六十四 来訪
文字数 2,215文字
シズクは、キッテがすぐにでも復旧する事を期待しながら、キッテの方に目を向けると、でも、どうしてこんな事が起こったんだろう? と思った。
「ソーサさん。さっきの空のあれ、隕石とか、なんか、そういう、何かが、爆発したからって、いつもはこんなふうになっちゃったりしないよね?」
「はい。こんな事は普通はありません。あの爆発が原因だと言ったのは、あれしか原因が思い浮かばなかったからです。それと、あの爆発が原因だとすると、あれは隕石などの自然現象ではありません。別の、何か、人為的な、何かだと思います」
シズクは、驚いて、ソーサの方を見る。
「AIがやったっていう事? それとも、どこかの国の人達がやったの?」
ソーサが小さく首を左右に振った。
「違うと思います。あの物体の軌道から考えて、あの物体が宇宙から降って来たのは、間違いないはずです」
「宇宙から?」
「そうです」
「まさか、宇宙人とかがいて、何かしようとしている、なんて事はないよね?」
シズクは、自分で、言っておいて、すぐに、そんな事あるはずないじゃん。と思う。
「別の星に、月や火星などに、人類が移住しているのではないかという話は、昔から我らの国では信じられています。もしかしたら、その人類がやったのかも知れません」
「月とか火星に、人類が?」
「そうです。そして、その人類は、いつか、この星に、この地球に、帰って来る事ができるようになる時を、待っている」
シズクは、空を見上げた。シズクの瞳に、また、新たに現れた光の玉が映る。
「また、降って来た」
「これは。……。見ない方がいいです。先ほど同じ物だと思いますので、爆発すると思います」
シズクは、慌てて顔を動かし、ソーサの方を見る。
「同じ物?」
「恐らくですが。断続的に、爆発を起こし、電子機器の復旧を妨げるつもりだと思います」
「どういう事?」
ソーサが、ポーズをとる。
「別の星にいる人類が、地上に来る為ではないかと思います」
「でも、それって、別の星に人類がいるかどうかっていうのは、本当かどうかは分からないんでしょ?」
「はい。そうなのですが、今のこの状況を考えると、その可能性が一番高いと思います」
「そういう、そういう人達が、来るとして。どうして、電子機器を、キッテ達を止めるの? キッテ達が、いない方がいいって事?」
ソーサが、別のポーズをとる。
「最悪の事が起きる可能性も、考慮した方がいいかも知れません」
「最悪な事? それって、どういう事?」
「AI達は、我らを管理し守るように作られています。別の星に行っていた人類が、もしも、そのAI達と敵対するような行為をするつもりだったとしたら、この、電子機器を破損させる為のEMP攻撃も納得できます」
ソーサが言い終えたのとほとんど同時に、空が、真昼のように明るくなった。
「爆発したむ」
「女王様。安心して下さいめ。何があろうと、このチュチュオネイ、女王様と女王様の国と女王様の民達とを守ると誓いますめ」
チュチュが声を上げ、その声に続けるようにして、チュチュオネイが、決意のこもった声で言った。
「チュチュオネイ。ありがと」
シズクは、チュチュとチュチュオネイの方を見て言いながら、キッテ達が動けないんだもん。何かあったら、私がこの子達を守らなきゃ。と強く思う。
「EMP攻撃をしていた者達が、到着したようです」
唐突に、そんな言葉をソーサが言ったので、反射的に顔をソーサの方に向けると、ソーサが空を見上げていて、何かを見つめていた。ソーサは、何を見ているんだろう? と思ったシズクは、ソーサの見ている物を見ようと、空に目を向ける。
「え? なんで? いつの間に?」
空に輝く星々から、地上に降り注いでいた光を遮るようにして、真っ黒い長方形の巨大な物体が、いつの間にかシズク達の頭上に出現していた。
長方形の巨大な物体の、中央部分が内側に向かってへこんだと思うと、その部分に、大きな穴が開く。
「何が起きているの?」
「分かりません」
穴の中から、銀色に輝く人型の何者かが出現すると、ゆっくりと、シズク達のいる場所に向かって降下し始めた。
「なんか出て来たむぅ」
「チュチュ達はナノマの中にいて」
シズクはすぐに戦闘機から降りる。
「ハッチを閉めておきましょう」
ソーサが言って、レバーを操作し、天蓋を下ろそうとした。
「チュチュオネイも行きますめ。チュチュはミーケから降りて、中で待っててめ」
「いや~あ~。チュチュも行くむぅぅ」
「チュチュ。何があるか分からないめ。来ちゃ駄目め」
「ミーケ。お姉ちゃんにチュチュが降ろされる前に、早く外に出ちゃうむぅぅぅぅ」
ミーケがミャッフーンと鳴いて、チュチュとチュチュオネイを乗せたまま、戦闘機から飛び降りた。
「チュチュ。チュチュオネイ。駄目だよ。戻って」
「女王様と一緒にいるむぅぅ」
「チュチュは駄目め。ミーケ。一度中に戻るめ」
ミーケがミャスフーと鳴いて、首を左右に振った。
「ミーケ。言う事を聞いて欲しいめ」
「もう、戻っている時間はありません。我の後ろに隠れていて下さい」
ソーサが、硬い声で言う。
「チュチュ。チュチュオネイ。私達の後ろから、絶対に出ちゃ駄目だからね」
