第48話 親友・紀香
文字数 4,226文字
【ハーモニー社・高槻店カフェ】
夕方、高槻店カフェで、佐々木紀香(24歳)と真彩が、端のテーブル席で話をしている。
紀香、鞄から可愛いキャラクターの袋を取り出し、真彩に渡す。
紀香「はい、お土産!」
真彩「えぇ? 何???」
紀香「真彩の大好きなアイリッシュ珈琲豆」
真彩「えぇー?……重たいのに?……」
紀香「真彩、大好やろ?」
真彩「うん。大好き。有難う! 嬉しい。この香りに癒されるんだよね……日本じゃ、あんまり売ってないから……」
と、真彩、笑顔で紀香に言う。
紀香、また紙袋を鞄から取り出す。
紀香「それから、テレサおばあちゃんから預かって来たクッキー。本当は、得意のラザーニア持たそうとしたんよ?! でも、ラザーニアは税関で絶対没収されるよ!……って言ったら、チョコチップクッキーになった。長持ちせんから早よ食べや!」
と言って、紀香、微笑む。
真彩「ラザーニアは、パパとママと悠斗は好きだけど、私、何せ肉がダメだからなぁ。その事、前に言ったはずなんだけどなぁー……」
紀香「じゃー、忘れてんだ……」
と、言って笑う紀香。
真彩「チョコチップクッキーは大好きだからこっちで良かった。あぁ、テレサ、元気にしてた?」
紀香「うん。元気だったよ。あぁ、でも、娘さんが働き過ぎだから心配だって言ってた」
真彩「そっかー、前から心配してたもんね……でも、テレサが元気で良かったー。でどうだったの? アメリカの旅は。三カ月近く居たんでしょ?」
紀香「うん。友達の所、転々として、もう、最高だったわ。行きたかった所に行けたし。あっ、そうそう、カリフォルニアとユタ州でUFO見たよ?! あぁ、今はUAPか」
真彩「えぇー、ホント???」
紀香「うん。ホント。この目でしっかり見たよ?! でもその話は置いといて……悠斗兄ちゃんとはどうなったん?」
真彩「どうなったって……別に変わりないけど?……」
紀香「進展ないの?」
真彩「あのねー、進展あっちゃーダメなの! だって、兄妹なんだから!」
紀香「アトランタ行った時、香織も真彩のこと心配してたわ。お兄さん忘れる為に、またそんなに好きでもない男と付き合ってるんじゃないか?……って……」
真彩「香織の所にも行ったんだ……香織、元気だった?」
紀香「うん。元気、元気。何か、友達と一緒に起業するって言って頑張ってたわ。真彩の影響、かなり受けてるね。でも、何のビジネスかよー分からんわ」
真彩「へーぇ、頑張ってるんだ……嬉しいなぁー。私も、励みになるわ」
紀香「真彩の近況言ったら、めちゃ心配してたわ。また、リモートで皆んなで喋ろう?」
真彩「ホントやね……」
紀香「時差有るし、皆んな忙しいから、中々やけど……第一、真彩が一番忙しいからなぁー。で? 未だお兄さんの事、拒否してるん?」
真彩「……うん……」
紀香「なんなんやろうね? その障害っていうか何て言うか……でも、勿体無いなぁーあんなにイケメンで性格も良い人なんて、滅多に居ないよ?! それに真彩の事、一番よく解ってて、ずーっと愛してくれてるなんて……この贅沢者めが!」
真彩「Hmm……」
紀香「ねぇ、自分の本当の想い、ぶつけたら?」
真彩「やだよ、今更……そんなの出来ない。ぶつけたところで結婚出来る訳ないし……どうする事も出来ないんだったら、それならきっぱりと忘れた方が、過去を引きずらずに、お互い、前に進めて良いジャン!」
紀香「まぁ、その気持ち、分かるけどさぁー。でも、ホント、真彩って強情だよね。一度決めたら竹みたいに真っ直ぐ行くね。でも、『何でもやってみないと分かんないよ?!』って、真彩がいっつも言っるのに……」
真彩「あのねー、もう、無責任なこと言うの止めてくんない? 兄妹で結婚出来る訳ないんだから! それに悠斗にはちゃんと綺麗で性格良い彼女がいるし……近々、結婚すると思う。その人と……」
紀香「えっ? そうなん? あぁ、ひょっとして、えーっと、紗季さんって人???」
真彩「うん。だから、私は敢えて、悠斗から距離空けてるのに……」
真彩、言葉に詰まる。
紀香「いやー、でも、お兄さん、それはカモフラージュじゃない? だって、あんなに真彩の事、愛してたんだから…‥‥」
