、
 ここで寝転がってパンツを見せている未来にも言えることだ。
 時々だが第三女子から第一高まで来ている。
 そして僕の帰りを待っているのだ。

「未来、校門で僕を待っているのは友人だからか?」
「どうだろうね。太一を待って居たいからだよ」
 ただ待っていたいから、一緒の帰りたいからだけで、
 片道30分以上かけてくることはなかろう。
 それがいくら幼馴染と言っても家が隣通しなのだから、
 学校が終わったらすぐにでも家に帰って
 家で逢えばいいことなのだ。

 今日だけに限って言うと、
 僕は夏期講習が終わったら部活に行くと伝えてある。
 第三女子の未来も夏季講習があって学校に行った。
 部活に行っているから遅くなると伝えてあるので
 僕はクーラーの効いている図書室で本を読みながら
 そして美耶と話しながら過ごしていた。
 部活が終わって帰ろうとして歩いていると、
 制服を汗で濡らした未来が校門で立っていたのだ。
 夏期講習が終わってから
 すぐに第一高校に来て僕を待っているのだ。

 日傘をさしているから大丈夫というがそういう問題ではない。

 そして未来が言うには、未来と同じように
 三浦結を待っていた二校の男子、恭也も待っていたという。
 この炎天下で僕の帰りを待つ未来。
 そして三浦結の帰りを待つ恭也。
 この二人の共通点は一体なんであるのだろうか?

「そっか、別にいいけどさ。
 未来、ずっと僕にパンツを見せているのはどういう意味だ?」
 未来は慌ててパンツを隠した。
「太一のスケベ!エッチ!」
 未来は顔を真っ赤にした。

          ☆彡

 日曜日、ジェームス君に誘われているバーベキューだ。
 一級河川である天龍川の河川敷で行われた。
 とても広い河川敷でバーベキューにはもってこいだった。
 天気も良好で晴れ渡っている。
 青空で食べる食事は最高の気分だ。

 テーブルが並び沢山の椅子が並んでいた。
 日差しが強いので熱中症にならないように、
 ビーチパラソルのような大きな傘がテーブルで開いている。
 ジェームス君のお父さんとお兄さんがバーベキューセットで
 肉や魚や野菜を焼いてくれている。
 それぞれのテーブルには大量の肉や野菜が並んでいるのだ。

 ビーチチェアーというものだろうか?
 よくテレビや映画で見かける砂浜でよく寝転がっているものだ
 あれも用意されていた。
 日本のバーベキューとは、規模が違うように思える。

 ジェームス、一体何人を呼んだんだ?

 ジェームスの親の友人たち、同じフィリピンの人たちだ。
 何を言っているのか判らない言葉で話をしている。
 美耶が言うにはタガログ語ともう一つ他の言語、
 ビザヤの言葉が入っているという。

 そしてジェームスの所属しているバスケット部の友人たち、
 そしてその友人の彼女たちも来ている。
 ジェームスのクラスメートとして同じクラスの友人たちが居る。
 僕はそのクラスの友人枠だ。
 そして僕の友人の美耶。
 同じクラスの友人枠で三浦結とその姉の三浦由依先輩、
 そして三浦結の友人の二高の佐伯恭也。
 そして友人の未来が誘われている。

 ジェームスの友人枠の中に安西ひろが居ない。
 ジェームスに聞いて見ると誘ってみたが、
 親戚の家に行くので無理だったと言う。
 どこまで運が付いていないのだ。ひろよ・・・。

 自然と似たようないつものメンバーとして集まる。
 テーブルに僕、美耶、未来、三浦結、三浦由依先輩、恭也だ。
 テーブルを囲むと言うことは、
 この名前順で円になるということだ。
 僕で始まり恭也で終わる。と言うことは僕の隣に恭也が居る。
 こうなれば必然であろう、
 恭也は三浦結のことをどう思っているのか聞きたいと思うはずだ。
 僕は恭也と話をするのだ。
 未来は僕の横に居る美耶のことを気にしている。
 そして美耶と未来が話を始める。
 三浦結は由依先輩と笑顔で話している。

 僕は普通に疑問に思っていることを恭也に尋ねてみた。
「恭也君はぶっちゃけ三浦結のことをどう思っているのか?」
 オブラートに包む気は全く無い。
 ストレートに僕は聞いたのだ。
 僕の質問を聞いて恭也はジュースを一気に飲み干す。
 すると三浦結が恭也のコップが空になったことを見て、
「恭也くん、ジュースがいい?お茶にする?」と聞くのだ。
「結さん、それではお茶をください」という恭也。
 もうすでに恭也は三浦結の手の平で転がされている。

 言わなくてもいい。今のやり取りでよく判った。

「太一くん、君にも未来さんが居るじゃないか」
 僕は美耶と話しをしている未来を見た。

「ただの幼馴染と君は言うけれど、
 未来さんは太一君の事を想っている筈だよ。
 幼馴染だから一緒に居たいのじゃないと思う。
 好きだからこそ一緒に居ることが出来ると思ってる。」
 未来に限って僕の事を本当にそう思っているのだろうか?
 アニメや漫画でよくある幼馴染特性が働いているのではないか?

「太一君は未来さんが何故看護士を目指そうとしたのか。
 そして何故医者を目指そうとしたのか考えたことはあるかい?
 そこに答えがあるんじゃないかな。」
 未来が看護士を、医者を目指した理由。
 未来はただの夢だと言っていた。
 そこに答えがあるってどういうことなのだろうか?

「恭也くんは三浦結とこのままでいいと思っているのかい?」
 そして恭也は答えた。

「僕は結さんを守り続ける。これからもずっとだよ。」

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登場人物紹介

三浦大輔(みうらだいすけ);県立城北第二高校1年生。

恭也の親友。現実派。母親と姉の事が嫌い。

三浦 結(みうら ゆう);私立城北第一高校1年生。

大輔の従妹ということになっている。

勝気で短気・頑固。涙脆い。正義感が強い。

佐伯恭也(さえききょうや);県立城北第二高校1年生。

大輔の親友・小学校4年生からの幼馴染。三浦結が大好き。

三浦翔子(みうらしょうこ);私立城北女子第三高校の教師。

三浦由依・大輔・結の母親。

三浦由依(みうら ゆい);私立城北第一高校2年生。

三浦大輔・結の姉。

鈴木太一(すずきたいち);私立城北第一高校1年生。

負けず嫌い。未来の幼馴染。結のクラスメート。

四谷未来(よつや みく);私立城北女子第三高校1年生。

太一の家の隣に住んでいる。幼馴染。太一に恋心有り。夢見る乙女。

田端美耶(たばた みや);私立城北第一高校1年生。

いつも本を読んでいる。自分の伝えたい言葉を格言や台詞を使い話す。

佐伯 智(さえき とも);市立北浜中学校2年生。

佐伯恭也の弟。見た目は女の子だが完全な男の子。

結のことが大好き。

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