第20話 お礼は言葉で

文字数 1,134文字

先日、ご家族からお礼を言われると嬉しい、というお話を書きましたが、今回はその続きです。

先日紹介したように、ご家族からお礼をいただくことがあるのも事実です。
その際、多くの場合、お菓子やお茶、コーヒーなどを『職員の皆様に』と施設長やケアマネを通じて、いただきます。

もちろん、これも嬉しいことなのですが、

私が1番嬉しいと感じるお礼は、

言葉

です。
現場で働く介護職員は、お年寄り本人と関わる機会が多いですが、その人の家族や周囲にいる人と関わる機会はほとんどありません。
家族と関わる立場にいるのは、介護支援専門員(ケアマネージャー)や生活相談員といった職種だからです。

そのため、介護職員は、対人業務であり、人を助ける仕事でありながら、『お礼を言われること』が少ないのです。

そのため、『誰にも感謝されない』『今、自分がこの仕事をすることで、誰かの役に立っているのか?』『どうしてこの仕事をしているのか?』と感じてしまう職員もいるのです。

当然のことながら、視野を広く持ち、社会全体のこととして捉えれば、介護が重要な仕事であることは理解しています。

また、実際に接している御利用者(お年寄り)の役に立っていることは事実で、ありがとうと言われることもあります。

しかし、(何度も同じようなことを書いていますが)認知症のある方は、『ありがとう』と言ったその数分後には、そのことを忘れてしまっていたり、どれだけ尽くしても、寝たきりの方の場合は、『ありがとう』と言葉で感謝されることはありません。


『人生の最後を、少しでも楽しく、穏やかに過ごしていただけるよう、お手伝いする』 


これが、大前提です。
大切なことであると理解しています。しかし、理解した上で、それを『やりがい』と感じられるか?と言われれば、私は否、です。

もし、自分の父母や祖父母がお世話になったと思われるのであれば、是非、『ありがとう』の一言を伝えてください。

現場で働いている介護職員の中には、なんのために働いているのか?分からなくなっている人がいるのです。

直接ではなくとも、お手紙でもかまいません。

ご家族から、『介護職員の皆さんが頑張ってくれたから〜』と、お手紙をいただけると、自分たちが頑張った結果、誰かの役に立てたのかな?と思うことができます。

特に、『お世話になった』と心から思えるような職員がいる場合には、名指しで感謝を伝えてください。
勤務が合わず、会うことができなくても、施設長やケアマネへ、その旨を伝えてください。

その人の評価に直結します。

直接、言葉にするのが苦手だという方は、先述の通り、お手紙でかまいません。

是非、お世話になっという『言葉』を伝えてください。

それが、介護職員のモチベーションにつながります。


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