第44話 介護職の専門性
文字数 1,681文字
これまで、介護士は『生活を支える仕事』とお伝えしてきましたが……
皆さんは、介護士における『専門性』とはどんなことだと思いますか?
例えば、医師や看護師であれば、病気に対する知識や判断力、それから、手術をする方々もいらっしゃるでしょう。
例えば、危険物を取り扱う業種であれば、なにが危険で、どういったことに注意しなければならないのか?
これも資格が必要で、相応の知識と経験が必要となりますよね。
では、介護における『専門性』とはなんでしょうか?
実は、これをきちんと答えられる人は、介護士でも多くはありません。
介護士が行なっている業務は『誰もができる仕事』だと言われているからです。
そんなことはないだろうと思われるでしょうが、実際のところ、誰でもできることが多いのです。
例えば、排便、排尿の処理ーーオムツ交換ができないと話される方がいらっしゃいます。確かに嫌悪感が伴いますし、疲れます。
よくそんなことができるなと言われることもあります。
ですが、
皆さんは、赤ちゃんのオムツ交換を汚いからといって他の人に任せますか?
他人の汚物と、自分の赤ちゃんでは感覚が違うと言う方もいらっしゃるでしょう。
それも分かります。
けれど、『仕事』ですし、それでお金をもらっているわけですから、ある程度割り切ることは可能です。
また、嫌悪感の有無はともかくとして、やっていることは『オムツ交換』ですから、同じようなことしかしていないのです。
これだけではなく、意外と、介護士が行っている業務は、誰もができることが多いのです。
嫌悪感や価値観などから、『それはできない』という方がいるだけですので、そこに『専門性』はありません。
では、介護士の専門性とはなんなのか?
一つ、お聞きします。
皆さんは、椅子に座っている時、背もたれに体を預けたまま、立ち上がることはできますか?
もう一つ、お聞きします。
皆さんは、床に座っている時、どうやって立ち上がるのが1番楽ですか?
この質問に対して、すぐに回答できる人はどのくらいいらっしゃるでしょうか?
おそらく、自分でやってみて、はじめて『こうするといいのか』と理解される方が多いのではないでしょうか?
介護士の専門性とは、そこにあります。
私たちのように、若くて元気な人間は、日々、意識せずに『日常動作』を行っています。
しかし、身体に不調を抱えた御利用者は、それが上手くできなくなっているのです。
私たちができるからといって、『早く立ってください。なんでできないの?』と怒っても無意味です。
なぜできないのか?
どこを手伝えば立てるのか?
どこの力が入っていないのか?
重心はどこにあるのか?
ただ『立つ』という動作であっても、細かく分解し、必要な支援を提供しているのです。
これは、認知症対応等でも同様で、
『認知症だから何も分からなくなっている』
ではなく、
『認知症だけど、〇〇はできる。じゃあ××だけ手伝えば良い』と、
何ができるのか?
どこができなくなっているのか?
私たちが当たり前に行っていることを一つ一つ分解して、支援を行っています。
介護士の専門性とは、『日常生活・日常動作に対する理解度』とでも言えば良いでしょうか?
……などと、説明しましたが。
最初にも書きましたが、実は、介護士の中にもこれをきちんと理解していない人がいるのも事実です。
そういった職員は、よく『なんでこんなこともできないの?』と、立つ姿勢ができていないのに、御利用者を無理やり立たせようとして、勝手に怒ったりしています。
『介護士の質の低下』なんていう話を耳にすることが多いのですが、だいたい、こうしたことを指しています。
もし、自分の親や祖父母と関わっている介護職員に会うことがありましたら、その人が行っている手順をよく見てみてください。
もし、自分や、他の職員よりも、1つ2つ手順が多いな、と感じたら、なんでその手順を入れているのか、聞いてみてください。
きっと、その人は介護をきちんと勉強しているプロだと思います。
誰でもできると言われる介護者ですが、
どこに専門性があるのか?