シズクは、目の前に降り立った、銀色の人型の何者かを見つめながらそう言った。
「ソーサさん。さっきの空のあれ、隕石とか、なんか、そういう、何かが、爆発したからって、いつもはこんなふうになっちゃったりしないよね?」
「はい。こんな事は普通はありません。あの爆発が原因だと言ったのは、あれしか原因が思い浮かばなかったからです。それと、あの爆発が原因だとすると、あれは隕石などの自然現象ではありません。別の、何か、人為的な、何かだと思います」
シズクは、驚いて、ソーサの方を見る。
「AIがやったっていう事? それとも、どこかの国の人達がやったの?」
ソーサが小さく首を左右に振った。
「違うと思います。あの物体の軌道から考えて、あの物体が宇宙から降って来たのは、間違いないはずです」
「宇宙から?」
「そうです」
「まさか、宇宙人とかがいて、何かしようとしている、なんて事はないよね?」
シズクは、自分で、言っておいて、すぐに、そんな事あるはずないじゃん。と思う。
「別の星に、月や火星などに、人類が移住しているのではないかという話は、昔から我らの国では信じられています。もしかしたら、その人類がやったのかも知れません」
「月とか火星に、人類が?」
「そうです。そして、その人類は、いつか、この星に、この地球に、帰って来る事ができるようになる時を、待っている」
シズクは、空を見上げた。シズクの瞳に、また、新たに現れた光の玉が映る。
「また、降って来た」
「これは。……。見ない方がいいです。先ほど同じ物だと思いますので、爆発すると思います」
シズクは、慌てて顔を動かし、ソーサの方を見る。
「同じ物?」
「恐らくですが。断続的に、爆発を起こし、電子機器の復旧を妨げるつもりだと思います」
「どういう事?」
ソーサが、ポーズをとる。
「別の星にいる人類が、地上に来る為ではないかと思います」
「でも、それって、別の星に人類がいるかどうかっていうのは、本当かどうかは分からないんでしょ?」
「はい。そうなのですが、今のこの状況を考えると、その可能性が一番高いと思います」
「そういう、そういう人達が、来るとして。どうして、電子機器を、キッテ達を止めるの? キッテ達が、いない方がいいって事?」
ソーサが、別のポーズをとる。
「最悪の事が起きる可能性も、考慮した方がいいかも知れません」
「最悪な事? それって、どういう事?」
「AI達は、我らを管理し守るように作られています。別の星に行っていた人類が、もしも、そのAI達と敵対するような行為をするつもりだったとしたら、この、電子機器を破損させる為のEMP攻撃も納得できます」
ソーサが言い終えたのとほとんど同時に、空が、真昼のように明るくなった。
「爆発したむ」
「女王様。安心して下さいめ。何があろうと、このチュチュオネイ、女王様と女王様の国と女王様の民達とを守ると誓いますめ」
チュチュが声を上げ、その声に続けるようにして、チュチュオネイが、決意のこもった声で言った。
「チュチュオネイ。ありがと」
シズクは、チュチュとチュチュオネイの方を見て言いながら、キッテ達が動けないんだもん。何かあったら、私がこの子達を守らなきゃ。と強く思う。
「EMP攻撃をしていた者達が、到着したようです」
唐突に、そんな言葉をソーサが言ったので、反射的に顔をソーサの方に向けると、ソーサが空を見上げていて、何かを見つめていた。ソーサは、何を見ているんだろう? と思ったシズクは、ソーサの見ている物を見ようと、空に目を向ける。
「え? なんで? いつの間に?」
空に輝く星々から、地上に降り注いでいた光を遮るようにして、真っ黒い長方形の巨大な物体が、いつの間にかシズク達の頭上に出現していた。
長方形の巨大な物体の、中央部分が内側に向かってへこんだと思うと、その部分に、大きな穴が開く。
「何が起きているの?」
「分かりません」
穴の中から、銀色に輝く人型の何者かが出現すると、ゆっくりと、シズク達のいる場所に向かって降下し始めた。
「なんか出て来たむぅ」
「チュチュ達はナノマの中にいて」
シズクはすぐに戦闘機から降りる。
「ハッチを閉めておきましょう」
ソーサが言って、レバーを操作し、天蓋を下ろそうとした。
「チュチュオネイも行きますめ。チュチュはミーケから降りて、中で待っててめ」
「いや~あ~。チュチュも行くむぅぅ」
「チュチュ。何があるか分からないめ。来ちゃ駄目め」
「ミーケ。お姉ちゃんにチュチュが降ろされる前に、早く外に出ちゃうむぅぅぅぅ」
ミーケがミャッフーンと鳴いて、チュチュとチュチュオネイを乗せたまま、戦闘機から飛び降りた。
「チュチュ。チュチュオネイ。駄目だよ。戻って」
「女王様と一緒にいるむぅぅ」
「チュチュは駄目め。ミーケ。一度中に戻るめ」
ミーケがミャスフーと鳴いて、首を左右に振った。
「ミーケ。言う事を聞いて欲しいめ」
「もう、戻っている時間はありません。我の後ろに隠れていて下さい」
ソーサが、硬い声で言う。
「チュチュ。チュチュオネイ。私達の後ろから、絶対に出ちゃ駄目だからね」
シズクは、目の前に降り立った、銀色の人型の何者かを見つめながらそう言った。