第41話 開会式

文字数 2,360文字

いよいよ開会である!


波野氏との打ち合わせはなかなかできなかった。なにしろ波野氏の環境は事情により音が出せない環境。これではリハーサルにならぬ。


波野氏が浅草橋におくHQ(指揮所)を開いたのを見計らって最終リハーサルをするしかない。


えっ。
そんな目論見はあっさり崩壊した。


波野氏が浅草橋入りするのは11時との通知が届いたのはまさに開会の日の朝。


配信開始は12:30。波野氏が浅草橋にHQを設置する作業時間を考えると、リハーサルに使える時間は、ほぼ、ゼロ。

ひゃああ、めちゃくちゃです!!
しかしもうどうにもならぬ。もうひとりの配信に出る技術担当のワラさんとのGoogleMeetが早めにつながったのでそれで調整したのだが、今考えるとこの時すでに失敗のレールは敷かれてしまっていた。
そんなだったんですか…。
さらに。当日準備の進む中でやった著者一人での前説リハーサル。これでも問題があった。


30分確保したのに、2回通してやっても12分で終わってしまうのだ。

尺が足りないじゃないですか。これじゃおわったら視聴者がどんどん離脱しちゃいますよ。
今思えば前説の時間を12:40からに変更できればよかったのかもしれぬ。

しかしTwitterでの告知はもうしてしまっていた…。

冒頭から詰むの決定じゃないですか。
勇気を出すことももうできなかった。勇気を出せればよかったのだが…。


それで12:30に前説を開始してしもうた。

ひゃああ。ひどいっ。
これが前説番組である。
前説が終わったのは12:40ごろ。20分余った。


そこに音楽を流して時間をかせぐ知恵も浮かばなかった。

ダメダメじゃないですか。
途中、スタッフの中からようやく音楽流そう、という知恵が出て、音楽付きスライドショーの音楽を流した。
えっ、音楽付きスライドショー、って、準備してたんですか?
していたのだ。
なんでそれ使わないんですか。こういうときこそ使うときでしょ!
やってみてやってる最中はかくも気が回らぬものだと思い知らされて愕然としていた。
77回も自分の北急電鉄の鉄道模型配信やっててそんななんて。ひどいっ。
詰まるところ素人の悲しさであるのだ…。カッコよくキメるなどできるわけもなかった。
そりゃそうですよ。
でもこうなったらカッコよくできないのは明らかなのだから、もう期待せずにやれることをドロドロでもやるしかないと思いきったのである!!
そして始まった!!
第一声は「はじまりますか」であった。つづくのは我が著者の「はじまりますね」である。


波野さん、なんでそんなすごいサングラスしてらっしゃるのでしょうか…。
よくわかんないけどカタギに見えないー!!
これはなにをなさろうとしてらっしゃるのでしょうか…。
HON.jp理事長の鷹野さんのビデオメッセージを再生しようとしておったのだが、うまくいかなかったのだ。
リハーサルできてれば、でしょうか。
とはいえその時間がもうなかったのだ。今更それを言っても詮無い。

そこで厚木の著者のPCから鷹野さんのメッセージを再生することにした。

こうなったら臨機応変をひたすらがんばるしかないのだ。

鷹野さんのメッセージはなんとか再生できた。
ほっといたしましたわ…。でもこんなことを2時間30分やって30分休むのを13回もくりかえすのでしょうか。過酷ですわ…。
でもこれでこそNovelJamともいう気がする。まさにJAM、即興であるからの。

十二分な準備に頼らず、どんな無茶ぶりにもその場での臨機応変とインスピレーションを駆使するのもまた醍醐味であるかもしれぬ。

鷹野さん、お足元の悪い中、って…。今回はフルリモートだから天気関係ないー。
それは鷹野さんらしい笑いであるのだ。いつもどおりのみんなであるのだ。
審査員などの紹介であるのだ。
ちゃんと開会式らしいかも!
ワイプの配置とかはもっと工夫する余地がありましたね。
さふである。開催中に調整もしたが、いかんせん30分しかインターバルがないので大きな変更は非常にしにくかった。
波野氏の自己紹介もある。
Discordなどの技術担当やDをやってくれるワラさんと、我らの著者米田の紹介もあった。
ワラさんは創作ではスポーツルポの名手ですわ。またNovelJamでは著者と編集でも参戦したことがあります。穏やかでも芯に熱いものを持ったナイスガイです。
うちの著者が放送「部長」なんてなってて、ちょっとふふっ、ってなりますね。
一人でやるしかないのに。助手をつけようという話があったのだが我が著者はそれができる仲間がおらぬ。人望の無さゆえワンオペでがんばるしかないのだ。
アートディレクターの杉さんとフェローの森田さんの紹介。
杉さんは現役の一級のデザイナー、森田さんも気鋭の詩人。まさに今このNovelJamで可能な最強力な布陣ですわね。
我が著者が最大の弱点とならぬようにせねばならぬ。
そしてチーム紹介である。チームはAからFの6チーム。それぞれ2人の著者に編集、デザイナー1名ずつで構成される、はずなのだが、なんと今回、チームによっては変則構成となっておる。
ええっ、編集に著者3人で1人のデザイナーの4人チーム? 

編集兼任の著者と著者1名のデザイナーの3人チーム?

編集なしの著者3人にデザイナー1人の4人チーム?!


とんでもなく変則的ですわ!!

さふなり。さまざまな事情でこういうチーム構成となった。ゲームメイクに長けたものならではのバランス感覚である。基準はITスキルや環境、使用SNSなどを考えたものらしい。それが全く合わないとその時点で困難が大きすぎるとの判断である。
そういうやり方もあるのですか…。興味深いですわ。
次回、いよいよお題発表である。まだNovelJamはあの前説から44分。まだまだ先は長い。締め切りまであと1日と22時間あるのだ。
つづきます!
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登場人物紹介

長原キラ ながはらキラ:エビコー鉄研の部長。みんなに『総裁』と呼ばれている。「さふである!」など口調がやたら特徴ある子。このエビコー鉄研を創部した張本人。『乙女のたしなみ・テツ道』を掲げて鉄道模型などテツ活動の充実に邁進中。

葛城御波 かつらぎ みなみ:国語洞察力に優れたアイドル並み容姿の子。でも密かに変態。しかしイマジネーション能力は随一。


武者小路詩音 むしゃのこうじ しおん:鉄研内で、模型の腕は随一。高校入学が遅れたので、実は他のみんなより年上。鉄道・運輸工学教授の娘で、超癒し系の超お嬢様。模型テツとしての腕前も一級。


芦塚ツバメ あしづかツバメ:イラストと模型作りに優れた子。イラストの腕前は超高校級。「ヒドイっ」が口癖。


中川華子 なかがわ はなこ:鉄道趣味向けに特化した食堂『サハシ』の娘。写真撮影と料理が得意。バカにされるとすぐ反応してしまう。

鹿川カオル かぬか カオル:ダイヤ鉄。超頭脳明晰で、鉄道会社のダイヤをアルバイトで組んでしまうほどの『ダイヤ鉄』。プロ将棋棋士を目指し奨励会所属。王子と呼ばれるほどハンサムな女の子。電子回路やプログラミングが得意。

田島ミエ たじまみえ:総裁の古くからの友人。凄腕の模型テツ。鉄研のみんなと一緒に大洗などを旅行したものの、関西在住で滅多に会えない。なおかつその実像は不明。

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