第4話 気になる人達

文字数 1,284文字

【営業部2課】

営業部2課の派遣社員・柴田茜(25)がPCを操作しているが、操作が思う様に行かず、焦っている。

茜(心の声)「Prt Scr のキーあるけど貼り付け出来ない。Excelに貼り付けたいのに何で? ウチのパソコンなら出来るのに……」

すると、背後から真彩の声。

真彩「スクリーンショットはFN+Alt+End でも出来るよ?! あぁ、でも、PTR SCボタン
押すだけで出来る様にしたいよね……」

茜、後ろを振り向き、声の主である真彩を見る。

真彩「スタートをクリックして、設定からアクセビリティー、キーボード、プリントスクリーンを使用して画面キャプチャを開くをONにしたら出来るはずなんだけど、古いPCで出来なかったのもあるからなぁー……」

真彩、一人でブツブツ言っている。

真彩「取り敢えず、FN+Alt+End 押して、ペイントに貼り付けて、範囲指定したのをExcelにコピペしたら?」

茜、真彩の言う通りにマウスを動かしてみる。

茜「あっ、出来た! 有難うござい……」  

茜、真彩に礼を言う為に後ろを振り向くと、そこにはもう真彩の姿はない。
真彩を探すと、営業部の通路を、風を切るかの様に、速足で歩いている。


【喫煙所】

昼の休憩時間に建物外の喫煙所で、設備管理課の平井課長が、のんびりと喫煙を楽しんでいる。

平井「ふぅ……」

口から煙を静かに出し、やっと煙草を吸う事が出来た喜びに浸っている平井。

そこに、真彩、足を忍ばせ、平井の背後から突然話し掛ける。

真彩「美味しいですか?」

平井、突然の真彩の言葉に、ビクッとなる。
そして平井、真彩を見る。

平井「あぁ、お疲れ様です。美味しいです……」

真彩「イライラした時って煙草を吸いたくなるけど、毎日吸ってる人って、脳波の、α波が低下して、幸せを感じ難くなってるそうですよ?」

平井「えっ?……」

真彩「だから、煙草吸って脳波を元に戻そうとして、スッキリした感覚になって、ストレスに煙草が効くって思っちゃうんですよね。ニコチンの依存は中々、止められないですよね……」

平井「えぇ……あ、はい……止められないです……」

すると真彩、平井の上半身をじっと見る。
そして、

真彩「咳、痰、動悸、胸の痛み、発熱とかありませんか???」

平井「あぁ、ちょっと咳が出るんで、風邪引いたみたいです」
と言いながら、喉を触る平井。

真彩「北嶋内科に行って、夕方の診察受けて下さい!」

平井「いやいや社長、風邪如きで病院なんか行かないですよ?!」

真彩「いや、平井課長は風邪ではなく、肺だと思います。今なら間に合います」

平井「えっ? ちょっと大げさですよ。ウチは癌の家系でもないし、大丈夫です」

真彩(心の声)「おっちゃん……人の言う事、素直に聞けよ!」

真彩「社長命令です。必ず夕方、行く様に!」

平井、真彩の言葉にフリーズする。

平井(心の声)「えぇー……風邪如きで?」

真彩(心の声)「絶対、行けよ!」

真彩、平井の顔に自分の顔を近付け、メンチを切る。

平井、真彩にガンを飛ばされた感覚になり、思わず身をのけ反る。

真彩の強い圧に負ける平井。

平井「はい……夕方……行きます……」

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