真彩「もうその話はいいよ! で? そっちはどうなん? エレックと別れて傷心の旅だったんでしょ?」
紀香「それがさー、コロラド行った時に、丁度エレックから連絡あってさー」
真彩「えぇ?」
紀香「虫の知らぜってやつ?」
真彩「いや、虫の知らせって、良くない事が起こりそうって感じる事だけど?」
と、突っ込みを入れる真彩。
紀香「あっ、そっか……」
紀香、苦笑い。
真彩「えっ? ブロックしたんじゃなかった?」
紀香「あぁー……しようとしたんだけどね……どうしても指が嫌がって、タップ出来なかったんだよね……」
真彩「指が嫌がってって……紀香の脳がそうさせたんでしょ?!」
紀香「てへっ」
と、てへぺろする紀香。
紀香「エレック、今、ユタ州に住んでてさー、隣の州だからって会いに来てくれたんよ」
真彩「えぇー? マジ? 隣の州とは言え、かなり遠いよね?……なんせアメリカだから……」
紀香「へへっ」
紀香、嬉しそうな顔。
真彩「えっ? まさか? 復縁した?」
紀香「You are right!」
真彩「Why does that happen? 別れたんとちゃうの?」
紀香「うーん……私の事、忘れようとしたけど、忘れられなかったんだってさー」
と、笑顔で言う紀香。
すると、真彩、
真彩「きゃー!」
と言って、両手の掌を頬に当てる。
そして、真彩と紀香、笑顔ではしゃぐ。
紀香「でも、お互い、遣りたい事あるから、この先、どうなるか分かんないけどね。結局、予定変更して、一週間、エレックの家に居たんよ」
真彩「へーぇ、それは良かったねー」
紀香「もう、ラブラブだったわ。遠距離で中々会えないけど、何かさ、障害がある方が逆に燃えるね!」
と、紀香、嬉しそうに言う。
紀香「遠距離恋愛って難しいけど、でもリモートで話せるから……文明の利器に感謝だわ」
真彩「うーん……でも、肌と肌、触れたいよね……」
紀香「えっ?」
紀香、思わず真彩の顔を見る。
真彩「手繋ぎたいよね……抱かれたいよね……」
真彩、どこか遠くを見ながら言ってる感じで言う。
紀香「おぉ……そりゃーそうでしょ。愛し合ってたら当然……」
真彩「大好きな人と、朝起きてキスしてハグして、一緒にお風呂に入って背中流し合って、セックスして、一緒のベッドで手繋いだり、抱き合って寝たいよね……」
紀香「んん? 今、悠斗お兄ちゃんのこと想って言ったよね?」
紀香の言葉に、真彩、体をのけぞる。
真彩「……んな訳ないでしょ?!」
と、口を尖らせて言う真彩。
紀香「いやいや、そうだよ、絶対……」
真彩「……違うもん……」
紀香「真彩、貴女が素直になったら、また大好きなお兄さんと毎日、一緒に手繋いだり、抱き合って寝れるんだよ?! 肌と肌触れ合って、セックスも出来るんだよ?!」
真彩、腕を組む。
真彩「……今更、もう無理だし‥‥‥過去の事だから‥‥‥」
紀香「自分の心、もっと言葉にして出さないと! 自分はこう思ってるけど、でも現実はこうだから、だから悩んでるとか、ちゃんと自分の悩んでる事を口に出して、相手にぶつけないと! 真彩はいっつも自分で考えて自分で結論出して、自分の心の中に封印して、我慢する癖があるから……」
紀香、真彩をじっと見る。
紀香「出生の事なんて、気にすんな! 悠斗兄ちゃんは、ありのままの真彩を愛してると思うよ?! お父さんも、親戚の人も、きっと分かってくれるよ!」
真彩「ノンちゃんって、私の事、ホントよく解ってるね……」
紀香「当たり前でしょ?! 親友なんだから!」
真彩「アドバイス、有難う。でもさー、私、パパ大好きだから、パパを悲しませたくないんだよね。今迄、パパに逆らった事ないし……」
紀香「えっ、この世の中で父親に逆らった事ない人なんているんだ……私なんて、逆らってばっかりだったわ……」
真彩「えぇーそうなん? ウチのパパ、優しいし、私が幸せになるようにちゃんと考えてくれてるし、小さい頃もあちこち連れてってくれて、可愛がってくれたし……一杯愛情貰ってるから、逆らうなんて考えられないわ……」
真彩、困惑顔。
紀香「ふーん……」
真彩、紀香の目を見て、
