第45話 災害時の立ち位置

文字数 1,178文字

皆さんは、大地震や水害などの災害があった際、どの段階で『職場へ向かわなければならない』とされていますか?

介護職は『自分と家族の安全が確保できたら、職場へ向かうこと』とされています。

もちろん、状況よっては向かう必要がない場合もあるでしょうが、少なくとも、災害時にはいつでも出勤できるよう、待機しなければなりません。


何故か?


端的に説明すれば、『命を預かる仕事だから』という説明になりますが、もう少し、突っ込んで説明させていただきます。


皆さんにとって、生活する上で必要なモノと言えば、電気やガス、水道といったライフラインが真っ先にあげられると思います。
災害時、復旧が急がれるものとすれば通信や交通等も挙げられるでしょうか。

では、それを踏まえて。
高齢者施設において、災害時に必要なものと言えばなんでしょうか?

当然、電気、ガス、水道は必要ですし、通信もできなかったら困ります。そういった意味では、皆さんと変わりありません。

しかし、電気、ガス、水道が通ったからといって、そこで生活している御利用者は生活できるでしょうか?


できないのです。


そういうことなのです。
ライフラインが復旧したからといって、御利用者は自分ではご飯も食べれませんし、水も飲めません。トイレにも行けません。
そこに、介護職員がいて、はじめて、生活が成り立つのです。

介護職員は、御利用者にとってのライフラインといっても過言ではないのです。

だから、介護職員は、災害時であっても出勤できるように準備しなければなりませんし、必要であれば、すぐにでも職場へ駆けつけなければならないのです。


ちなみに。
余談ですが、避難訓練を行うと、「ここにいる!」「なんで逃げなければならないんだ!」と怒り出し、避難を拒否する御利用者がいらっしゃいます。
災害時、もしも、本当に動こうとしなかったら、縛りあげてでも、無理やり避難させるのが正解なのでしょうか……。そんなことをしている間に、2度目、3度目の余震が起こったら……? その結果、建物が崩壊しそうになったら? 火災が発生したら? 津波が来たら……?
どうするべきなのでしょうか?
それでも、その人を守るべきなのでしょうか?

誰かの意思、意地によって、自身の命が危険にさらされるようなことがあるのなら、
いくら仕事であったとしても、
その人を放り出して逃げたとしても、
責められないと私は思います。

皆さんはどう思われますか?


最近、『〇〇年に一度』という言葉を、毎年のように耳にします。
介護の職場でも日々の防災訓練や研修で、災害に関することを何度も取り扱っています。

皆さんは、自分や他の誰かの命がかかっていることを本気で考えながら、災害想定の訓練を行っていますか?

自分の仕事がライフラインだったとしたら、どうでしょうか?

介護士は、それだけの責任と、覚悟を持って仕事をしています。



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