帆を上げろ! (1区 1km-2km)
文字数 1,870文字
まだ雨がちらつく中、定刻通り13時5分に、第6回みなと駅伝がスタート。
選手達は、競技場内の400mトラックを1周した後、横浜市みなと陸上競技場(コレットマーレ)を飛び出し、港町へ繰り出していく。
街では、横浜港の汽笛が鳴り響く。
解説の松田さんによれば、
・前年優勝のローズ大
・大エース神宮寺エリカ擁するジャスミン大
・双子のエース三浦姉妹擁するデイジー大
の3強
そしてそれらの牙城を崩しにかかる大学との争いが見所とのこと。
アナ
「1号車のゲスト解説は、昨年までローズ大学に在籍し、現在は石英化学・陸上競技部所属の中山凛々子さんです。
中山さん今日はどうぞよろしくお願いします。」
アナ
「中山さんは大学時代、このみなと駅伝に4度出場し、4度とも優勝を果たしています。
中山さん自身、このみなと駅伝には、どのような印象がありますか?」
中山
「はい、この大会で、常に勝ちを期待される中で勝ち続けられたことは、今後世界と戦う上でも活きてくると思うので、凄く成長させてもらえた、思い入れのある大会です」
アナ
「あぁ、そうですか!
中山さんは、このみなと駅伝の2区と5区の区間記録保持者でもあります。」
松田
「中山さんの作った記録は、ね、もう誰も破れないんじゃないかって言われてるんだけど、
本人はそれについてはどう?」
中山
「はい、今でも自分の記録を…、次の世代が目標にしてくれるのは本当に嬉しいことですし、
記録を破るような選手にも出てきてほしいなと思っています。」
松田「あぁ、いいですね!もう破れるもんなら破ってみろ、っていう感じですか?」
中山「
そう…ですね、はい(苦笑)。
期待して、見ていきたいと思います。」
アナ
「さぁそして先頭集団がまもなく、1キロの通過を迎えます。
いま、1キロの通過、あっ、3分27秒。
松田さんこのペースは速いんですか遅いんですか?」
松田
「凄く遅いと思います。
昨年の1キロ通過が3分17秒でしたから、
それより10秒も遅いということで、
皆さんまだ牽制している感じですね。」
アナ
「中山さんはこのペース、どうご覧になってますか?」
中山
「はい。いま少し向かい風になっているのと、やはり去年まで毎年1区を引っ張っていたローズ大の姫路さんが居ないということで、誰がペースを作るのか、探り合いになっているのかなと思います。」
アナ
「なるほど、例年この1区は、序盤からローズ大の姫路薫が引っ張って、主導権を握っていましたもんね。
ですが今年はその姫路は2区にエントリーされました。その辺りの影響が今後どうなっていくか。」
松田
「姫路さんは、9月の全日本インカレの後に少し右脚の甲を痛めて、一時練習できない時期があったそうですね。
監督の鬼塚さんも、今の姫路の状態は一番良い時の5割くらいかな、なんて話もされていました。」
アナ
「えぇ。今回、ローズ大学の1区を任されたのは、画面に映っている、この佐々木です。」
アナ
「関東インカレ1部1500mのチャンピオン。ですから、スピードには非常に自信を持っています。
あのー中山さんも、昨年まではこの佐々木、チームメイトでしたが、どんな選手ですか?」
中山
「はい。佐々木は普段結構、癒し系というか、周りにも気を配れるいい後輩で、私も仲がいいんですけど」
中山
「競技のほうでは、今まで駅伝では出番が少なかったですが、力はあると思うので、今日は実力を発揮してほしいです。」
松田「あのー、二つ年上のお兄さんの影響でね、見かけによらず、小さい頃からプロ野球の広島東洋カープの大ファンなんですってね。
それで、最近は強くなっちゃって、全然チケットが取れないんです、なんて嘆いていましたよ。」
アナ
「集団は2キロを通過しました、6分51秒。
選手達は、とちのき通り西の交差点を右に曲がり、今度は海側に進路を取ります。」
アナ
「松田さん、この1キロ3分24秒と、少しペースは上がりはしましたが、それでもこの大学女子駅伝、1キロ大体3分20秒というのを基準に考えると、やはりまだスローペースということになるでしょうか?」
松田
「はい、おそらくほとんどの学校が、区間賞狙いではなく、大体先頭から何秒以内で渡せばいいよ、というようなことを言われているんだと思います」
アナ
「なるほど、そうなると誰が前に出るかしばらく様子見が続きそうですね。
さあ、この後、どこでレースが動くでしょうか。第6回みなと駅伝です。」
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