この力尽きるまで 展示最終日篇

文字数 3,625文字

そして最終日である!

徹夜で話し込んだ我々は、有終の美に向けて、再び宿を後にしたのである!

もうこの時、疲れてたはずなんだけど、テンションだけで持ってましたよね。
そこまで入れ込むなんて……ある意味、すごいですわ!
さすがにワタクシもこれはヤバいと思い、宿の隣のコンビニで赤飯オニギリを一個所望し、朝餉として立ったまま飲み下したのである!
それじゃまさに戦闘糧食じゃないですかー。食生活ヒドすぎますよー!
それどころではないほど、展示完遂に向けて意気は上がっていたのだ!
しかし、私たちが非実在女子高校生だってこと、忘れてました……。
ワタクシの著者の身体が先に音を上げたのである! 軟弱な!
ひいいい! いくらなんでも著者さんはもう**歳ですよ!(演出上敢えてここでだけ秘す) もう無理ですよ! ヒドいッ!
正直、著者はがんばりすぎておった。

そこで、昼食に連れ出されたときに突然仕事の電話がかかってきて、それに対応していたら来客のことを忘れているという大失態をやらかしたのである。


当然飯抜きで戻り応対、そののち仕事のメールを打つはめになった。

その結果昼餉はコンビニで買ったウィダーインゼリー4個をノドに流し込むだけであった。

さらに食生活ヒドくなってるじゃないですかー!
摂取カロリーを足し算して400キロカロリー超えて、これでナントカと思いつつ、しかもすでに意識がモーローとしていて、その計算が合っているかどうかアヤシかったのだ!!
このままじゃ倒れちゃいますよ! ヒドいッ!
薄れゆく意識の中で、同じ倒れるのでも模型を巻き込まないようにと離席したり、セーフティーゾーンを確保してパイプ椅子に突っ伏したりと、もう展示の説明など出来なくなっておった。

まさに大破炎上、戦闘不能状態である!!

ひえええ。ビッグサイトで遭難しちゃいますよ……というか、そんな体力マネジメントだと運営さんにも最後メーワクかけちゃいますよ。ダメですよ。
それでも力を振り絞って来客への説明を行ったりしておったのだ。
そんな状態だったんですか……。
うちの著者はもうアラ***というべき歳なり。しかも普段座り仕事で自動車通勤で激しく運動不足! しかも疾患も諸々抱えておる。実に軟弱この上ない! 体力作りをせねばならぬ!
総裁ー、いいかげん著者さんを許してあげなよー。
しかし、著者もこれを辛いとか、哀しいとは少しも思ってはおらぬのだ。

むしろ幸せに思うておった。

テツ分のオーバードーズが過ぎますわ!
これもまた、そもそもの「約束」の件にかかわるからの。生半可な覚悟で臨んだのではないのだ。ワタクシも著者もこれで中途半端は出来ないと思っておったのだ。
総裁も著者さんも頑固で強情だなー。身体完全にボロボロじゃない。
それでも、喜んでくれる人、約束した人がいる限り、力尽きるまでやらずにはおられなかったのだ。

それだけ、これまでが辛かったのだ。

もうすでに辛かったから、このときの辛さはなんともなかったのだ。

そんな……。
もう脳にヤバい物質が出まくって身体の出してる危険信号を完全に無視してる感じですよ……。
もうだめ! ちゃんとATS作動させなきゃ!
ちなみに展示ブースの近くがステージで、そこに政治家を含めた著名人が登壇していたのだが、記憶は定かではない。なおかつ、すでにこの時点で消費カロリーは500キロカロリーを超えていた!
食べたカロリーより多く使っちゃってるじゃないですか! 外出時にそれはあぶないですよっ!
そんなこんなであったのだが、ついにラスト、展示終了である。撤収作業も完遂したのであるな。追兎電鉄さんや壬生くれはさんも協力してくれてサクサク進んだのである!
私も初めての撤収作業に参加出来て良かったです。だって、撤収で梱包した後、そのまま壬生さんと総裁と私の3人で打ち上げに行く予定でしたから。

でも自分のだけ梱包してさよならだと、気付けないことがいっぱいありました。

これからの展示について、多くの収穫がありました。

うちの著者も、是非次回には今回の減力展示ではなく、フル規模での展示をしたいと心に誓い、なおかつ来年の搬入についての情報収集を行ったのである!
それどころじゃないですよ……あぶないってば。
そして、その後、打ち上げに行くのだが、なんと、そこで道に迷った!
えええええ!!!
行けども行けどもゲートが開いておらぬ! 気がつけばビッグサイト東館をあの巨大なスーツケースを転がしながら、まる一周してしまったのである!
あれは、疲れて最後には言葉も出なくなっちゃいましたね……。
ビッグサイト死の彷徨……ひいい、ヒドいッ!
しかし、ワタクシたちはタクシーをようやく捕まえ、打ち上げを行う渋谷ジャパリカフェへ向かったのである!
あそこで打ち上げとか、すごい!
もう体力ゲージは数ピクセルしか残っていない感じであったが、タクシーの中で少し回復し、ジャパリカフェには若干予約時間から遅れて到着。
そしてそこで注文して、展示や「けものフレンズ」の話をして慰労して笑い合ったのである。ここまでボロボロになりながら!
ほんと楽しかったですよね。ずっと笑ってましたね。
やり過ぎもここまでくると命にかかわりますよ……。
しかし、この飲み物の旨さは格別であったぞ! うちの著者もアルコールなくても至福であったのだ。
総裁はいくら非実在でも未成年だからアルコールはダメだよー。
それどころじゃないー!!
このオムライスが、この日、20時になってようやくはじめて食べたマトモな食べ物であったなり。


あまりにも美味しくて、わが生涯において忘れられない味となった!

