第四章;第一話
文字数 2,274文字
僕は神社を歩いている。
僕と大輔が『いつものところ』と言っている神社だ。
なぜかこの神社は時が止まってしまっているように思える。
小さいとき、大輔とこの神社でよく遊んだ。
この神社に来るとすべてが思い出される。
小学校4年に出会い、この神社で僕と大輔は走り回った。
二人で鬼ごっこをしたこともある。
『二人鬼ごっこ』
一人が鬼になり、もう一人が追いかけるのだ。
一時 も休む暇も無い。
僕と大輔はいつもこの神社で走り回っていた。
自転車レースもしたことがある。
神社の境内を一周ぐるっと回ることが出来る神社なので、
自転車を乗り入れてレースをして遊んでいた。
他にも子ども会で主催されたイベントにも参加した。
夏祭り、盆踊り、納涼祭。
そして一年の始まり、新年のお参り。
この神社は僕の小さいときからの遊び場であり、
僕にとって沢山の思い出が詰まっている神社なのだ。
この神社の境内で漫画を読み耽っていたこともある。
大輔と最後に会った日も漫画を読んだ。
あの日はエロ漫画だった。
男の子が女の子になってエッチする漫画だ。
「大輔との最後の日があれかよ。」
大輔との最後の日になるのなら、もっと話をするべきだったと思う。
「新しいところに行っても元気で居ろよ」とか、「落ち着いたら連絡くれよ」とか、
最後のお別れくらいは言わせて欲しかった。
僕は大輔にお別れを言いたかった。
でもあの大輔の事だ。言いにくかったのだろう。
大輔は強がっているけど、とても優しい奴だ。
そしてとても恥ずかしがり屋だ。
母親やお姉さんに対してもそうだ。
嫌いだとかムカつくとか言っているけど、心の奥では違っている。
母親の事を大切にしたいと思っている。
自慢の姉だとも思っている。
しかし大輔自身が母親の期待に答えれない。
姉のように勉強が出来ない。運動神経も悪いと思っている。
大輔はそういう自分自身に怒っているんだ。
すべてのことを自分自身に抱え込んで怒りをぶつけている。
それを自分以外の人に知られたくないだけなんだ。
他人に弱みを見せたくないだけなんだ。
大輔はそういう奴なんだ。
だから僕とのお別れを言えなかったのだと思っている。
今日、僕は親友の無事と健康をお参りに来た。
このいつものところと言う神社に足を運んでいる。
大輔との思い出が沢山詰まったこの場所に来ている。
中間テストも終わり、大輔とテストを見せ合った。
僕も大輔も似たような点数だ。とても良いとは言えない。
でも赤点は免れていて、お互いに良かったと言い合っていた。
5月最後の日、僕と大輔はこの境内でエロ漫画を読んだ。
『恭也、はっきりというけど現実離れをしすぎてないか?』
大輔は空想の世界を楽しむことはしない。
現実的なものを特に好む傾向が強かった。
自分が目で見て、体験出来るもの。
そのような世界を大輔はよく好んでいた。
だから僕の持ってくる漫画を好むことはしない。
小説は好きだがファンタジー物を好まなかった。
現実社会の日常を題材とする小説を特に好んでいた。
漫画も同様に現実を題材とするものを好んでいた。
アニメは大輔は見たことがあるのだろうか?
大輔とアニメの話はしたことが無かった。
だからであろう僕が持って来たエロ漫画を読んだ感想が、
『現実離れをしすぎている』であった。
『大輔、こういうものに現実感を求めるほうがおかしいだろ。
現実にこういうことが起きないからこそ面白いんだよ』
普通に考えれば判りそうなものだ。
エロ漫画に出てくる女の子は胸が大きい。
そしてウエストが細く、お尻が大きい。
それだけでなく、とても可愛い。
そんな女の子は実在するわけが無い。
そんな女の子とセックスできるわけが無い。
出会ってすぐにヤラせてくれる女の子が居るわけ無い。
そのような非現実的なものがアニメや漫画の世界ではあるのだ。
僕はその世界がとても好きだ。
非現実に起きない事が楽しめる世界がとても好きだ。
そこが大輔と僕との大きな違いだったと思う。
このように両極の僕と大輔なのだが、
自分でもよく友情関係が築くことが出来たと思う。
両極の正反対の性格である僕と大輔。
磁石ではS極とN極という違う性質のものだが、
S極とN極はお互いに引き付け合う性質がある。
僕と大輔は違った性質を持った、S極とN極と同じだったのかもしれない。
だから引き付け合ったのだと思っている。
僕は大輔の健康と頑張って欲しいという思いで、神社の神様に願った。
「神様、大輔の事、よろしくお願いします」
長々とお願いする必要は無い。ここの神社の神様だ。全知全能の神様だ。
俺なんかのちっぽけな人間の考えていることはお見通しだ。
お参りを終えて引き返そうとすると、ふわっと柔らかな風が吹いた。
冷たくてひんやりとした風だったが、とても優しく包み込んだ。
目を開けると広場が見えた。その広場のベンチに女の子が座っている。
季節は6月。
空梅雨の晴れた日の夕暮れ。
僕は女の子の近くに足を運んでいく。
そして声をかける僕がいる。
「こんにちは。こんなところでどうかされたのですか?」
女の子が僕の顔を見て優しい目をした。