真彩「ねぇ、今更だけど、何で悠斗と私が付き合ってたって分かったの? 悠斗も私も誰にも言ってなくて、禁断の恋だから、人にバレない様に気を付けてたのに、中二の時に、いきなり『お兄さんと付き合ってるでしょ?!』って言われて、マジ、心臓が飛び出る位、ビックリしたから……」
紀香「あぁ……だって、真彩がウチで遊んでて、ちょっと暗くなったら、いっつもお兄さんが迎えに来てくれてたジャン……」
真彩「あぁ、そうだね。いっつも迎えに来てくれたね……ボディーガードしてくれてたから……」
紀香「だから、仲が良い兄妹だなぁ?……って思ってたから、冗談で『お兄さんと付き合ってるでしょ?!』って言ったら、真彩の顔色変わって、何も言い返さなかったから……」
真彩「えっ?……あれって、冗談で言ったの???」
紀香「そうだよ?! だって、兄妹でまさか本当に付き合ってるなんて、思ってもみなかったから……冗談に決まってるジャン」
真彩「……そうだったんだ……私はてっきり見抜かれてると思ったから‥‥‥」
紀香「見抜かれてるって‥‥‥私は貴女みたいな能力ないよ?! ふっ‥‥‥でも、あの時、香織もマジ、ビックリしてたね……」
真彩「あぁ……ドン引きされた……だからもう、二人に嫌われたと思った……」
紀香「バカだね。嫌う訳ないジャン。香織も私も、真彩の事、大好きなのに……」
真彩「……有難う……」
紀香「でも、真彩からそうなった経緯聞いて、ホント、ビックリしたよ。辛かったよね‥‥‥」
真彩「……うん……」
紀香「だから、お兄さんと真彩が結婚出来る様にって、香織とずっと応援して来たのに、なのにですねー、急に『別れた』って聞いた時は、めちゃショックだったわ。香織も凄い残念がってたもんね‥‥‥」
真彩「あぁ……でも、その事、秘密にしてくれてて、紀香と香織には感謝してるよ」
紀香、真彩に微笑む。
紀香「当たり前ジャン。親友なんだから!」
改めて、もう一度、『親友』というワードを使う紀香。
紀香の優しさを感じる真彩。
真彩「有難う……」
と言って、紀香に微笑む真彩。
夕方、高槻店カフェで、佐々木紀香(24歳)と真彩が、端のテーブル席で話をしている。
紀香、鞄から可愛いキャラクターの袋を取り出し、真彩に渡す。
紀香「はい、お土産!」
真彩「えぇ? 何???」
紀香「真彩の大好きなアイリッシュ珈琲豆」
真彩「えぇー?……重たいのに?……」
紀香「真彩、大好やろ?」
真彩「うん。大好き。有難う! 嬉しい。この香りに癒されるんだよね……日本じゃ、あんまり売ってないから……」
と、真彩、笑顔で紀香に言う。
紀香、また紙袋を鞄から取り出す。
紀香「それから、テレサおばあちゃんから預かって来たクッキー。本当は、得意のラザーニア持たそうとしたんよ?! でも、ラザーニアは税関で絶対没収されるよ!……って言ったら、チョコチップクッキーになった。長持ちせんから早よ食べや!」
と言って、紀香、微笑む。
真彩「ラザーニアは、パパとママと悠斗は好きだけど、私、何せ肉がダメだからなぁ。その事、前に言ったはずなんだけどなぁー……」
紀香「じゃー、忘れてんだ……」
と、言って笑う紀香。
真彩「チョコチップクッキーは大好きだからこっちで良かった。あぁ、テレサ、元気にしてた?」
紀香「うん。元気だったよ。あぁ、でも、娘さんが働き過ぎだから心配だって言ってた」
真彩「そっかー、前から心配してたもんね……でも、テレサが元気で良かったー。でどうだったの? アメリカの旅は。三カ月近く居たんでしょ?」
紀香「うん。友達の所、転々として、もう、最高だったわ。行きたかった所に行けたし。あっ、そうそう、カリフォルニアとユタ州でUFO見たよ?! あぁ、今はUAPか」
真彩「えぇー、ホント???」
紀香「うん。ホント。この目でしっかり見たよ?! でもその話は置いといて……悠斗兄ちゃんとはどうなったん?」
真彩「どうなったって……別に変わりないけど?……」
紀香「進展ないの?」
真彩「あのねー、進展あっちゃーダメなの! だって、兄妹なんだから!」
紀香「アトランタ行った時、香織も真彩のこと心配してたわ。お兄さん忘れる為に、またそんなに好きでもない男と付き合ってるんじゃないか?……って……」
