第22話 新人教育

文字数 1,325文字

皆さんは、人手が足りないことで起こる弊害を想像したことはありますか?

介護施設において、難しい問題のひとつとしてあげられるのが『新人教育』です。

一般的な職場では、例えば、新卒の方が入社してきた際は、先輩や上司が教育係としてつき、一緒に勤務をすることになりますよね。

ところが、介護現場では、それができないことが多くあります。

というのも、介護現場では慢性的な人手不足から、新人に合わせたシフトが組めなくなっているのです。


例えば……
介護現場において、夜勤が入ることは皆さんご存知かと思いますが……新人に、入社1週間で夜勤をやれ!と言ってもできませんよね?

基本的には、夜勤の前に、まず、他の職員が多くいて、フォローがしやすい日中の業務からこなしてもらいます。

が、その新人のシフトに合わせて、誰か職員を固定でつけてしまうと、その職員は夜勤ができないことになりますよね?

夜勤は、『夜勤手当て』がつきますから、その職員の給料が下がります。もし、新人に合わせた結果、夜勤が減るとなると……誰もやりたがりません。

と、いうより、
夜勤を行える職員が少ない場合、そもそも人手が足りず、夜勤が回せなくなる場合もあるのです。

つまり、新人に固定の先輩職員がつく、ということ自体が難しいのです。


そうなると、次々と問題が出てきます。


固定の職員がついているわけではないため、新人にどこまで教えれば良いのか?どこまで教えられているのか?
ということが先輩職員も分からず、二度手間、三度手間になることも多くあります。

また、新人職員にとっても、仲の良い先輩や上司ができにくく、不明点を誰に聞いたら良いのか分からない、ということも起こります。

さらに、先輩職員は全員、又は、ほとんどの人が『新人担当』という状態ではないため、責任が分散してしまい、『自分が教えなくても誰かが教えるだろう』と、新人職員への配慮をしない人も出てきます。

ただでさえ人手が足りないため、本当はしっかり教えたいけど、新人に1から教えている暇なんてない!という声も聞かれます。


要は、新人が育たないのです。


その結果、職場の人間関係に馴染めなかったり、そもそも教えてもらえないという状況から、すぐ離職してしまう新人も多くいます。

もちろん、そんな中でも踏ん張って、なんとか新人教育を頑張っている施設もあります。

ただ、
新人に合わせたシフトが組めるか?
新人への担当をつけたとして、教えている間の他の職員への負担は?

などの問題は、どこの施設でもつきまとっています。

人手が足りない=今の業務に精一杯、
ですので、その中で、さらに人に教える時間を作れるか?
という問題は、どの業種でもあるのではないでしょうか?

将来的には、新人を育てなければならないことは重々理解していても、目の前のキツさ、大変さが先行してしまい、教えたくても教えられない状況もあります。


皆さんは、この問題、どのように考えますか?


私はまず、今働いている、戦力になっている人が辞めないような体制を作り、その上で、新人を入れるべきと考えます。

新しい人材を探すことも大切ですが、今働いている人が『続けたい!』と思わない状況では、新人教育に熱心になれないのではないでしょうか?


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