第6話 介護施設には〇〇がない

文字数 1,025文字

介護施設は儲かっていると思いますか?

人手不足と言われているくらいですから、需要が供給を上回っている状況です。
普通に考えれば、ある程度の収入は確保されていて、職員への給料や賞与も困らず、資金繰りも問題ないと考えられるでしょう。

現実は逆です。

介護という業界は、機械に任せられない職種であるため、他職種に比べて、人手が多く必要で、人件費が非常に高くつくのです。

赤字なのです。

私の勤めている会社では、特養(いわゆる老人ホーム)、デイサービス、その他事業所のほとんどが赤字です。
全ての施設が赤字ではないため、ぎりぎり経営できている状況ですが、厳しい経営状況と言えます。


会社経営が厳しいと、どうなるでしょうか?


現場やメディアがいくら『人手が足りない!』と声を上げても、会社として雇えるだけのお金がないため、職員を増やすことができません。

その結果、職員1人あたりの労働量が増し、お年寄りへの対応も疎かになってしまいます。

最悪の場合、職員の給与引き下げや賞与カットといったことにもつながってきます。

その上、皆さんご承知の通り、介護という仕事は、『大変な上に給料が低い』ため、いざ雇おうと思っても、そもそもなりたいという人がいない問題もあります。

お金がないから人も雇えず、雇おうと思っても人がいない。

そんな状況なのです。


この現状を打開するため、近年、介護報酬の引き上げが行われています。

簡単に言えば、サービスを提供した事業者へ支払われる報酬(お金)のことです。

これが引き上げられることで、会社経営に余裕ができ、結果、職員の賃上げや人材確保に繋がるというわけです。


しかし、まだまだ、足りていません。


少し前、政府が介護職の賃上げを!という政策を打ち出し、『9000円給付』の文字を目にした方も多いでしょう。

ところが、こうした給付金は職員個人へ給付されるものではなく、会社へ給付されています。

そのため、会社経営が苦しい場合、会社のお金になってしまい、職員には給付されないという事態も起こっています。


少し前から『処遇改善加算』という言葉も聞きますが、これも、会社へ支払わられています。

私の勤めている会社では、毎年、少しずつ処遇改善加算でもらえるお金が減っています。


介護施設は儲かっていると思いますか?


儲かっているならば、なぜ、介護職の給与が低いのでしょうか?


有権者である皆さん一人ひとりが、ほんの少しでも『介護士の人手不足』について考えていただけると幸いです。


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