七十四 パーティー
文字数 1,556文字
皆が用意してくれていた、適度に装飾されている演壇に、体ががくがくと震えるほどに緊張しながら、上がったシズクは、眩暈を覚えつつ、演壇の前に、集まっている、人類達や動物達やAI達の方に目を向けた。
「シズク女王様から、皆様に向けて、お話がありますわ。しっかりと聞いてもらえると嬉しいですわ」
演壇の横に立っていた、司会者役のカレルが言って、シズクの方に顔を向ける。
「あ、あの、えっと」
何を言おうとしていたのかを、一瞬にして、失念してしまい、シズクは、しどろもどろになって、言葉を切って下を向いた。
「女王様。頑張って下さいめ」
「そんなに緊張するなんて女王様らしくないむぅぅぅぅ。女王様ならできるはずむぅぅぅ」
カレルの横に並ぶようにして立っていた、チュチュとチュチュオネイが言う。
「忘れた。考えていた事が、全部、なくなって、頭の中が真っ白」
シズクは、チュチュ達だけに聞こえるようにと、小さな声で言った。
「メモはどうしたんだダノマ? 書いてたはずダノマ」
「どっかにおいてきちゃったみたい」
「シズク。シズクが言う言葉なら、ナノマはなんでもいいナノマ」
「ナノマ。そう言ってくれて嬉しいけど、そんなのナノマだけだよ」
カレル達がいるのとは、反対側の演壇の横にキッテとともに並んでいた、ダノマとナノマが声をかけて来たので、シズクは、再び、小声で言う。
「ナノマ。メモの内容は、俺が一言一句覚えてる。演壇の机の上に、ナノマシンを使って、文字を書いてやってくれ」
「分かったナノマ」
「キッテ。ナノマ。ありがとう」
机の上にナノマシンが集まって文字を描き出す。シズクは、その文字をじっと見つめると、大きく息を吸った。
「私は、千年間寝ていて、目が覚めたら、世界がこんなふうに変わっていたのだけれど、周りにいた皆のお陰で、結構楽しく過ごしています。それで、今度は、烏ちゃんやミーケ、えっと、動物達が、話とかができるっていう事が分かって、もっと、楽しくなるんだろうなって、思っています。できれば、ここに、集まってくれた皆にも、私と同じように、楽しく過ごして欲しいって思っています。私達にできる事があったら、言って下さい。皆で一生懸命手伝います」
シズクは言い終えると、深く頭を下げた。
拍手が起こり、シズクは嬉しくなって、頭を上げる。
「シズク。頑張ったな」
演壇から下りたシズクの傍にキッテが来て言った。
「すっごい緊張した」
「シズク。お疲れ様ナノマ」
「お疲れダノマ」
「女王様。女王様らしくってよかったと思いますめ」
「チュチュの事は~? チュチュの事も言って欲しかったむぅぅ」
「説得力や、言葉に深みなどはまったくなかったですが、まあまあですかね。年相応という感じでしょうか」
「ソーサ。そういうのはいらないと思いますわ。これは、あくまでも、シラクラシズクが作った言葉なのですわ。わたくしは、それが一番大切だと思いますわ」
シズクの周りを囲むようにして、集まった皆が、思い思いの言葉を、シズクにかけてくれる。
「皆。ありがとう。でも、もう、こういうのは、やりたくない」
「いや、これからもあると思うぞ」
「じゃ、次はキッテの番ね」
「それは駄目だろ」
「女王様命令だから。確か、前に、言う事を聞くとかって言ってなかったっけ?」
「言ってたが、それとこれとはだな」
「じゃあ、やっぱり、順番だから。ここにいる皆でやるの。私は、今日やったんだから、とりあえず、しばらくなし」
シズクは、言って、演壇の端に腰を下ろした。
「まったく。シズクと来たら」
キッテが呆れたような声で言う。
「女王様が、いつもの女王様らしくなって来たむぅぅ。それでこそ、チュチュの国の女王様むぅぅぅ」
