エンド・オブ・鉄研でいず!
文字数 3,255文字
どうしたんですか総裁。KS-ATS作動でようやくストーリーがまた再開だと思ったのに。
それが、である。アクセス解析があまりにも酷い結果なのだ。
えっ……。ほんとだ。PV 2って……ほんとにこの話のPV落ちちゃったのね。
まあそれだけ話を長く引っ張った上に放置したからのう。仕方がないと言えばそうであろう。とかく今年は裏目に回り続けたからのう。
でも、話を放り出すわけにはいきません。読んでくれる方は2名とはいえいたわけですから。
さふであるな。アクセス解析に振り回されるのは愚の骨頂であるな。
そうですわ。それにあの2月末から、いろんな事がございましたわ。わたくしと御波さんのPythonでこのトークメーカー作品を電子書籍化しようともしましたけど、あの頃総裁は
そのとき、みんなが押し黙った。
そう、総裁はそのころ、実家の問題でひどく苦しんでいたのだ。
ノベルジャム から帰ってきた著者を待っていたのは容赦のない実家の仕打ちであった。そして総裁もまた、著者を依り代とする非実在女子高生として苦しんでいたのだ。
諸君も知っておったであろう。著者のスケジュールにはあのころ、「4月以降は絶対に予定入れない」と記されていたことを。そう。4月で著者は全てを辞める気だったのだ。
そう。生きることも辞めてしまおうとしておったのだ。なにしろいきている事がただ負債を増やす浪費にしか思えぬのだ。コスパやバランスシートを考えれば生きるのを辞めるのが一番としか思えなかったのだ。
でも、今の世の中、そう言う気にさせられる事多い。結婚にいくらかかる、子育てにいくらかかる、老後にいくらかかる、って試算がどんどん出て。とてもじゃないけどやっていけるとは思えない。
そうよね。あんな額のために稼ぐと思ったら途方もなくて嫌になるわ。ヒドいッ。
でもさー、それはそれで得られる楽しさとか、喜びとか嬉しさを少しも計算に入れてないよー。計算が釣り合わないのは当たり前だよー。
さふである。華子はえらいのう。今の資本主義的世界観は斯様に認知的に間違っておるのだ。これではまともに生きていく方が困難であろう。
でも、著者さん、ほんとうに4月で命を捨てるつもりだったなんて。
もうやれることもやってダメなのはよくわかったからのう。何もかも裏目にでる日々だったのだ。
わたくしたちも著者さんがいなくなれば、もう新たな活躍はできなくなってしまいますわね。残念ですが、致し方のないことです。
何かを恨んだり、何かを巻き添えにしないように、と色々と具体的に方法まで考えていた著者であった。まさに作家生活20年を過ごした結論が出ようとしておった。結論は、この何も降り立たぬ荒野だったのだ。
でも、その直前に著者さん、別れた奥さんとのデートがありましたね。
あわわわ、そんなことおおっぴらに言っちゃダメよ!ヒドいッ!
しかし事実であるからの。著者は離婚してからも9年間寄り添った奥さんとたまに会ったりしておった。そして3月の末に、奥さんが星座検定の受験を兼ねて東京に来る事になっておった。
それが著者の人生の最後の楽しい思い出となるはずだった。鉄道模型出展も現実にはもう無理と判断しておったからの。守れぬ約束となるが、致し方ない。
だからめちゃめちゃ鬱だったんですね。ノベルジャム のグランプリ目指してたのに、そこで失速したのも。
さふなり。詳しくは省くが、我が著者にとってもう生きていく道は少しも残っておらなかった。ノベルジャム でもやり残したこともあったが、その結果について「楽しんでやることは努力とは言わない」とまで言われたのが致命傷であった。苦しんでやる努力は全て失敗に終わり、唯一楽しめるほどにできたものまで否定されたのだ。
でも、それは他人の評価ですよね。自分の評価がしっかりしてればどうでもいいことじゃないのかと思うんですが。
やだなー、カオルちゃん、うちの著者がそんな健全な認知能力持てるわけないじゃん。持ってたらそもそもこうならなかったよー。
華子は本当にえらいのう。さふなり。ノベルジャム であれだけの激闘の後にそう言われれば、もともと認知が歪みやすい著者、もうなにも自己肯定できないのだ。
そのうえYouTubeの収益化も失敗したのですわね。7800円まで収益を上げていたのに入金目前でYouTube当局が収益化資格なし、とした。わたくしもあれはひどいと思いましたわ。
現代の資本主義、新自由主義の恐ろしいところであるのだ。あれから後YouTube本社に突入して銃を乱射した女性が出たが、現代のコンテンツプラットフォーム商法に乗らざるを得ないクリエイターは皆、生殺与奪を私企業の一方的で恣意的な判断に握られることになる。現代版「蟹工船」のような凄まじい収奪と搾取の姿である。
あの時、それを嘆いたら「でも動画作りたいんでしょ?なら文句言わずにただで作れ」と言われたのも追い打ちでしたわね。
頭のてっぺんまでそういうひどい新自由主義という現代の病に毒されてその自覚もなく搾取されてる。私も悲しかったなあ。
事実、作らざるを得ないのが著者である。、だが、望んで作るのとそう煽られて作らされるのとは大違いである。やはり作らざるを得ないけれど作らないしかない。とすれば、もう命を捨てるしかないのだ。
そんなこと思いながら、私とHIGSE計画の話をしていたんですね……。
そうなのだ。もう絶望しかなくても、気を紛らすように架空ロマンスカーの設計の話をし、そのためのデザイン画を描いたり、そのためのインレタを作成したりしておったのだ。
でも、全ては4月の全ての終わりの日に向けて、定まっていたのだ。
そういえば、4月って、著者さんの先輩作家さんの……。
じゃあ、新ロマンスカーGSEの一番列車見に行ったりしたのも、本当はそういう悲しみの中で行ったんですか? ヒドイッ!
そうなのだ。日々の仕事をしながら、突然この世からおさらばするつもりであったのだ。全ての準備は進んでいた。いわゆる身辺整理を進めておったのだ。それでも著者は片付けが苦手なので、なかなか進まなかったのであるが。
経済的にも逼迫し、精神的にも追い詰められ、誰も救いにならなかったのだ。まさに孤立無援。
著者は自分に助かる資格がないと思って、助けを呼ぶことも諦めておったのだ。これではもう助かる道を自分で絶ってしまっておるわけだな。
そう。その元嫁さんとのデートの後、ノベルジャム のグランプリ表彰式を終えたら、もう後のことはない。なにがあろうとも、著者は命を捨てるつもりであった。
そのつもりで、著者は最後のデートと最後の表彰式のために、バスに乗った。2018年3月25日の朝のことである。
44にもなって親に「育て方を間違えた」と言われれば、もう、答える言葉もないであろう。育ち方を間違えた責任を取るには、そうするしかない。残酷だが他に道はない。
そして向かったのは東京ビッグサイトのアニメフェアである。元嫁さんとのデートであったが、著者はそれを見ながら、JAM国際鉄道模型コンベンションで来ることができない無念を感じておったのだ。8月にはもう著者はこの世には残らぬ予定であったのだから。
それで……このエピソードのタイトルが、「エンドオブ鉄研でいず」なんですね。
そう。これで終わりなのだ。編集にも裏切られ、仲間にも助けを呼べず、信じてきたものを全て奪われた結果は、これしかなかったのだ。
そう。あのビッグサイトのアニメフェアへの入場待機列で、著者は本当に愛している元嫁さんと、あと数日だけと思った44年の人生の最後の思い出を作っておったのだ。
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