真彩「香織の所にも行ったんだ……香織、元気だった?」
紀香「うん。元気、元気。何か、友達と一緒に起業するって言って頑張ってたわ。真彩の影響、かなり受けてるね。でも、何のビジネスかよー分からんわ」
真彩「へーぇ、頑張ってるんだ……嬉しいなぁー。私も、励みになるわ」
紀香「真彩の近況言ったら、めちゃ心配してたわ。また、リモートで皆んなで喋ろう?」
真彩「ホントやね……」
紀香「時差有るし、皆んな忙しいから、中々やけど……第一、真彩が一番忙しいからなぁー。で? 未だお兄さんの事、拒否してるん?」
真彩「……うん……」
紀香「なんなんやろうね? その障害っていうか何て言うか……でも、勿体無いなぁーあんなにイケメンで性格も良い人なんて、滅多に居ないよ?! それに真彩の事、一番よく解ってて、ずーっと愛してくれてるなんて……この贅沢者めが!」
真彩「Hmm……」
紀香「ねぇ、自分の本当の想い、ぶつけたら?」
真彩「やだよ、今更……そんなの出来ない。ぶつけたところで結婚出来る訳ないし……どうする事も出来ないんだったら、それならきっぱりと忘れた方が、過去を引きずらずに、お互い、前に進めて良いジャン!」
紀香「まぁ、その気持ち、分かるけどさぁー。でも、ホント、真彩って強情だよね。一度決めたら竹みたいに真っ直ぐ行くね。でも、『何でもやってみないと分かんないよ?!』って、真彩がいっつも言っるのに……」
真彩「あのねー、もう、無責任なこと言うの止めてくんない? 兄妹で結婚出来る訳ないんだから! それに悠斗にはちゃんと綺麗で性格良い彼女がいるし……近々、結婚すると思う。その人と……」
紀香「えっ? そうなん? あぁ、ひょっとして、えーっと、紗季さんって人???」
真彩「うん。だから、私は敢えて、悠斗から距離空けてるのに……」
真彩、言葉に詰まる。
紀香「いやー、でも、お兄さん、それはカモフラージュじゃない? だって、あんなに真彩の事、愛してたんだから…‥‥」
真彩「もうその話はいいよ! で? そっちはどうなん? エレックと別れて傷心の旅だったんでしょ?」
紀香「それがさー、コロラド行った時に、丁度エレックから連絡あってさー」
真彩「えぇ?」
紀香「虫の知らぜってやつ?」
真彩「いや、虫の知らせって、良くない事が起こりそうって感じる事だけど?」
と、突っ込みを入れる真彩。
紀香「あっ、そっか……」
紀香、苦笑い。
真彩「えっ? ブロックしたんじゃなかった?」
紀香「あぁー……しようとしたんだけどね……どうしても指が嫌がって、タップ出来なかったんだよね……」
真彩「指が嫌がってって……紀香の脳がそうさせたんでしょ?!」
紀香「てへっ」
と、てへぺろする紀香。
紀香「エレック、今、ユタ州に住んでてさー、隣の州だからって会いに来てくれたんよ」
真彩「えぇー? マジ? 隣の州とは言え、かなり遠いよね?……なんせアメリカだから……」
紀香「へへっ」
紀香、嬉しそうな顔。
真彩「えっ? まさか? 復縁した?」
紀香「You are right!」
真彩「Why does that happen? 別れたんとちゃうの?」
紀香「うーん……私の事、忘れようとしたけど、忘れられなかったんだってさー」
と、笑顔で言う紀香。
すると、真彩、
真彩「きゃー!」
と言って、両手の掌を頬に当てる。
そして、真彩と紀香、笑顔ではしゃぐ。
紀香「でも、お互い、遣りたい事あるから、この先、どうなるか分かんないけどね。結局、予定変更して、一週間、エレックの家に居たんよ」
真彩「へーぇ、それは良かったねー」
紀香「もう、ラブラブだったわ。遠距離で中々会えないけど、何かさ、障害がある方が逆に燃えるね!」
と、紀香、嬉しそうに言う。
紀香「遠距離恋愛って難しいけど、でもリモートで話せるから……文明の利器に感謝だわ」
真彩「うーん……でも、肌と肌、触れたいよね……」
紀香「えっ?」
紀香、思わず真彩の顔を見る。
真彩「手繋ぎたいよね……抱かれたいよね……」
真彩、どこか遠くを見ながら言ってる感じで言う。
紀香「おぉ……そりゃーそうでしょ。愛し合ってたら当然……」
