第55話 ストレス解消

文字数 1,337文字

皆さんは、職場や学校で嫌なことがあった時、どのようにストレスを発散していますか?

好きなことをしたり、好きな食べ物を食べたり、体を動かしたり、深く考えずに寝てしまうという方もおられるでしょう。


その中のひとつに『人に話す』というものがあると思います。


要は、愚痴、です。
仲の良い友人や家族に話すことで、根本的な解決にはならなくても、ある程度スッキリするという方は多くおられるのではないでしょうか?

そこで、皆さんにお聞きします。


介護士は、仕事の愚痴を周囲の人間に話して良いと思いますか?
また、気軽に話せる状況が整っていると思いますか?


結論から言えば、
気軽に人へ話せる環境ではありません。


まず、介護士には、プライバシー保護、つまり関わった御利用者の情報を外部の人間に勝手に話してはならないという大前提が存在します。

介護士は、その人の病気に関することだけでなく、家族関係や、その人自身が歩んできた人生そのものを知る機会が多い立場であるため、これは当然のことと言えます。

また、最近は少なくなってきましたが……ご家族の中には、『施設に預けていること』を周囲に隠しておきたいという方もいらっしゃいます。

SNSの発達などから、どこから情報が漏れるか分からないため、写真などをホームページや広報誌に載せることをNGとされているご家族も多いです。

つまり、介護士は、周囲の人間に個人が特定できるような内容を話すことは基本的にしてはならないのです。
間違っても、『今日〇〇さんが〜』などと、個人名を出して、関係のない人に愚痴を言うなど、あってはならないことと言えます。



そして、人に話しにくい理由がもう一つあります。

私がこのような活動を行っている理由のひとつでもあるのですが、

そもそも、『介護士の仕事』とはどのようなものなのか?
これを理解している人間が少なすぎる点です。

仕事の愚痴を話すために、わざわざ『認知症とはどんなものか?』を1から説明する必要があるのです。

個人が特定されないよう注意しつつ、
このくらいは話したい!と思っても、

『え、それってどういうこと?』
『それって病気なの?』
『なんでそんなことが起こるの?』

など、なにかを話すたびに聞き返されていては、説明しているのか愚痴を言っているのか分かりませんよね。
私自身、話すことで、逆に『なんでそんなこともわからないのか?』とストレスを感じたこともあります。

そのうち、説明するのが面倒になって、『話しても仕方がない』とため込むようになります。


例えば、営業職とか事務職とか、そういった職種は、なんとなくイメージができますよね?

しかし、介護職はその世界に入ってみないと本当の大変さが分かりにくく、また、プライバシー保護から、発信もされにくい現状があります。


以前触れましたが……
その上、職員同士の仲が悪かったりすると、悪循環で、職場の同僚にすら相談できず、ストレスばかりが溜まっていき、そのうち、爆発してしまうのです。


皆さんは、周囲に愚痴を言うことはありますか?

その時、その職場での基礎中の基礎を1から全て、説明しなければ話が通じないことはありますか?

上手くストレス発散ができない介護士は、誰に相談することもできず、潰れてしまう現状があります。




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