第７８話　優衣に恋の予感

【ハーモニー社・社長室】

真彩と秘書、ＰＣに向かい作業している。

優衣「何かさー、ホント、幸せそうな顔してるよね」

真彩「えっ？」

優衣「その嬉しそうな顔……何もないのに微笑んでるもんね……」

真彩「えっ？　私、また変？」

優衣「いやいや、変じゃなくて、また悠ちゃんとの事、思い出してるのかな？……って思ってさぁ……想像しちゃうよ」
　　　
すると真彩、自分の両手で自分の頬っぺたを叩く。

真彩「シャキッとしないと！　油断したらデレデレしちゃうから、気を付けよっと！」
と言うと、眉間に皺寄せ、口を噤む真彩。

優衣「しっかし、愛されてる女は、幸せだねー」
　
真彩、優衣の言葉にニヤッと笑う。

真彩、急に、
真彩「あっ……そう言えば……」
と言って、優衣の顔を見る。

真彩「紹介した人、どうだった？」

優衣「あぁ……」

真彩「んん？　その顔は……半々か。まぁ、一回会っただけだもんね」

優衣「うん……」

真彩「未だ、元カレ、引き摺ってるんだ……」

優衣「マーちゃんは私の心、全てお見通しだね。流石っす」

真彩「当たり前ジャン。優衣ちゃんは私のお姉ちゃんでしょ？！　そんな近しい人の心、見抜けない訳ないジャン！」

優衣「いやいや、普通の人は見抜けませんから！　マーちゃんは神通力・霊能力あるから見抜けるけど、凡人は、人の心なんて分かんないから！」

真彩「あぁ……そっか……」

優衣「うん。でも、マーちゃんはやっぱり凄いよね。仏様と入我我入できる訳だから……」

真彩「あぁ、真正寺で修行した時だけね」

優衣「いやいや、日常でも遺憾なく発揮してますから。霊能力プラス宇宙からの特殊能力でね」

真彩「あぁ、でも、そんなこと人に言ったらドン引きされて、バカにされるのがオチだけどね。目に見えない存在は、信じない人が殆どだから……科学者なんか特にね」

優衣「そんな人達、気にしなくて良いよ。マーちゃんはその能力で、これまでに沢山の人を救って来たんだから。凄い事だよ？！」

真彩「そうだね、もっともっと多くの人を救けたいもんね。世の中、苦しんでる人だらけだからね。世界中の人に幸せになって欲しい……」

優衣、大きく頷く。

真彩「で？　樋口さん、どうなの？　何回か会う内に、元カレの事なんて忘れるよ。　あの人、ホント、良い人だから」

優衣「……んーん……」

真彩「あぁ……心底愛した人に浮気されて、また裏切られるのが怖いんだ……」

優衣「……」
優衣、口を尖らせる。

真彩、優衣の目をじっと見る。

優衣「悠ちゃんの大学時代の先輩って言ってたけど、一回会っただけじゃー、どんな人かよく分からないしね……」

真彩「そりゃーそうだ。でも、この前会った時ピピッって感じたよ。お似合いだって」

優衣「そうなの？」

真彩「うん。二人のオーラが似てて、あぁ、和合するなって感じた。あぁ、悠斗も同じこと言ってた」

優衣「えぇー？！　マーちゃんと悠ちゃんが言うなら間違いないよね？！」

真彩「うん。間違いないよ。ホント、二人とも温かい色だった。交わった時、濁らず綺麗な色になるなって感じたもん」

優衣「そうかー、そう言われると、話してて惹かれるものがあったから、そうなんだろうね」

優衣、ちょっと嬉しそう。

真彩「うん。恋愛を恐れず、前を向いて頑張れ！」

優衣「はぁ？　どの口が言ってる？　ちょっと前まで、もう恋愛なんてしない。男なんて面倒だからコリゴリ！　一人が楽で良いって言ってた人が？！」

すると、
真彩「てへへ……」
と、真彩、頭を右に傾け、右手でテヘペロし、お茶目に笑う。

そんな真彩を見て、優衣も笑っている。