第46話 監視カメラ

文字数 1,338文字

皆さんは、介護施設に監視カメラは必要だと思いますか?

介護現場では、カメラについて、話題になることがよくあります。

昨今、介護施設での虐待などで、施設内にご家族がカメラを仕掛けていたとか、そういった報道を目にしますよね。
ニュース等で実際にそうした映像を見たことがある方も多いのではないでしょうか?

この、カメラに関して。

実は、施設側が積極的に取り付けようとしている動きもあるのですが、ご存知でしょうか?

何故かというと、『職員を守るため』です。
虐待などの報道を見ると、どうしても、御利用者への虐待を防ぐ目的、
つまり、抑止力として、カメラが必要ではないか?という意識になってしまうと思いますが、逆の目的で取り付ける場合もあります。

例えば、元気な御利用者が職員へ暴力を振るうような事例があった際、その御利用者が認知症を持つ場合、職員へ暴行した事実を忘れてしまう場合が多いのです。
つまり、暴行を受けた職員の証言以外に証拠が残らないわけです。

また、そうした実態は、映像として残らないため、職員がいくら声をあげても、『関わり方が悪かったのではないか?』とか、『本当にそんなに大変なのか?』と周囲に受け入れてもらえない現状もあります。

しかし、もし、映像が残っており、介護士側に全く非がないことが証明されれば、その御利用者に心を落ち着かせる薬を処方するとか、
対応が困難であれば、別の施設に移っていただくとか、そういった対応もスムーズに行うことができます。


それから、御利用者から職員への暴行以外にも、

『職員が御利用者に手を出してしまった場合』

にも、カメラが欲しいという場合があります。

これも、職員を守る、ということになるのですが……。

例えば、御利用者がハサミや包丁を隠し持っており、襲いかかって来たとか、
凶器は持っていないとしても、体格の良い男性御利用者が殴りかかって来たとか、
そうした場合、職員も、自分の身を守るため、御利用者の手や足を抑えたり、時には手荒なことをしてしまう場合もあります。
結果として、自分は暴行を受けていないが、御利用者に反撃してしまった、というパターンです。

私自身も、殴りかかってきた御利用者の腕を反射的に強くつかんでしまい、内出血を作ってしまったことがあります。

そうした場合、その状況を証明できるものが、今の介護施設には存在しないのです。

特に、小規模な施設、事業所では、夜勤中などは職員が1名しかいないということもありますので、他の職員に証言をお願いすることもできません。

その状況を説明できるのは自分1人しかいないわけですから、それが正当防衛なのか?それとも、本当に関わり方が悪く、自業自得なのか?
本人以外、誰にも判断がつかない状況になってしまうのです。

こうした場合にも、カメラが必要だと感じます。

……などなど、さまざまな理由で、監視カメラの導入は検討されるべきと私は考えています。

実際のところは、オムツ交換などを行う関係でプライバシーの問題がありますし、当然、ご家族からも了解を得る必要があるなど、
簡単に介護士の都合で取り付けるわけにはいきません。

ただ、カメラが入ることで、介護士の人権が守られる側面もあるのではないか?
と思います。

皆さんはどう思われますか?


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