第23話 職員関係

文字数 1,058文字

『介護士はキツイ』
そう耳にしたことのある人は多いと思います。
不規則勤務であり、命を預かるという職業であるため、肉体的、精神的負担は少ないとは言えません。
認知症の方の対応にも、ストレスを感じる職員は多くいます。

一方で、離職してしまう介護士に、離職理由を聞くと、仕事に関する不満の他に、人間関係をあげる人が多いことはご存知でしょうか?

介護士は、職員同士の関係が悪化しやすい職業だと言われています。

御利用者(お年寄り)の介護が業務内容なのに、何故、職員関係が悪化しやすいのか?



それは、職員同士の連携が必要不可欠だからです。



例えば、学校の先生であれば……
『クラス担任』というものがあり、授業中は、教師1人が担当するのが一般的だと思います。
当然、その分、先生1人1人にかかる負担やプレッシャーというのは、私には理解できないものですが……。
その反面、授業中に、他の先生が横から口を出したり、突然違う方法を提案してくることは、基本的にはないと思います。

しかし、介護ではそれが当たり前なのです。

介護現場では、同じ御利用者を職員全員で見ているため、『そのやり方はどうなのか?』とか『それは〇〇の方が良い』とか、そういった話が頻繁に浮上します。

職員全員が同じ考えであれば問題はないのですが、職員も、それぞれ育った環境や時代に差があるため、1人の職員にとっては良いと思う方法が、他の職員には受け入れられない、ということが多々起こるのです。


そうなると、どうなるか?


細かい意見のすれ違いから、お互いのあら探しが始まり、『〇〇さんって、こういうところがるよね』という、お決まりの悪口合戦が始まってしまうのです。

ただでさえ、認知症の方の対応や、日々の業務で疲れている中で、さらに人間関係も悪いとなれば……辞めたいと思ってしまっても不思議ではありませんよね。

とはいえ。
全ての現場がそうとは言いません。
同じ御利用者を職員全員で見ているため、フォローし合うのも簡単で、適材適所で柔軟に動けるのも、介護職の良い面です。

人間関係が上手くいっている職場では、御利用者との関係性や、職員自身の苦手な部分を考慮し、お互いをフォローし合う、御利用者も職員も楽しめる、居心地の良い環境が作れていると思います。


介護士はキツイ、とよく耳にしますが、たまに

『介護をするために出勤しているのか? それとも、職員同士の関係を崩さないよう、気を遣うために出勤しているのか?』

分からなくなることがあります。

『介護士』なのですから、介護に全力を注ぎたいものです……。


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