第39話 それ、私の仕事?

文字数 1,446文字

皆さんの職場では、例えば、会議などで決まった内容は、誰が書面にまとめていますか?

内容にもよると思いますが……おそらく、その企画の担当者、ないしは、その会議で決められた書記、ではないでしょうか?

又は。

自分は担当の仕事をしていて、他の職員はぼーっとテレビを見ている。

例えば、そんな状況があったとして、会社の電話が鳴りました。

誰が取りますか?

普通であれば、ぼーっとしている職員が対応するはずですよね。



介護職員は、そのあたり、てきとーなんです。



最初の書面の話の場合、担当でもなければ、書記でもない、ただ『パソコンのタイピングが早い』という理由で、何故か、全く関係のない職員へ仕事が振られることがあります。

二つ目の電話の話に関しては、ただ『たまたま電話の近くで仕事をしていた』とか『ぼーっとしている職員が動かない』とか、そういった理由で、別の仕事をしていた職員が電話を取ることがあります。


これ、どう思いますか?


以前、介護職員同士の関係が悪化しやすい、という話の中で、『職員全員で同じ御利用者を見ている』ということを書きましたが、その結果として、上記のようなことが起こります。


介護職員は、シフト勤務である上に、認知症の方を対応するため、基本的に『誰が対応しても御利用者を混乱させないよう、同じ対応を取れる状況』が作られています。

これは、介護においては絶対的に必要なことで、どの施設、どの事業所でも当たり前に行われていることです。

しかし、一方で、そのような状況が作られているため、『誰がどの仕事を行うのか?』はっきりしていない職場も非常に多くあります。

誰がやっても同じ対応ができる、ということはつまり、誰が行っても問題ない、ということなのです。


……と、ここまで説明すれば、お分かりいただけると思うのですが。


職員の中で力関係ができてしまったり、サボり癖のある職員がいたり、そうした場合、誰もが同じ仕事を行えるため、『頑張って仕事をする人』や『仕事が早い人』に業務が集中してしまう傾向にあるのです。

同じ給料をもらって、同じ勤務で働いているのに、仕事量が変わるわけですから、本来であれば、良くないことです。

ですが、介護という職種の場合、対人業務がほとんどですから、『私の仕事じゃないから』と放っておくと、必ず、御利用者やご家族に迷惑がかかってしまいます。
……というより、その『私の仕事じゃないから』が通じないのです。

その『私の仕事』の区分がはっきりしていないのが問題ですので……。

そして、仮に『そこまで手が回らない』とか、そんな理由で放っておき、問題が起こった時、その責任は、仕事が遅い人やサボり癖のある人だけではなく、普段から業務をきちんと行っている人間にも、連帯責任でのしかかってきます。


『分かっていたのに、なんで放っておいたのか?』


ということですね。

介護は、全員が同じ業務を行えるという特殊な職業です。
職員全員で連携を取って、チームプレーで仕事をしている、
などと説明すれば聞こえは良いですが、実際のところ、


仕事ができる人ほど、辞めていきます。


ただでさえ、人手不足でひとりひとりにかかる仕事量が多いのに、その上、仕事ができる人は余計に負担がかかるのです。

だからと言って、給料が上がるわけでもありませんし……。


これに関しては、介護業界を牽引している、トップの皆様に知っていただきたいです。


現場では、良い人材ほど、離れていく現状があります。

介護という仕事自体の見直し、体質改善をお願いしたいです。


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