いや、そこまで極限状況になればふつーに美味しいよねー。
このパフェも実に美味しかった。甘味がまさに身に沁みた……。
そりゃカロリー赤字ならそうなりますよ。
それでもパフェの写真を撮る程度に徐々に回復してきたのである!
そして、このパフェのこのイラストのdpi数がいくつぐらいかと思うておった。
あぶないなー、もう。もはやビョーキだよう。

ステキな物語、ステキな模型、ステキな友人。

他に何があるだろうか。

いや、他に何もないのだ。


光を見失わなければ、闇はいずれ晴れ行く。

そう信じて生きていくのだ。


と思いながら、楽しい時間は過ぎ、カフェの予約時間も終わり、ワタクシは宿に戻り、ミエ君はバスで兵庫へ帰る時間となった。

そして、ついに打ち上げが終わった。


別れの時が来た、はずであった!

ええっ、どうしちゃったの!
その帰り道に疲れててみんな次々とゴーカイな忘れ物をしてしもうた。

ワタクシはなんと、大きなカバンをタクシーに忘れてしまったのだ!

ひいいい! かばんちゃん! ヒドいッ!
それに、その時カラカラって音がして。私、「あ、ラッキーさん1/150を落としちゃった!」と思って。
もう、みんな完全にポンコツじゃないですか! ヒドいッ!
ワタクシはハンドキャリーをコンビニから家へ発送し、そして地下鉄半蔵門線に乗りこんだ。もうヘトヘトで、気を失いかけておった。

その付近で花火大会があったのか、浴衣の方々がいたのを見たのを最後に、しばらく記憶が途絶えた。昇天しかかったのだ……。


座れていなかったら完全に昇天していたであろう……。

めちゃめちゃです!
まさに、「ダークナイト イン 半蔵門ライン」の様相であった!
それどころじゃないー!!
ところが、私もそのころ、東京駅について、バスに乗ろうとしたら、気付いたんです。


持っていたバスの切符の出発の日付が、7月のものでした。

ええええええええ!!!!!!!
そしてその日は、もう帰宅出来なくなりました……。予約サイトで操作を間違えたまま気付かなかったみたいなんです。


むなしくバスを見送って、総裁に連絡を取りました。

連絡を受けたワタクシは、宿に戻り、突っ伏していたのである。

しかし、もう宿に入ってしまえば何とかなる。


ワタクシは最後の力を振り絞って、フロントに行って、ミエ君の宿泊を確保したのである!

ひいいい! ポンコツ過ぎます!
そして、私はついに、力尽きたのだ……。
私も、総裁の確保した宿に戻る駅の階段で力尽きました……。
なんてこと! 二人とも轟沈じゃない!!
何故そんなになるまで……。そんなに嬉しかったんですか?
さふなり。疲れていた。力尽きていた。でも、嬉しかったのだ。予定の日程は、最後ボロボロであったが、完遂したのだから……。
私もそうでした。もしここまでやらなかったら、あとですごく後悔することになったと思います。
二人とも……。それが約束……? 命がけじゃない! ヒドいッ!! ヒドスギル!!
しかし、これも約束の全てではないのだ。しかも、ワタクシとミエ君の旅は、まだ終わらないのだ。
ひいい! 二人とも、どうなっちゃうの!! 家にちゃんと帰れるの!? ヒドいッ!
総裁とミエ、ついに出展作戦の全日程を完遂するも、まさに轟沈!

その二人がどうなったのか。

次回最終回「約束の朝」。おたのしみに。


……って、アブナイよね……。

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登場人物紹介

長原キラ ながはらキラ:エビコー鉄研の部長。みんなに『総裁』と呼ばれている。「さふである!」など口調がやたら特徴ある子。このエビコー鉄研を創部した張本人。『乙女のたしなみ・テツ道』を掲げて鉄道模型などテツ活動の充実に邁進中。

葛城御波 かつらぎ みなみ:国語洞察力に優れたアイドル並み容姿の子。でも密かに変態。しかしイマジネーション能力は随一。


武者小路詩音 むしゃのこうじ しおん:鉄研内で、模型の腕は随一。高校入学が遅れたので、実は他のみんなより年上。鉄道・運輸工学教授の娘で、超癒し系の超お嬢様。模型テツとしての腕前も一級。


芦塚ツバメ あしづかツバメ:イラストと模型作りに優れた子。イラストの腕前は超高校級。「ヒドイっ」が口癖。


中川華子 なかがわ はなこ:鉄道趣味向けに特化した食堂『サハシ』の娘。写真撮影と料理が得意。バカにされるとすぐ反応してしまう。

鹿川カオル かぬか カオル:ダイヤ鉄。超頭脳明晰で、鉄道会社のダイヤをアルバイトで組んでしまうほどの『ダイヤ鉄』。プロ将棋棋士を目指し奨励会所属。王子と呼ばれるほどハンサムな女の子。電子回路やプログラミングが得意。

田島ミエ たじまみえ:総裁の古くからの友人。凄腕の模型テツ。鉄研のみんなと一緒に大洗などを旅行したものの、関西在住で滅多に会えない。なおかつその実像は不明。

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