第27話 家族

文字数 1,193文字

介護職員は、御利用者(お年寄り)を通じて、そのご家族にも関心が向く職業です。

施設種別やサービス内容によって、程度の差はありますが、ご家族と全く無関係である場合はほとんどないと言って良いでしょう。


……皆さんは、自分の親が介護を必要とした場合、どこまで頑張りますか?


いくら親といっても、仕事や趣味など自分自身の生活があり、配偶者や子供がいる場合には、そちらを優先したいと考える方も多いでしょう。
逆に、どれだけ衰えても、親である以上、最大限、頑張りたいという方もいるでしょう。

正解はありません。

介護士という立場に立っているからこそ、介護の大変さはよく分かっています。
そのための福祉サービスがあるわけですから、どこまで自分で頑張るのか?それぞれの考え、それぞれのやり方があって良いと思います。


私自身、介護職に就き、いろんな家庭、いろんなご家族と接することで、視野が広がったと思っています。


私は、特別『家族とはこうあるべき』という考えを強く持っていたわけではありません。
しかし、やはり家族である以上は、最低限、このくらいはするべきではないか?という線引きはありました。

世の中には、私からすると、『そんなこともしてくれないの?』と思わず言いたくなるような、そんなご家族もおられるようです。

例えば……

家族が一緒に暮らしているのに、介護職員へ訪問を頼み、『安否確認』(生きているか? 倒れてないか?の確認)をお願いしたり……。

お風呂に入るのにタオルを用意してくださいとお願いしても、いつまで経っても用意してくださらない家族がいたり……。

ボロボロで穴が空いている、いつから着ているのか分からない衣類を着ていても、全く気にしない家族がいたり……。

水道管が凍っているとお伝えしても、『ペットボトルに水入れて来たから大丈夫でしょ』と、それで済ませてしまったり……。


逆に、とても頑張っておられる家族もいます。


ご自身も障がいを持っていながら、それでも住み慣れた家で過ごさせたいと、頑張っておられる家族がいたり……。

毎週、必ず施設に来られて、少しの間だけでもお話しして、大好きだったというお菓子を置いて行かれる家族がいたり……。

なにかあればすぐに連絡をくださいと仰られ、どんな些細なことでも、細かくメモを取り、職員と共有しながら頑張っておられる家族がいたり……。



皆さんは、自分の親が介護を必要とした時、自分はどうするか?想像していますか?

それぞれの家庭、家族の事情があると思います。その時になってから考えて、もし対応ができなかった場合、どうされますか?


最近、介護疲れ等、悲しいニュースを目にする機会も増えました。


頭の片隅で、ほんの少しでも、自分ならどうするか?考えていても良いかもしれません。


……私は、自分の親が介護を必要とするようになったら、可能な限り早く、福祉サービスを利用したいと思っています。



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