第31話 YouTube大作戦の結果は

文字数 2,278文字

ここまでYouTubeにも我々は投資してきた。

ボイスドラマ全6話、シリーズ合計で**万円投資!!


えっ、そんなにかかったんですか! ひどいっ!
声優さんの取り分考えたら当然である。これでもスタジオレンタル代が浮いておる。

しかしそれも増6話に再投資!!

また投資先行しちゃったんですね。それで成果は?
ワタクシやツバメ君が声を得られて、実に楽しかったぞよ。
え、……まさか、それだけ?
さふであるのだ。
ひいい。そんな、ヒドスギル!
考えてもみよ。あんな趣味に走ったボイスドラマがバカウケするわけはないのだ。

同じ趣味を持った仲間は見てくれる。でもそれがそんな幅のあるものでないのは思い知らされておること。

それにYouTube自身がオリジナル創作したところでウケるプラットフォームではない。

大きくウケるためにはエログロショッキングなものに手を出さないとどうにもならぬのだ。

しかもそれはYouTube運営自身が認め、さらには推奨しておるのだ。あきれた話だが。

「カップラーメン食べる動画なら、普通に食べるより5キロ食べたとした方がいい」って運営さんに選ばれた講師さんがクリエイター相手のイベントで仰ってましたわね。でもその方向で行ったらバイトテロみたいなものになりがちで危険だと思うのですが。
まあバイトテロがあってもそれを掲載したプラットフォーマーが批判されることは希であるからの。

ゆえ、ただピアノを演奏するより、胸のはだけたコスプレしてピアノを演奏する方が遙かにウケて数字が出るのだ。YouTubeはそういう場だし、それが推奨される場なのだ。

そこで我らがウケないのは当然の帰結。それでも見てくれる人が0ではないことがうれしい、という話なのだ。

YouTubeもまた亡者の世界になってるんですね。たしかに再生回数稼ぎ動画を置いて分配金稼ぎましょう、ってやってる副業おすすめサイトなんてのもありますもんね。そしてYouTubeにはサイトの理念なんてなさそうですし。
そこでワタクシは一つの仮説を立てた。

まともな動画を作ってもあそこで数少ないまともな人にしか届かず、それで十分としようにも再生数も再生時間も全く稼げない。稼がないやつは出て行け的なYouTubeではそれはつらすぎる。

というわけでこうした。

ひいいい!! 12時間もある動画アップしちゃったんですか!!

ほんとのサンライズ出雲の全行程とほぼ同じ長さじゃないですか!!

そしてこれをサンライズ出雲の発車と同じ時間に再生開始したのをみんなで見るというプレミア公開イベントを開催したのだ。サンライズ出雲の旅をバーチャルで体験しよう、という趣旨なり。
なんですかその荒行は!!
終わるのは翌朝なのも本物のサンライズ出雲と同じであるのだ。

ゆえ、途中退席OK、寝落ちOKとしたのだ。

なんてひどい企画……ッ!!
もちろんこんな企画に付き合ってくれる方は希であろう。

ワタクシはそれでも12時間徹夜して付き合ったが、他に強制はしなかった。

それで、どうなりましたか?
アクセス解析の結果を見ると、同時視聴者数最大で9人。なんとつねに3~4人はこの12時間のあいだ見てくれていた。

そのうえで再生回数はそれほど減らない。そして再生時間数はがつんと稼げたのだ。

3~4人もお付き合いしてくれてたんですね……。こんな荒行に。ありがたいなあ。

再生時間数は、たぶん流しっぱなしにしてる人がいるんでしょうね。こういう走行音動画って作業のBGMにいいですから。でもこれ、著者さんのいびきとかくしゃみとかも入ってるけど。


著者の自覚が足らぬ。こんな大事な録画の時に寝るとか、言語道断なり。
また著者さんいじめするー。著者さん歳だから、2晩徹夜する体力なんてもうないじゃんー。
しかしこの荒行、「12時間もあるのは見る気がしない」との苦情が寄せられた。
そりゃそうですよ。
そこで、往路12時間の見所をより抜きした1時間5分のダイジェスト版を作った。

朝になって明石大橋が見えるシーンなど、解説テロップを入れた内容である。

素敵ですわ。サンライズ出雲、車窓に変化が大きくてそれもまた楽しいところですわ。
それがこの動画である。しかし、公開したところ、アクセス解析の結果はワーストクラスであった!
ええっ、そんな!
思えばサンライズ出雲旅の普通の紹介動画なんて正直いくらでもある。過当競争もいいところなのだ。そこで目立つには要素が足りぬ。当然の帰結なり。

しかも「見る気がしない」といった彼も見てるかどうか怪しいほどのワーストぶりであった。


経営学で言うところの「客の声を聞くな、客の行動を見よ」ってセオリーの逆やっちゃったんですね。

本でよくある「書店で探したけど見つかりませんでした!」報告と似てる気がします。社交辞令というかなんというか。真に受ける方がよくない。

総裁すぐ真に受けるもんなあ。
やはり私の内心で考えていた仮説は正しかった。再生回数はあまり稼げなくても流しっぱなしにする方がいるので再生時間数は稼げる、という仮説。狙い通りであるのだ。
何考えてるんですか……。せこい悪知恵……。
しかし、YouTubeはもはやひどいレッドオーシャンであることもはっきりした。こんなところで頑張ってもひたすらお金の無駄であるのだ。ボイスドラマもサンライズ旅もそれ自身が楽しかったが、その投資額**万円に対し再生回数も時間数もはなはだ少なすぎる。まともにやっていけるところではない。
じゃあ、どこでやっていくんですか。ほかにやっただけ何かがよくなるところなんてあるんですか?
それは次のエピソードで語るぞよ。
つづきます。
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登場人物紹介

長原キラ ながはらキラ:エビコー鉄研の部長。みんなに『総裁』と呼ばれている。「さふである!」など口調がやたら特徴ある子。このエビコー鉄研を創部した張本人。『乙女のたしなみ・テツ道』を掲げて鉄道模型などテツ活動の充実に邁進中。

葛城御波 かつらぎ みなみ:国語洞察力に優れたアイドル並み容姿の子。でも密かに変態。しかしイマジネーション能力は随一。


武者小路詩音 むしゃのこうじ しおん:鉄研内で、模型の腕は随一。高校入学が遅れたので、実は他のみんなより年上。鉄道・運輸工学教授の娘で、超癒し系の超お嬢様。模型テツとしての腕前も一級。


芦塚ツバメ あしづかツバメ:イラストと模型作りに優れた子。イラストの腕前は超高校級。「ヒドイっ」が口癖。


中川華子 なかがわ はなこ:鉄道趣味向けに特化した食堂『サハシ』の娘。写真撮影と料理が得意。バカにされるとすぐ反応してしまう。

鹿川カオル かぬか カオル:ダイヤ鉄。超頭脳明晰で、鉄道会社のダイヤをアルバイトで組んでしまうほどの『ダイヤ鉄』。プロ将棋棋士を目指し奨励会所属。王子と呼ばれるほどハンサムな女の子。電子回路やプログラミングが得意。

田島ミエ たじまみえ:総裁の古くからの友人。凄腕の模型テツ。鉄研のみんなと一緒に大洗などを旅行したものの、関西在住で滅多に会えない。なおかつその実像は不明。

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