第2話 モチベーション

文字数 1,128文字

近年、人手不足などが理由で、介護職の給料引き上げが検討されていますが、そもそも、なぜ給料を引き上げる必要があるのか?

考えたことはありますか?

給料が低いというだけならば、介護以外でも該当する職種は多く存在します。
仕事の過酷さと給料が見合ってないと言いますが、どの仕事でも大変なことはあり、『介護だけが大変』というわけでは決してないはずです。

では、なぜ、給料引き上げが必要か?
現場で働いている人間として、一つ、確実に言えることは、

モチベーションの維持が非常に難しい職種だからです。

介護職は『生活を支える仕事』をしています。
お風呂やトイレ、食事といった、生活に欠かせない部分をお手伝いする仕事です。
その点において、『なくてはならない仕事』と言えるでしょう。

しかし、『成果が見えにくい仕事』なのです。

例えば、病気を治す役割を持つ医療・看護の職種であれば、病気が治る……治らなくとも、改善へ向かう、安定するという成果が見えます。

例えば、学校の先生であれば、教え子が希望校に合格するとか、何年後かに『お世話になりました』と連絡があるとか、そういった形で成果が見えると思います。

では、介護はどうでしょうか?

お年寄りはどれほど手を尽くし、精一杯お手伝いをしても、100%何年後かには亡くなります。
どれほど尽くしても、認知症の方にはそれが伝わらないことも多くあります。中には、余計なお世話だと殴ったり蹴ったりしてくる方もいらっしゃいます。


介護の仕事は、なくてはならないと理解しつつも、『誰のために、なんのためにこの仕事をしているのだろう?』という疑問を持つ介護職は多いのです。


『最後の時間を少しでも楽しく、穏やかに過ごしていただく』。


そんな理想は言われなくても分かっていますし、頭では理解しています。
けれど、実際問題として、自分が一生懸命頑張って、その結果、何が変わるのか?

この問いは、つきまといます。

もちろん、小数ながら、『ありがとう』と言ってくださるお年寄りもいらっしゃいます。
それはとても嬉しいことです。

介護職の中には、それだけで十分頑張れると言う人もいます。

本来であれば、そうあるべきなのでしょう。


ただ、少なくとも私は、それだけではモチベーションを保てません。

だから、給料を上げてくれ!

と思うのです。
せめて、給料が上がれば、自分の生活のため、自分のやりたいことのため……そのために、頑張ろうと思えるのです。

なくてはならない仕事だと言うのであれば、働く人が『なんでこんなことをしているのだろう?』と悩まなくて良い程度には、給料を上げて欲しいのです。

時折、ニュースで見かける、介護職の虐待事例を減らすためにも、給料の引き上げは有効な手立てだと考えます。

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