第40話 開会直前

文字数 2,430文字

というわけで準備をしている中、東京オリンピック2020も開催されておった。

いろいろ複雑な気持ちにならざるを得ぬオリンピックになってしまったが、にもかかわらず、選手たちの奮闘とその開催に係る疑義醜聞は「それはそれ、これはこれ」と考えるべきものと思うた。


無用に大きなイベントをこの時期に開催するなと自粛強制するなら、その強制はいずれ我らにもかかってくるやもしれぬ。我らにも慎重さが求められると心得たのだ。

そうよね。私達の鉄道模型のJAM国際鉄道模型コンベンションがやり玉に挙がったらと思うとゾッとするもん。それより手洗いうがいマスクの徹底、それしかなくてもそれやることは最低条件のはず。

でもそれができてない。病院の入口でも手洗いも検温もしない人が多すぎる。

こんなとこで緩めてどーすんのと思う。

せっかくここまで忍耐してきたのに、ワクチンが打たれだしてからの緩み方には心が痛みますわ。

修学旅行も遠足も文化祭も青春も奪われた学生生徒さんたちのことはもうどうでも良くなってしまったのでしょうか。

それはそれ、これはこれ、てことと、因果関係のあることないことが判断できない人、多すぎですよ。ひどいっ。
誰かを憎めば解決できるならいくらでもすればいいよー。でもそれで解決できないのは明らかじゃんー。ほんとの敵はコロナウイルスなのに、つまんない諍いに忙しくて簡単な手洗いうがいマスクがどうでも良くなっちゃうって、ほんと人類ってどうしようもないよー。かなしくなるー。
手塚治虫さんのSFで人類滅亡の危機になっても共通の敵相手に戦うより人類同士の争いにうつつ抜かしてる人々の醜さを書いたのがいくつもあるけど、ほんとそのとおりです。

共通の敵に向かって人類が協力し合うSFのほうが好きなんですが、そんなものはリアリティなかったんですね。残念すぎます。

にもかかわらず、我らは運命を呪ってはならぬ。呪えばもう地獄ゆきは確定してしまう。

最後まで、望みを捨てず、使命を忘れずでいくしかないのだ。

我々のそういうところが今、まさに試されておるのだぞ。


そういう意味で、オリンピック選手もまた、強烈に逆境に試されておったと言える。

ただのオリンピックでも4年に1度のプレッシャーでたいへんなのに、今回さらにこんなですもんね。

ほんと、今回の選手はみなそういう逆境と戦った英雄だし、そのメンタルマネジメントが最大の焦点だったと思う。ひどいっ。

ひどくはなかろう…。


とはいえ、この東京2020、学ぶところは大変多い。

物事を受け止めるなかで一番なのは、やはりそこからいかに学ぶかであろう。

なんでも学びのチャンスとやっておれば、無意味なものはないし、人生も有意義になるというもの。

それこそわが「乙女のたしなみ・テツ道」でもあるのだ。

なんですかこれ。
著者さんが描いた、オリンピック見てる私達みたい。ひどいっ。
わたくしたち、こんな顔で見ていたのでしょうか…。
こんな間抜けな顔じゃないー。やだー!
ほんと著者さん、イラスト下手だなあ。もう。
だからワタクシは著者が悪いと再三言うておるのだ。うぬ。
でも、著者さんのメンタルマネジメントも大事になりますね。
さふであるのだが、我が著者はすぐ情緒不安定になるのだ。こんなことでは甲作戦突破は困難であろう。そこでワタクシが鉄研制裁で鍛え直しておった。
ひいい! そんなブラックなことしてたら著者さん壊れちゃいますよう! ひどいっ。
それと同時に配信の技術調整も実施したのである。


まず配信の画面とワイプの構成。これはオリンピック中継に倣った。左上に時計と締め切りまでの逆算時計、右上にメッセージボードとNovelJamのロゴを使い、下にワイプを配置していった。

