第18話 ケアマネ

文字数 1,757文字

皆さんは、介護支援専門員……ケアマネージャーという職種をご存知ですか?

簡単に説明すると、介護が必要な御利用者(お年寄り)がいた時に、
その人をどのように支援していくのか?
どのような介護を行っていくのか?
を、決める職業です。

現場の介護士は、ケアマネージャー(以下、ケアマネ)が決めたプランに沿って、日々の介護を行っています。

ケアマネの大きな仕事の一つとして、ご家族との連絡、調整があります。
どのような支援を行うかを決める上で、重要となるのが、ご家族からの情報やご家族からの希望だからです。

御利用者本人が認知症を発症している場合などは特に、最近のことを思い出せなくなっていたり、本人は変わらず元気なつもりだったり、そういったこともよくあるため、ご家族がなにに困っているのか?ご家族から見て、どういう状況なのか?
そういった情報は非常に重要なものになるからです。

例えば、
ご家族から、今、〇〇ということに困っていて……という話があった場合には、御利用者本人含め、医師などの専門職からも意見を聞き、状態を見極めます。
そして、〇〇という部分をどのように支援していくのか決定し、現場の介護士の指標となるプランを作成するのです。


つまり、御利用者本人とそのご家族、さらには現場の介護士にとっても重要な役割を持つ職種だと言えます。


そして、だからこそ、現場の介護士と衝突することの多い職種でもあります。
※以下、『そういう人もいる』という程度に読んでください。

ケアマネは、ご家族や他職種との連絡、調整業務を『個別に』行っているため、現場で御利用者と密接に関わる職業ではありません。
そのため、さまざまな御利用者が入り乱れる状況を、きちんと把握できていないこともあるのです。

どういうことかと言いますと……
現場が『〇〇さんの××に困っている!』という声をケアマネへあげても、ケアマネは実際にその業務を行っているわけではないため、『それをやるのが介護の仕事でしょ』とまともに取り合ってもらえなかったり、
その業務『だけ』を行うのであれば問題はないが、他の御利用者の対応も同時並行で行わなければならない現場においては、対応が難しいという話をしても、『そんなに忙しいんですか?』と理解してもらえなかったり。

そういうことが、起こってくるのです。

理解してくれないケアマネの場合、ご家族や御利用者本人の希望ばかりをなんでも受け入れて、現場の声を聞かない、というパターンを耳にします。

そうした場合、どうしても、介護士側からは、不満が漏れてしまいます。

そして、最も良くないパターンなのが……
巡り巡って、そうした支援する側の都合が、御利用者へ向かうことです。

当然、対応が困難な場合はまず、ケアマネへ訴えますが、そのケアマネが聞いてくれないとなると、現場は、どうしても『優先順位』を決めざるを得ません。
転倒や転落といった事故や、命に関わるような対応が最優先で行われます。

その結果、『ケアマネが作成したプランにおいては、〇〇となっているけれども、現場の対応としては、〇〇の優先順位は低い』という場合、〇〇は放置されます。

放置されるのは、ケアマネではなく、御利用者本人です。

こうした流れで、本当は〇〇を行う予定になっていたけれども、ケアマネと介護現場との食い違いから、どうしても〇〇はできず、御利用者が放置された。
というパターンは、実は、あちこちで耳にします。


介護士が行う仕事内容を決めているのは、介護士ではなく、ケアマネだからです。



もちろん、介護現場の声もよく聞き、無理のない範囲でプランを立ててくれるケアマネもたくさんいます。そういったケアマネは介護士側が気を遣うほど、忙しそうにあちこち動き回り、真剣に、プランを立てています。
しかし、一部では、現場の状況を見ようとせず、ご家族の希望だから、と、なんでも受け入れてしまうケアマネもいるのです。

皆さんが、親や祖父母のことで、介護に関わるようになった時、最も接する機会が多いのは、現場の介護士ではなく、ケアマネです。

ケアマネさんを頼っていただいて構いません。
なんでも相談してみてください。

でも、実際に現場で御利用者の対応に当たるのは、ケアマネではなく、介護士であるということも、理解していただけると幸いです。


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