チュチュが言って、とても嬉しそうに微笑むと、服を脱いで、ごろごろと転がった。
おしまい。
「シズク女王様から、皆様に向けて、お話がありますわ。しっかりと聞いてもらえると嬉しいですわ」
演壇の横に立っていた、司会者役のカレルが言って、シズクの方に顔を向ける。
「あ、あの、えっと」
何を言おうとしていたのかを、一瞬にして、失念してしまい、シズクは、しどろもどろになって、言葉を切って下を向いた。
「女王様。頑張って下さいめ」
「そんなに緊張するなんて女王様らしくないむぅぅぅぅ。女王様ならできるはずむぅぅぅ」
カレルの横に並ぶようにして立っていた、チュチュとチュチュオネイが言う。
「忘れた。考えていた事が、全部、なくなって、頭の中が真っ白」
シズクは、チュチュ達だけに聞こえるようにと、小さな声で言った。
「メモはどうしたんだダノマ? 書いてたはずダノマ」
「どっかにおいてきちゃったみたい」
「シズク。シズクが言う言葉なら、ナノマはなんでもいいナノマ」
「ナノマ。そう言ってくれて嬉しいけど、そんなのナノマだけだよ」
カレル達がいるのとは、反対側の演壇の横にキッテとともに並んでいた、ダノマとナノマが声をかけて来たので、シズクは、再び、小声で言う。
「ナノマ。メモの内容は、俺が一言一句覚えてる。演壇の机の上に、ナノマシンを使って、文字を書いてやってくれ」
「分かったナノマ」
「キッテ。ナノマ。ありがとう」
机の上にナノマシンが集まって文字を描き出す。シズクは、その文字をじっと見つめると、大きく息を吸った。
「私は、千年間寝ていて、目が覚めたら、世界がこんなふうに変わっていたのだけれど、周りにいた皆のお陰で、結構楽しく過ごしています。それで、今度は、烏ちゃんやミーケ、えっと、動物達が、話とかができるっていう事が分かって、もっと、楽しくなるんだろうなって、思っています。できれば、ここに、集まってくれた皆にも、私と同じように、楽しく過ごして欲しいって思っています。私達にできる事があったら、言って下さい。皆で一生懸命手伝います」
シズクは言い終えると、深く頭を下げた。
拍手が起こり、シズクは嬉しくなって、頭を上げる。
「シズク。頑張ったな」
演壇から下りたシズクの傍にキッテが来て言った。
「すっごい緊張した」
「シズク。お疲れ様ナノマ」
「お疲れダノマ」
「女王様。女王様らしくってよかったと思いますめ」
「チュチュの事は~? チュチュの事も言って欲しかったむぅぅ」
「説得力や、言葉に深みなどはまったくなかったですが、まあまあですかね。年相応という感じでしょうか」
「ソーサ。そういうのはいらないと思いますわ。これは、あくまでも、シラクラシズクが作った言葉なのですわ。わたくしは、それが一番大切だと思いますわ」
シズクの周りを囲むようにして、集まった皆が、思い思いの言葉を、シズクにかけてくれる。
「皆。ありがとう。でも、もう、こういうのは、やりたくない」
「いや、これからもあると思うぞ」
「じゃ、次はキッテの番ね」
「それは駄目だろ」
「女王様命令だから。確か、前に、言う事を聞くとかって言ってなかったっけ?」
「言ってたが、それとこれとはだな」
「じゃあ、やっぱり、順番だから。ここにいる皆でやるの。私は、今日やったんだから、とりあえず、しばらくなし」
シズクは、言って、演壇の端に腰を下ろした。
「まったく。シズクと来たら」
キッテが呆れたような声で言う。
「女王様が、いつもの女王様らしくなって来たむぅぅ。それでこそ、チュチュの国の女王様むぅぅぅ」
チュチュが言って、とても嬉しそうに微笑むと、服を脱いで、ごろごろと転がった。
おしまい。