でも実際どんな感じだったんですか?
このときの写真はいろいろ公開できないのでスルーとする。

いろいろとこういうイベントをやると、そういうデリケートな情報もからんでしまうからの。

ということでご理解いただきたいのだ。

それはそうですわねえ。
またいろいろなアイディアも出した。

そのなかにこんなものもあった。

なんですこれ。
執筆、編集、デザインを表すピクトグラムにならぬかと考えたものなり。
うーん、わかりにくくてひどいっ。下の文字なきゃさっぱりじゃないですか。
さふであろう。『いらすとや』さんのイラストを単純化しただけなのでピクトグラムとしては駄目であるのだ。しかし『いらすとや』さんもイラストでこれを表すのはとても苦労しておるようで、なかなか複雑に要素を足してなんとかという感じであった。
書籍編集とは何か、なんて考えたら、とんでもなく長引く議論になります。それをピクトグラムに落とし込むのは至難ですよ。
あ、開会式のピクトグラムみて、やろうとしたんだねー。
華子にはばれてしまうのう。さふいうことなり。でも非常に難しいことなので却下であった。作れば使い回しが効いてよいのだが、いかんせん困難すぎた。
でも他の準備はどうなってたのー?
いろいろとやりたいことはあったのだが、さっぱりできなかったのだ。
え、まさかぶっつけ本番?
ほとんどそうなった。本当はもっとリハーサルをしっかりしたかったのだが、今回のスタッフは少数精鋭すぎて他のみなは準備にフル稼働であったのだ。それに割り込んでのリハーサルはできぬ状態。それどころか打ち合わせすらも正直不十分であった。しかしそれをやろうにも配信の進行などはやってみなければわからぬことだらけなのだ。
大丈夫じゃないですよ。ひどいっ。
しかしもうどうにもならぬ。もう実際にやってから調整を繰り返していくしかなくなった。

こうなるとやって失敗しながら調整し、度胸と諦めと面の皮で勝負するしかない。


ただひたすら腹をくくってやるしかないのだ。

そんな状態だったのですか…。
泣いても笑ってももう開催の日である。配信は12:30の我が著者の前説から。


もう逃げることもやめることもできぬ。覚悟だけ。それで、ついに配信開始のボタンを押すに至るのである!

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登場人物紹介

長原キラ ながはらキラ:エビコー鉄研の部長。みんなに『総裁』と呼ばれている。「さふである!」など口調がやたら特徴ある子。このエビコー鉄研を創部した張本人。『乙女のたしなみ・テツ道』を掲げて鉄道模型などテツ活動の充実に邁進中。

葛城御波 かつらぎ みなみ:国語洞察力に優れたアイドル並み容姿の子。でも密かに変態。しかしイマジネーション能力は随一。


武者小路詩音 むしゃのこうじ しおん:鉄研内で、模型の腕は随一。高校入学が遅れたので、実は他のみんなより年上。鉄道・運輸工学教授の娘で、超癒し系の超お嬢様。模型テツとしての腕前も一級。


芦塚ツバメ あしづかツバメ:イラストと模型作りに優れた子。イラストの腕前は超高校級。「ヒドイっ」が口癖。


中川華子 なかがわ はなこ:鉄道趣味向けに特化した食堂『サハシ』の娘。写真撮影と料理が得意。バカにされるとすぐ反応してしまう。

鹿川カオル かぬか カオル:ダイヤ鉄。超頭脳明晰で、鉄道会社のダイヤをアルバイトで組んでしまうほどの『ダイヤ鉄』。プロ将棋棋士を目指し奨励会所属。王子と呼ばれるほどハンサムな女の子。電子回路やプログラミングが得意。

田島ミエ たじまみえ:総裁の古くからの友人。凄腕の模型テツ。鉄研のみんなと一緒に大洗などを旅行したものの、関西在住で滅多に会えない。なおかつその実像は不明。

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