第53話 えだまめ、誘惑に勝てる?

文字数 1,467文字

【ハーモニー社・食堂】

真彩と優衣、食堂奥の、周りに人が居ない席に座り、昼食を摂っている。

優衣「悠ちゃん、もう大丈夫なのかな?」

真彩「あぁ、MRIの結果、異常無しだったし、大丈夫でしょう。出張にも行けてるし……」

優衣「えっ? 出張? 大丈夫なのかなぁー?」

真彩「優衣ちゃん、心配性だなぁー」

優衣「だってー……心配だよ。脳が原因で倒れた訳だから……ほら、後遺症とか? 腫瘍だって、どこに行ったのか分かんないんでしょ?」

真彩「大丈夫だよ!」

優衣「あぁ、まぁ、マーちゃんが大丈夫って言うなら大丈夫か……良かった」
   
優衣、嬉しそうな顔をする。

真彩「あのー、優衣ちゃんは、私から『大丈夫』っていう言葉が欲しかったんだね?」

優衣「そうだよ。マーちゃんが『大丈夫』って言うなら、間違いなく大丈夫だから」
と言うと、優衣、真彩に微笑む。

優衣、箸をトレイに置く。

優衣「ご馳走様でした!」
と言いながら、合掌する優衣。

そして、直ぐにタブレットPCを操作する。

優衣「あっ、えだまめさん、更新してる。珍しいなぁー、いつもは夕方に更新するのに……」

真彩「えっ?……えだまめさん、フォローしてるの???」

優衣「うん。ウチの会社応援してくれる人は全てフォローしてますよ! この人、マメにアップしてるから、何か、毎日見るのが楽しみになっちゃって……」

真彩「へーえ……よくそんなしょっちゅうアップする時間あるなぁー?」

優衣、えだまめのブログを読み始める。

優衣「どれどれ? 〈東京一極集中。何でこんな狭い所に約千四百万人? ちなみに大阪府は八百八十二万人だったと思う。東京は、人・人・人……空から見ると、『天空の城ラピュタ』でムスカが言った、『人がゴミのようだ』の言葉を思い出す。僕は今、出張で東京に来ている。ある女優さんのご指名受け、夜までお付き合いする事となった。女優さん、あまりにも綺麗で、可愛くて魅力的。そして、容赦ない彼女の誘惑……半端ない色気……ヤバイです……〉ですって。良いなぁー、東京かー……」

真彩「んん? 優衣ちゃんは東京が良いの?」

優衣「あぁ、たまに行くと刺激貰えるからね。やっぱり大都会だから、大阪とは違うもんね。あぁ、でも、たまに行くから良いのであって、私、あんな人混み嫌だから、やっぱり大阪が良いわ。まぁ、でも、大阪も梅北行ったら、うんざりする時、あるけどね……」

真彩「ふーん……」

優衣「えっ? マーちゃんは?」

真彩「まぁ、どこでも住めば都だからなぁー。でも、家族や友達が沢山いる大阪が一番好きかな?」

優衣「だよね……」

真彩、微笑む。

優衣「しっかし、えだまめさん、きっとハンサムガイなんだろうね。綺麗な女優さんに誘惑されるなんて……」

真彩「そうなんだろうね。もう、いっその事、元カノのこと忘れて、その女優さんと結ばれたら良いのにね!」

優衣「あっ、コメントがどんどん投稿されてる。皆んな、元カノのこと諦めて、その女優さんと付き合えば良いのにって。そりゃー誰でもそう思うよね」

真彩「……」

優衣「あぁ、この人は、〈見込み無い恋を夢見るより、現実に、目の前にいる綺麗な女優さんの方が絶対良い!〉……ってコメントしてる。えだまめさん、どうするんだろう?」

真彩「どうするか、楽しみだね。私がもし男だったら、絶対、綺麗な女優さん選ぶわ。誘惑に勝てっこないもん。逆に、綺麗で可愛い女優さんの誘惑に勝てる人って、いるのかねぇー?」

優衣「あぁ、私もそうだな。もし男だったら絶対に誘惑に負けると思う。きっとイチコロだろうなぁー」
と言って、笑う優衣。

真彩、微笑んでいる。
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