第29話 利用者よりも……

文字数 1,592文字

先日、介護は職員関係が悪化しやすい職場だということを書かせていただきました。

職員全員が同じ御利用者(お年寄り)を見ているため、それぞれの職員で価値観や見方が違う場合、どんどんズレが生じてしまう……というお話でした。

そのことに関して、補足します。
介護は全員で同じ御利用者を見ている……ということは、『誰がどう動いても成立する職業』とも言えるのです。
オムツ交換専門の職員とか、入浴業務専門の職員、というのは存在しません。

ですので、その場その場の状況を見て、職員が声をかけ合いながら、業務を回しています。

A職員がオムツ交換に入ったのならば、B職員はフロア(ホール)でオムツ交換の必要がない御利用者を見ていますし、逆に、B職員がオムツ交換に入ったのならば、A職員がフロア(ホール)の御利用者を見るのです。

その結果、個々人の技量や得意不得意によって、業務かかる時間や、御利用者の機嫌が変わってくる……なんてことも、よくあります。


さて。
そうなると、どうなるでしょうか?


皆さんは、職場でこんなことを言ったり、聞いたりしたことはありませんか?


「あの人、仕事は早いけど、口が悪いんだよね」

「あの人、性格は良いけど、仕事が遅いよね」

「あの人、自分の仕事はやるけど、他の人のことを考えてないよね」

「あの人、真面目なんだろうけど、細かすぎるよね」


など。
このようなことを言う同僚、先輩、上司、部下に出会ったことはありませんか?

また、事実として、そういった特性、性格の人に出会ったことはありますか?

介護では、そういった職員の個性、性格が、全て、仕事に関わってきます。

例えば……
仕事が早い人であれば、オムツ交換を数分で終わらせられるのに対して、遅い人だと15分かかったり……。

仕事は早いけど、その人が対応すると、いつも御利用者が不機嫌になったり……。

自分の仕事ばかりに目がいって、周囲の動きを完全に無視して動いてしまい、本人に自覚のないまま、周囲の人間が毎日のようにフォローしていたり……。

そういったことが、毎日のように起こってきます。

また、よく話を聞くのが、


御利用者(お年寄り)より厄介な職員


の存在です。

連携が命の介護職において、『場を乱す職員』というのは、時に、重度の認知症を持つ御利用者よりも厄介な存在になります。
必要がないのに、バタバタと動き回ったり、指示を無視して自分の勝手な判断で物事を進めたり、統一したはずの対応を「知らなかった」と全く違う対応を取ったり……。

認知症があろうと、御利用者も人間ですから、そういう職員は、御利用者も嫌います。

そのため、そういった職員がいるだけで御利用者も不穏ーー不機嫌になったり、落ち着かなくなったりして、余計な仕事がどんどん増えていくのです。

他職種であれば、誰かがよく分からない動きをしても、責任自体はその人にありますし、
その人がミスをしたり、場を乱したのであれば、その人が責任を取って、残業すれば良いと思います。

ところが、介護の場合、1人が変な動きをすると、御利用者の動きも変わってくるため、他の全職員が対応に追われたり、
なにより、転倒や転落といった事故が起こった場合、最悪、命に関わる自体を招いてしまったりするため、

『また〇〇さんがなんかやってる〜』

などと、眺めているわけにはいかないのです。


皆さんが勤めている職場では、どうでしょうか?


気に食わない人がいたとして、その人が、自分の仕事内容そのものを引っかき回したり、
職員だけではなく、その周囲も巻き込んで、いらない仕事を増やしたり、
そういったことはありますか?

どこの職場でも、気に食わない上司や同僚はいると思いますが、

介護では、それがより、鮮明になります。

これも、職員関係が悪化しやすい、と言われている原因の一つです。


どうすれば、円滑に仕事が回るのか?


私は毎日のように考えながら、仕事をしています。



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