第三章;第十一話

文字数 1,823文字

 朝、女の子が目を覚ますと、
 そこには丸い目をしたクマさんがおりました。

 別に童話の世界ではない。
 実際に僕が目を覚ますと、
 クマさんのぬいぐるみが一緒に寝ているのだ。

 昨日の夜はクマさんぬいぐるみが大人気で、沢山の部員に抱きしめられていた。
 そして僕と恭也のことに質問攻めにあい、
 顧問の先生から「早く寝なさい!」と怒られ寝たのだ。

「おはよ。クマさん。」
 僕もこのクマさんはお気に入りになった。
 女の子の部屋にはぬいぐるみがあると小説とかに書いてあると、
 僕はすぐにクマさんのぬいぐるみが思い出される。

 キャラクターだったらクマのプーさんとか、テディーベアとか、リラックマもクマさんか?
 リラックマは男のときに見たことがあるけど、なんかボケーっとしててムカつくんだけど。

 当時の人達って本当にこれで癒されていたのか?などと思ったものだが、
 僕が女の子になってテディーベアをプレゼントされると嬉しい。
 そして一緒に寝て朝を迎えるとなんか良いと思う。
 やっぱりクマさん可愛い。

 男性諸君、女の子にはクマさんぬいぐるみをあげよう。
 僕は恥ずかしいと思ったけど、すごく嬉しかった。
 部員の女の子たちも変る変わるクマさんを見ては、クマさんぬいぐるみを抱きしめて喜んでいた。
 もちろんそれで女の子にフラれることがあっても、当局は一切、関知しない。

 今日の合宿はランニング。
 足腰を鍛えることに重点を置いて運動した。

「三浦結、こっちに来て」
 顧問の先生に呼ばれて僕は顧問に近づく。
「合宿最終日の8月10日に県庁に行く」
 県庁?なにをやりに?
「三浦結の全国大会優勝の事で、県知事さんからとっても楽しいお話があるそうだ」
 うわ・・・。最悪・・・。
「なんか新聞者さんも来て写真を撮るみたいだから、可愛く写るようにみんなから指導されなさいね」
 この顧問、なんかすごく楽しそうなんですけど・・・。

「恭也、10日合宿が終わったらそのまま県庁だって」
「なんか結さん、有名人ですね」
 ぜんぜん嬉しくない。
 なんか暑くて頭が痛いし、体がだるい。
 いっぱい寝て、ちゃんと身体を休めているんだけどな・・・。

「結さん、なにか憂鬱そうですね」
 合宿は楽しいのに、なにか体調が良くない。
「大丈夫。恭也、走るよ」
 僕たちはランニングを始めた。

 休憩をしていると恭也が呼ばれる。
 顧問の先生と恭也がなにか話をしている。
「恭也、どうしたの?」
「顧問の先生が結さんの体調について聞きにきた」
「大丈夫だって言っているのになんだろうね?」
「本当にそうかな?僕は辛そうにみえるんだよね」
「暑さのせいだよ。すぐにバテてくるし夏は苦手なの」
 僕はそう思いたい。暑いし体が思うように動いてくれない。

「木陰で休みましょう」
「恭也、また休憩?僕は大丈夫だよ。」
「結さん、木陰で休みましょう。大切な身体ですから」
 木陰で休んでいると風が感じる。
 なんかちょっと涼しいと感じてくるから不思議だ。

「結さんは無理をしすぎるところがあると思うよ」
「頑張らないとお姉さんに近づけないよ」

「結さんは結さんでいいんじゃないかな。とても頑張っているから。いいと思います。」
「それでは僕の気持ちが収まらないから」
 僕は立ち上がった。
「休憩終わり。恭也、走るよ」

          ☆彡

 練習も終わり宿泊先に戻ってくる。
 部屋に入って僕はお風呂に行く。
 疲れはとれているはずなんだけど気分が悪い。

 お風呂から出て部屋に行くがやっぱりダウンした。
 先輩が心配して来てくれるが熱は無いし、ご飯まで寝ていなさいと言われる。

 食事の支度が出来て、僕は起こされる。
 すごく体調が悪かった。熱は無いけど、とてもだるい。
「熱気に当てられていたからかな」
 水分は摂っているから問題ないと思うのだが、起きている事がとてもだるくて辛かった。

 ご飯を食べるのだが食欲が出ない。
 ご飯を沢山残してしまった。

 僕はすぐに寝ることにした。
「結ちゃん、忘れ物。一人ぼっちで寂しいって言ってるよ」
 僕は先輩からクマさんを渡されて一緒に寝た。瞬寝だった。
 布団に入る→クマさん抱く。→おやすみなさい。
 クマさんの睡眠効果すごいです。

 そして僕は朝まで寝るのであった。

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登場人物紹介

三浦大輔(みうらだいすけ);県立城北第二高校1年生。

恭也の親友。現実派。母親と姉の事が嫌い。

三浦 結(みうら ゆう);私立城北第一高校1年生。

大輔の従妹ということになっている。

勝気で短気・頑固。涙脆い。正義感が強い。

佐伯恭也(さえききょうや);県立城北第二高校1年生。

大輔の親友・小学校4年生からの幼馴染。三浦結が大好き。

三浦翔子(みうらしょうこ);私立城北女子第三高校の教師。

三浦由依・大輔・結の母親。

三浦由依(みうら ゆい);私立城北第一高校2年生。

三浦大輔・結の姉。

鈴木太一(すずきたいち);私立城北第一高校1年生。

負けず嫌い。未来の幼馴染。結のクラスメート。

四谷未来(よつや みく);私立城北女子第三高校1年生。

太一の家の隣に住んでいる。幼馴染。太一に恋心有り。夢見る乙女。

田端美耶(たばた みや);私立城北第一高校1年生。

いつも本を読んでいる。自分の伝えたい言葉を格言や台詞を使い話す。

佐伯 智(さえき とも);市立北浜中学校2年生。

佐伯恭也の弟。見た目は女の子だが完全な男の子。

結のことが大好き。

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