第53話 食事

文字数 1,089文字

皆さんは、自宅で料理をしますか?

今回は、食事、特に料理に関して、書かせていただきます。

介護施設での食事は、どのように提供されるかご存知ですか?

皆さんは、何気なく自分の好んでいるものや、家族の希望などを取り入れ、料理をしたり外食へ行ったり、あるいは宅配サービスを使うなど、様々な手法で食事をしていると思います。

しかし、介護施設ではそうもいきません。

御利用者は、それぞれの病気や服用している薬によって、食事制限がある場合があります。

また、そもそもの話として、お年寄りは嚥下機能ーーモノを飲み込む力が落ちていることが多く、飲み込みにくいモノはなるべく避けるように考えられています。


人によっては、通常の水、ジュース等では、うまく飲み込めず、とろみをつけていたり、
噛む力が衰えている人には、あらかじめハサミやミキサーなどを使用し、食事を細かくきざんでから提供しています。

毎年、高齢者が餅を喉に詰まらせて死亡した、というニュースを目にすると思いますが、介護施設では、そういったことがないよう細心の注意が払われています。


さて、ここで皆さんに質問ですが、
そうした、細心の注意が必要な食事に関して、料理は誰が行なっていると思いますか?


いわゆる、老人ホームと呼ばれる大規模な施設であれば、基本的には調理員が行なっています。
100人以上の御利用者がいる場合もありますから、調理専門の職員がいるのです。
そうでなくては仕事になりません。

では、小規模な事業所はどうでしょうか?

それぞれ、やり方は工夫されていますが……介護職員が料理を担っている場合もあります。

当然、職員の中には、料理が苦手な人もいるのですが、そんなことも言っていられません。業務の一つとして、『料理』が存在しているため料理をしなければなりません。

そして、ただ、作るだけでは足りません。

一人ひとりの状態に合わせて、とろみをつけたり、ハサミできざんだり、介護職員が行わなければならないのです。


介護士は、介護を行う仕事ではないのか?


と、私自身、思ったこともあります。
ですが、介護士は、生活を支えることが仕事ですから、食事面でも御利用者の状態に合わせて、しっかりサポートできなければなりません。

面倒だからと、その辺の宅配サービスで取り寄せ、そのまま出したのでは、御利用者はすぐに喉に詰まらせ、救急搬送されるでしょう。

私たちが日々の中で、普通のこととして行なっている『食べること』ひとつとっても、介護士は最大限の注意が必要になります。


皆さんは、自宅で料理をしていますか?
食べる人が、お年寄りだったとして、その料理をそのまま出せますか?


届け介護士の声。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み