第51話 行事

文字数 1,290文字

以前、レクリエーションについて取り上げさせていただきましたが、レクに関連して、介護士には大切な仕事がまだ残っています。


それが、行事です。


例えば、夏祭り。
例えば、新年会。
例えば、そうめん流し。
例えば、クリスマス会。
例えば、豆まき。
例えば……

と、介護施設、介護事業所には、年間を通じて、さまざまな行事が存在します。

当然のことながら、これを企画、実施しているのはそこで働いている介護職員になるわけですが……

これまで、『通常業務』を多く取り上げてきましたが、行事はそこから外れるものとなります。


つまり、通常業務を行いながら、並行して、行事の企画、準備、実施を行わなければなりません。


ひとつの例として、『そうめん流し』を取り上げたいと思いますが……
皆さんは、介護施設でそうめん流しを行うとしたら、どのような準備が必要となるか、分かりますか?

まず、そうめん流しの道具をどこから調達するのか?ということが考えられますよね。
これをどうするかに関しても、介護職員が自分たちで考えています。


本物の竹を用意するのか?
用意するとしたらどこから調達するのか?
そうめんはどうするのか? 発注するのか、スーパーなどで買って来るのか?
流す水はどうするのか? ホースなどを活用するのか? 衛生状態は? 危険はないのか?

など。
ただ、『準備』と言っても、ひとつひとつ全て考えなければなりません。

そして、仮に準備が整ったとして。
当日の動きはどうなるのか?


上手くすくえない御利用者はどうするのか?
普段、ミキサー食を食べている人はどうするのか?
途中でトイレなどに立たれた場合、きちんと対応ができるのか?
認知症の御利用者は『そうめん流し』を理解されるのか? 職員の想定通りに行えるのか?
そうめん流しを行っている間、お風呂などの通常業務はどうするのか?
当日の準備、片付けは誰が行うのか? その間、職員数は足りるのか?


などなど。
考え始めたらキリがないほど、いろいろなことに目を向けなければなりません。

もう一度言いますが、

これを、通常業務を行いながら考え、企画し、当日までに準備し、事故がないように対応しなければなりません。

コロナ禍前などは、外部からボランティアさんを呼んだり、地域の方々が来られたり、そういったこともよくありました。

職員は、御利用者以外にもそういう対応を行う必要がありました。

大規模な行事の場合、準備が間に合わず、勤務時間外に企画立案を行うこともよくあります。

また、現場職員で一生懸命考えた企画が、管理職の一言で変更しなければならない場合もよくあります。

介護士は、介護を行うだけでなく、
企画力や想像力、また、企画者以外の職員へ分かりやすく説明する力や、決めたことを書面にまとめる力も問われます。

通常業務では存在感がない職員が、企画立案になるとすごい力を発揮することもありますし、その逆もよくあります。


介護施設や、介護事業所を利用すると、必ず『今日は〇〇を行いました』など、そういったことを耳にすると思いますが、その一言の裏で、職員がどれほど努力しているのか?

少しでも、想像していただけると幸いです。



届け介護士の声。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み