少しでも理解していただけたら幸いです。
届け介護士の声。
皆さんは、介護士における『専門性』とはどんなことだと思いますか?
例えば、医師や看護師であれば、病気に対する知識や判断力、それから、手術をする方々もいらっしゃるでしょう。
例えば、危険物を取り扱う業種であれば、なにが危険で、どういったことに注意しなければならないのか?
これも資格が必要で、相応の知識と経験が必要となりますよね。
では、介護における『専門性』とはなんでしょうか?
実は、これをきちんと答えられる人は、介護士でも多くはありません。
介護士が行なっている業務は『誰もができる仕事』だと言われているからです。
そんなことはないだろうと思われるでしょうが、実際のところ、誰でもできることが多いのです。
例えば、排便、排尿の処理ーーオムツ交換ができないと話される方がいらっしゃいます。確かに嫌悪感が伴いますし、疲れます。
よくそんなことができるなと言われることもあります。
ですが、
皆さんは、赤ちゃんのオムツ交換を汚いからといって他の人に任せますか?
他人の汚物と、自分の赤ちゃんでは感覚が違うと言う方もいらっしゃるでしょう。
それも分かります。
けれど、『仕事』ですし、それでお金をもらっているわけですから、ある程度割り切ることは可能です。
また、嫌悪感の有無はともかくとして、やっていることは『オムツ交換』ですから、同じようなことしかしていないのです。
これだけではなく、意外と、介護士が行っている業務は、誰もができることが多いのです。
嫌悪感や価値観などから、『それはできない』という方がいるだけですので、そこに『専門性』はありません。
では、介護士の専門性とはなんなのか?
一つ、お聞きします。
皆さんは、椅子に座っている時、背もたれに体を預けたまま、立ち上がることはできますか?
もう一つ、お聞きします。
皆さんは、床に座っている時、どうやって立ち上がるのが1番楽ですか?
この質問に対して、すぐに回答できる人はどのくらいいらっしゃるでしょうか?
おそらく、自分でやってみて、はじめて『こうするといいのか』と理解される方が多いのではないでしょうか?
介護士の専門性とは、そこにあります。
私たちのように、若くて元気な人間は、日々、意識せずに『日常動作』を行っています。
しかし、身体に不調を抱えた御利用者は、それが上手くできなくなっているのです。
私たちができるからといって、『早く立ってください。なんでできないの?』と怒っても無意味です。
なぜできないのか?
どこを手伝えば立てるのか?
どこの力が入っていないのか?
重心はどこにあるのか?
ただ『立つ』という動作であっても、細かく分解し、必要な支援を提供しているのです。
これは、認知症対応等でも同様で、
『認知症だから何も分からなくなっている』
ではなく、
『認知症だけど、〇〇はできる。じゃあ××だけ手伝えば良い』と、
何ができるのか?
どこができなくなっているのか?
私たちが当たり前に行っていることを一つ一つ分解して、支援を行っています。
介護士の専門性とは、『日常生活・日常動作に対する理解度』とでも言えば良いでしょうか?
……などと、説明しましたが。
最初にも書きましたが、実は、介護士の中にもこれをきちんと理解していない人がいるのも事実です。
そういった職員は、よく『なんでこんなこともできないの?』と、立つ姿勢ができていないのに、御利用者を無理やり立たせようとして、勝手に怒ったりしています。
『介護士の質の低下』なんていう話を耳にすることが多いのですが、だいたい、こうしたことを指しています。
もし、自分の親や祖父母と関わっている介護職員に会うことがありましたら、その人が行っている手順をよく見てみてください。
もし、自分や、他の職員よりも、1つ2つ手順が多いな、と感じたら、なんでその手順を入れているのか、聞いてみてください。
きっと、その人は介護をきちんと勉強しているプロだと思います。
誰でもできると言われる介護者ですが、
どこに専門性があるのか?
少しでも理解していただけたら幸いです。
届け介護士の声。