真彩「大好きな人と、朝起きてキスしてハグして、一緒にお風呂に入って背中流し合って、セックスして、一緒のベッドで手繋いだり、抱き合って寝たいよね……」
紀香「んん? 今、悠斗お兄ちゃんのこと想って言ったよね?」
紀香の言葉に、真彩、体をのけぞる。
真彩「……んな訳ないでしょ?!」
と、口を尖らせて言う真彩。
紀香「いやいや、そうだよ、絶対……」
真彩「……違うもん……」
紀香「真彩、貴女が素直になったら、また大好きなお兄さんと毎日、一緒に手繋いだり、抱き合って寝れるんだよ?! 肌と肌触れ合って、セックスも出来るんだよ?!」
真彩、腕を組む。
真彩「……今更、もう無理だし‥‥‥過去の事だから‥‥‥」
紀香「自分の心、もっと言葉にして出さないと! 自分はこう思ってるけど、でも現実はこうだから、だから悩んでるとか、ちゃんと自分の悩んでる事を口に出して、相手にぶつけないと! 真彩はいっつも自分で考えて自分で結論出して、自分の心の中に封印して、我慢する癖があるから……」
紀香、真彩をじっと見る。
紀香「出生の事なんて、気にすんな! 悠斗兄ちゃんは、ありのままの真彩を愛してると思うよ?! お父さんも、親戚の人も、きっと分かってくれるよ!」
真彩「ノンちゃんって、私の事、ホントよく解ってるね……」
紀香「当たり前でしょ?! 親友なんだから!」
真彩「アドバイス、有難う。でもさー、私、パパ大好きだから、パパを悲しませたくないんだよね。今迄、パパに逆らった事ないし……」
紀香「えっ、この世の中で父親に逆らった事ない人なんているんだ……私なんて、逆らってばっかりだったわ……」
真彩「えぇーそうなん? ウチのパパ、優しいし、私が幸せになるようにちゃんと考えてくれてるし、小さい頃もあちこち連れてってくれて、可愛がってくれたし……一杯愛情貰ってるから、逆らうなんて考えられないわ……」
真彩、困惑顔。
紀香「ふーん……」
真彩、紀香の目を見て、
真彩「ねぇ、今更だけど、何で悠斗と私が付き合ってたって分かったの? 悠斗も私も誰にも言ってなくて、禁断の恋だから、人にバレない様に気を付けてたのに、中二の時に、いきなり『お兄さんと付き合ってるでしょ?!』って言われて、マジ、心臓が飛び出る位、ビックリしたから……」
紀香「あぁ……だって、真彩がウチで遊んでて、ちょっと暗くなったら、いっつもお兄さんが迎えに来てくれてたジャン……」
真彩「あぁ、そうだね。いっつも迎えに来てくれたね……ボディーガードしてくれてたから……」
紀香「だから、仲が良い兄妹だなぁ?……って思ってたから、冗談で『お兄さんと付き合ってるでしょ?!』って言ったら、真彩の顔色変わって、何も言い返さなかったから……」
真彩「えっ?……あれって、冗談で言ったの???」
紀香「そうだよ?! だって、兄妹でまさか本当に付き合ってるなんて、思ってもみなかったから……冗談に決まってるジャン」
真彩「……そうだったんだ……私はてっきり見抜かれてると思ったから‥‥‥」
紀香「見抜かれてるって‥‥‥私は貴女みたいな能力ないよ?! ふっ‥‥‥でも、あの時、香織もマジ、ビックリしてたね……」
真彩「あぁ……ドン引きされた……だからもう、二人に嫌われたと思った……」
紀香「バカだね。嫌う訳ないジャン。香織も私も、真彩の事、大好きなのに……」
真彩「……有難う……」
紀香「でも、真彩からそうなった経緯聞いて、ホント、ビックリしたよ。辛かったよね‥‥‥」
真彩「……うん……」
紀香「だから、お兄さんと真彩が結婚出来る様にって、香織とずっと応援して来たのに、なのにですねー、急に『別れた』って聞いた時は、めちゃショックだったわ。香織も凄い残念がってたもんね‥‥‥」
真彩「あぁ……でも、その事、秘密にしてくれてて、紀香と香織には感謝してるよ」
紀香、真彩に微笑む。
紀香「当たり前ジャン。親友なんだから!」
改めて、もう一度、『親友』というワードを使う紀香。
紀香の優しさを感じる真彩。
真彩「有難う……」
と言って、紀香に微笑む真彩。
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