僕とこの女の子の物語の始まりでもあった。
僕と大輔が『いつものところ』と言っている神社だ。
なぜかこの神社は時が止まってしまっているように思える。
小さいとき、大輔とこの神社でよく遊んだ。
この神社に来るとすべてが思い出される。
小学校4年に出会い、この神社で僕と大輔は走り回った。
二人で鬼ごっこをしたこともある。
『二人鬼ごっこ』
一人が鬼になり、もう一人が追いかけるのだ。
僕と大輔はいつもこの神社で走り回っていた。
自転車レースもしたことがある。
神社の境内を一周ぐるっと回ることが出来る神社なので、
自転車を乗り入れてレースをして遊んでいた。
他にも子ども会で主催されたイベントにも参加した。
夏祭り、盆踊り、納涼祭。
そして一年の始まり、新年のお参り。
この神社は僕の小さいときからの遊び場であり、
僕にとって沢山の思い出が詰まっている神社なのだ。
この神社の境内で漫画を読み耽っていたこともある。
大輔と最後に会った日も漫画を読んだ。
あの日はエロ漫画だった。
男の子が女の子になってエッチする漫画だ。
「大輔との最後の日があれかよ。」
大輔との最後の日になるのなら、もっと話をするべきだったと思う。
「新しいところに行っても元気で居ろよ」とか、「落ち着いたら連絡くれよ」とか、
最後のお別れくらいは言わせて欲しかった。
僕は大輔にお別れを言いたかった。
でもあの大輔の事だ。言いにくかったのだろう。
大輔は強がっているけど、とても優しい奴だ。
そしてとても恥ずかしがり屋だ。
母親やお姉さんに対してもそうだ。
嫌いだとかムカつくとか言っているけど、心の奥では違っている。
母親の事を大切にしたいと思っている。
自慢の姉だとも思っている。
しかし大輔自身が母親の期待に答えれない。
姉のように勉強が出来ない。運動神経も悪いと思っている。
大輔はそういう自分自身に怒っているんだ。
すべてのことを自分自身に抱え込んで怒りをぶつけている。
それを自分以外の人に知られたくないだけなんだ。
他人に弱みを見せたくないだけなんだ。
大輔はそういう奴なんだ。
だから僕とのお別れを言えなかったのだと思っている。
今日、僕は親友の無事と健康をお参りに来た。
このいつものところと言う神社に足を運んでいる。
大輔との思い出が沢山詰まったこの場所に来ている。
中間テストも終わり、大輔とテストを見せ合った。
僕も大輔も似たような点数だ。とても良いとは言えない。
でも赤点は免れていて、お互いに良かったと言い合っていた。
5月最後の日、僕と大輔はこの境内でエロ漫画を読んだ。
『恭也、はっきりというけど現実離れをしすぎてないか?』
大輔は空想の世界を楽しむことはしない。
現実的なものを特に好む傾向が強かった。
自分が目で見て、体験出来るもの。
そのような世界を大輔はよく好んでいた。
だから僕の持ってくる漫画を好むことはしない。
小説は好きだがファンタジー物を好まなかった。
現実社会の日常を題材とする小説を特に好んでいた。
漫画も同様に現実を題材とするものを好んでいた。
アニメは大輔は見たことがあるのだろうか?
大輔とアニメの話はしたことが無かった。
だからであろう僕が持って来たエロ漫画を読んだ感想が、
『現実離れをしすぎている』であった。
『大輔、こういうものに現実感を求めるほうがおかしいだろ。
現実にこういうことが起きないからこそ面白いんだよ』
普通に考えれば判りそうなものだ。
エロ漫画に出てくる女の子は胸が大きい。
そしてウエストが細く、お尻が大きい。
それだけでなく、とても可愛い。
そんな女の子は実在するわけが無い。
そんな女の子とセックスできるわけが無い。
出会ってすぐにヤラせてくれる女の子が居るわけ無い。
そのような非現実的なものがアニメや漫画の世界ではあるのだ。
僕はその世界がとても好きだ。
非現実に起きない事が楽しめる世界がとても好きだ。
そこが大輔と僕との大きな違いだったと思う。
このように両極の僕と大輔なのだが、
自分でもよく友情関係が築くことが出来たと思う。
両極の正反対の性格である僕と大輔。
磁石ではS極とN極という違う性質のものだが、
S極とN極はお互いに引き付け合う性質がある。
僕と大輔は違った性質を持った、S極とN極と同じだったのかもしれない。
だから引き付け合ったのだと思っている。
僕は大輔の健康と頑張って欲しいという思いで、神社の神様に願った。
「神様、大輔の事、よろしくお願いします」
長々とお願いする必要は無い。ここの神社の神様だ。全知全能の神様だ。
俺なんかのちっぽけな人間の考えていることはお見通しだ。
お参りを終えて引き返そうとすると、ふわっと柔らかな風が吹いた。
冷たくてひんやりとした風だったが、とても優しく包み込んだ。
目を開けると広場が見えた。その広場のベンチに女の子が座っている。
季節は6月。
空梅雨の晴れた日の夕暮れ。
僕は女の子の近くに足を運んでいく。
そして声をかける僕がいる。
「こんにちは。こんなところでどうかされたのですか?」
女の子が僕の顔を見て優しい目をした。
僕とこの女の子の物語の始まりでもあった。