第73話 シャスタ山事件

文字数 1,440文字

【高槻レオマンション・806号室】

シャワーを掛かり、バスロープ姿の真彩と悠斗。
ソファにくっついて座り、足を絡め合い、時々、キスをしながらテレビを見ている。

悠斗がチャンネルを切り替えると、丁度、特番のミステリー番組が放送されていたので、超常現象やミステリーに興味ある悠斗と真彩は、番組を食い入るように見ている。

色々な不可解な事件が紹介され、再現ドラマも用意されている。

番組終盤となった時、真彩と悠斗、驚く。

真彩「えっ、不可解な行方不明事件って……」
   
字幕の文章を読み出す悠斗。

悠斗「カリフォルニア・シャスタ山。小さな子どもが突如としていなくなり……数時間後にどこからともなく現れる……」

真彩「これって……?」

悠斗「あぁ、俺達が体験したのだ……」   

真彩「ママが見てたら大変! どうしよう?……ママに電話しよ」

悠斗「うん。電話した方が良い」

真彩、慌ててスマホを手に取り、亜希に電話する。

悠斗、テレビの音量をオフにする。

真彩、スマホのスピーカーフォンボタンをタップし、悠斗の顔を見ながら亜希が電話に出るのを待っている。

悠斗も、真彩の顔をじっと見ている。

呼び出し音、七回目で亜希が電話に出る。

真彩「あっ、ママ、今何してる?」

亜希(声)「今?……お風呂から上がったとこ。何かあった?」

真彩「ううん、何も無い。声が聞きたくなっただけ」

亜希(声)「嬉しいこと言ってくれるねー。マーちゃん、だーい好き。悠斗とは? 仲良くやってる?」

真彩「うん。仲良くやってるよ」

亜希(声)「もう、二度と悠斗と離れちゃダメだよ?! 意地張らないで、可愛い女でいなさいよ!」

真彩「はーい。うん……うん……はーい。分かった。じゃー、お休み!」

真彩、電話を切る。
そして、悠斗の顔を見てニッコリする。

悠斗「母さん、シャスタ山って聞くだけでダメだもんな。俺達が居なくなった時、どんだけ恐怖だったか……可哀想に……」

真彩「洞窟で眩しい光見たのは記憶にあるんだけど、私あんまり覚えてないんだよね……」

悠斗「うーん……不思議な異空間にいる感じだったな。多分、あそこ、portal だと思う」

真彩「異次元の入口?」

悠斗「うん」

真彩「まぁ、それ以外に考えられないよね」

悠斗「うん。母さんの叫び声が聞こえた瞬間、洞窟が消えて、目の前に泣いてる母さんが居たんだよな……」

真彩「でも、あの日から特殊な能力、得たんだよね……」

悠斗「ああ」

真彩「そう言えば、紀香がユタ州に一週間滞在した時にUAP見たって言ってた。カリフォルニアでも見たって言ってたし、あの子よく見るんだよね」

悠斗「へーぇ、ユタ州って……北東部、超常現象が多発するスキンウォーカー牧場あるよな」

真彩「あぁ、私、航空工学博士の Travis S. Taylorさんのファンなんだよね」

悠斗「えぇ?……」
   
悠斗、不機嫌な顔になる。

悠斗「あんな五十過ぎたおっさんのどこが良いんだよ!」

真彩「えぇー?……カッコいいジャン。賢くて勇敢で。立ち向かって行く姿に魅かれるんだよね」

悠斗「ああいうタイプが好きなんだ。ふーん……」

悠斗、不機嫌な顔。

真彩、悠斗の顔を見る。

真彩「えっ? ひょっとして、焼きもち妬いてる?」

悠斗「妬いてないもん……」
悠斗、口を尖らせ、拗ねている。

真彩、悠斗の顔をじっと見る。

真彩(心の声)「悠斗、可愛い……」
   
真彩、悠斗の顔を見て微笑む。

真彩「悠斗、大好きだよ」

真彩、悠斗の唇に優しくキスをする。

悠斗、真彩の行為を喜ぶ。

真彩の顔を見て微笑む悠斗。

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