第3話 大神殿と創造主
文字数 1,667文字
創造主が自分を呼んでいる。
そう父から言われたクレスは、次の日には父に連れられて創造主リアスに逢うことになった。
創造主、空に浮くこの世界を創った方だ。
クレスはどうやってこの島々が浮いているか、想像もつかない。
それはやはり創造主の力で浮いているとしか考えられなくて、その力に敬服する。
大神殿のシンボルカラーである深緑色の制服を身にまとったバレルと、神官学校の深緑色の制服をきたクレスは、大神殿へ向かっていた。
大神殿の敷地には、昨日降った雪が新雪の絨毯をつくっていた。
木々は白い帽子をかぶっている。
花壇に植えてある冬の花々にも、小さく雪が載っていた。
今、主島では冬の季節がまわってきていたから、雪が降るほど冷え込むのだ。
創造主リアスは大神殿の奥の宮にいる。
大神殿は二階建てで、外壁は白く、複雑で芸術的な造りをしていた。
これまでクレスは一度も創造主には会ったことがなかった。
しかし、一般の人にはあまり姿を見せないが、確実にいる方だと、この世界のだれもが知る存在でもあった。
白亜の大神殿の豪華な門をくぐったバレルとクレスは、敬礼してくる警備部の神官たちをやり過ごし、大神殿を通り越して奥の宮まで進む。
大神殿はこの世界の中枢機関なので、とても広い敷地面積を持っていた。
建物の前方に広い広場をもち、そこには小さな林がある。そこ林には祠があって、それがなんの祠なのかクレスは知らない。
バレルに聞いても教えてはくれなかった。
今はそれらも白い雪に覆われている。
創造主のいる宮まで来ると、バレルは大きく声をあげた。
「宮の門をあけよ」
警備部の神官によって、重々しい扉が開けられる。
その奥の天井の高い広い空間は、聖殿になっていた。
ステンドグラスから橙色の光が室内に入り、静寂に包まれた神聖な場所。
その奥の椅子に、創造主は座っていた。
長く白い髭、背は高く髪も長くて白かった。
魔法使いのような、身長よりも高い木の杖をもっている。
老齢に見えるが、何千年と生きている存在なので、実際に歳をとっているかは謎だった。
バレルとクレスはその人物の前に膝をついて最敬礼で頭を下げる。
「顔をあげよ」
リアスが重々しくバレルとクレスに声を掛けた。
見た目よりもなかなか若々しい声だ、とクレスは思った。
「この者が次期大神官のクレスか。なかなか活発な息子だと聞いている」
「はい。この者が私の後継者、クレス・クレウリーです」
活発、とはどの程度まで噂が届いているのか……己の素行の悪さにクレスは冷や汗をかく。
「ではクレス」
「はい!」
大きな声で返事をすると、リアスは満足気に笑った。
「お前に次期大神官としての任務を与えよう。この世界の季主 たちのことは知っていよう?」
「はい。春島の春主 ルファさま、夏島の夏主 レイファルナスさま、秋島の秋主 アレイゼスさま、冬島の冬主 ネイスクレファさま。その四方によって浮島は季節を一定に保たれていると学びました」
「そうだ。今回はこの者たちの元へわたしの書いたこの手紙を届けて欲しいのだ。そして、四人から返事をもらってきて欲しい」
「……四人の季主さまの元を尋ねるんですね。世界をまわれと」
「そうだ」
「かしこまりました」
創造主はにこりと笑顔を見せると、隣に立っていた神官の持っているトレーから、手紙を二通取り出した。
「これが季主に見せる手紙、そしてもう一通が季主に逢えるように取り計らう通行手形だ」
一通ずつリアスはクレスに手紙を渡していった。
クレスはその手紙を大事に手の中に持つ。
「期限はないが、なるべく早く。帰ってきたら速やかに私に返事の手紙を渡すように」
そう言うと、リアスはまた元の椅子に座った。
クレスは最敬礼でまた頭を下げると、バレルと一緒に宮を退出した。
そう父から言われたクレスは、次の日には父に連れられて創造主リアスに逢うことになった。
創造主、空に浮くこの世界を創った方だ。
クレスはどうやってこの島々が浮いているか、想像もつかない。
それはやはり創造主の力で浮いているとしか考えられなくて、その力に敬服する。
大神殿のシンボルカラーである深緑色の制服を身にまとったバレルと、神官学校の深緑色の制服をきたクレスは、大神殿へ向かっていた。
大神殿の敷地には、昨日降った雪が新雪の絨毯をつくっていた。
木々は白い帽子をかぶっている。
花壇に植えてある冬の花々にも、小さく雪が載っていた。
今、主島では冬の季節がまわってきていたから、雪が降るほど冷え込むのだ。
創造主リアスは大神殿の奥の宮にいる。
大神殿は二階建てで、外壁は白く、複雑で芸術的な造りをしていた。
これまでクレスは一度も創造主には会ったことがなかった。
しかし、一般の人にはあまり姿を見せないが、確実にいる方だと、この世界のだれもが知る存在でもあった。
白亜の大神殿の豪華な門をくぐったバレルとクレスは、敬礼してくる警備部の神官たちをやり過ごし、大神殿を通り越して奥の宮まで進む。
大神殿はこの世界の中枢機関なので、とても広い敷地面積を持っていた。
建物の前方に広い広場をもち、そこには小さな林がある。そこ林には祠があって、それがなんの祠なのかクレスは知らない。
バレルに聞いても教えてはくれなかった。
今はそれらも白い雪に覆われている。
創造主のいる宮まで来ると、バレルは大きく声をあげた。
「宮の門をあけよ」
警備部の神官によって、重々しい扉が開けられる。
その奥の天井の高い広い空間は、聖殿になっていた。
ステンドグラスから橙色の光が室内に入り、静寂に包まれた神聖な場所。
その奥の椅子に、創造主は座っていた。
長く白い髭、背は高く髪も長くて白かった。
魔法使いのような、身長よりも高い木の杖をもっている。
老齢に見えるが、何千年と生きている存在なので、実際に歳をとっているかは謎だった。
バレルとクレスはその人物の前に膝をついて最敬礼で頭を下げる。
「顔をあげよ」
リアスが重々しくバレルとクレスに声を掛けた。
見た目よりもなかなか若々しい声だ、とクレスは思った。
「この者が次期大神官のクレスか。なかなか活発な息子だと聞いている」
「はい。この者が私の後継者、クレス・クレウリーです」
活発、とはどの程度まで噂が届いているのか……己の素行の悪さにクレスは冷や汗をかく。
「ではクレス」
「はい!」
大きな声で返事をすると、リアスは満足気に笑った。
「お前に次期大神官としての任務を与えよう。この世界の
「はい。春島の
「そうだ。今回はこの者たちの元へわたしの書いたこの手紙を届けて欲しいのだ。そして、四人から返事をもらってきて欲しい」
「……四人の季主さまの元を尋ねるんですね。世界をまわれと」
「そうだ」
「かしこまりました」
創造主はにこりと笑顔を見せると、隣に立っていた神官の持っているトレーから、手紙を二通取り出した。
「これが季主に見せる手紙、そしてもう一通が季主に逢えるように取り計らう通行手形だ」
一通ずつリアスはクレスに手紙を渡していった。
クレスはその手紙を大事に手の中に持つ。
「期限はないが、なるべく早く。帰ってきたら速やかに私に返事の手紙を渡すように」
そう言うと、リアスはまた元の椅子に座った。
クレスは最敬礼でまた頭を下げると、バレルと一緒に宮を退出した。