女王の逆襲 (2区3km-4km)
文字数 2,098文字
立花監督
「(おっ・・・?心枝のお母さんからメールだ。)」
カントクお疲れ様です、3キロのところで見てました。
三人の中で一番後ろでしたが、すごくいい表情でした!
初めて見たかも^^
アナ
「という、黒田のインタビュー、伝えてもらいました。
いまゲスト解説の中山さんから、「なるほど」という声も聞かれましたが。」
中山
「はい、目標が優勝ではなく3位以内というのを聞いて、
黒田さんを一番長い5区ではなく1区に回したことに納得しました。」
アナ
「やはりシードを狙うとなると、1区の重要性というのは大きくなってくるんでしょうか?」
中山
「そうですね、もちろん残りの区間との兼ね合いもあるとは思うんですが、まず3位より下の学校を振り落としてしまう、っていうのも1つ手なのかなと。」
アナ
「ほぉ、なるほど。
黒田の1区起用には、そうした意図があったかもしれませんね。」
松田
「あのー、中山さんね、戦力の整った強い大学にいたのにね、きちんと理論までしっかりしていてね、ちゃんと考えてる感じが私、いいなって思いました。」
アナ
「やはりそのあたりは、さすが現在5連覇中、ローズ大学の柱を担ってきた中山さんです。
さあそして、画面は3号車ですが。
そのローズ大学は、今どのあたりを走っているでしょうか?」
3号車実況
「はい!
14位からスタートした姫路なんですが、
今この5人の集団をごそっと抜いて、
これでローズ大学、9位に浮上してきました!」
他大学の監督
「(んだよ、姫路ケガしてたんじゃねーのかよ。)」
ローズ大・鬼塚監督
「(くそっ。1区で1分30秒もつけられちゃ、直線に入っても1号車が見えて来ねえ。
姫路には、賭けも同然で、行けるとこまで行ってもらうしかねえか。)」
サポートで来てくれている短距離部員
「監督。この、姫路さんって人、どうしてインコースを走らないんですか?」
サポートで来てくれている短距離部員
「ここの区間、カーブが続いてるから、さっき映ってたジャスミンの藤井さんみたいにインコースぎりぎりを走らないと、遠回りな気がするんですけど。」
立花監督
「そういわれてみると、さっきから不思議なコース取りだな…。
なんというか、フラフラしているような。
…そうか!傾斜か!」
立花監督
「道路自体が傾いているんだよ。
この三渓園のあたりは、2キロ近くも続く長いカーブになっていて、
車がスピードに乗って遠心力で外に膨らみすぎるのを防ぐために、道路に微妙な傾斜がつけられているんだ。」
立花監督
「運転中は気づかないぐらいの傾斜でも、ランナーの脚は繊細だ。
そんな路面を走り続けたら、下になっているほう、つまりカーブ内側になっているほうの脚には確実に負担がかかってくる。
姫路はきっとその負担を分散させるため、わざと蛇行したような走りをして、消耗を防いでいるんだ。
(まったく、驚いた。強いチームってのはここまで徹底されてるもんなのか。)」
サポートで来てくれている短距離部員
「コース取りといえば、さっきから心枝ちゃんも…。
集団の中で一人だけ離れたコースを走ってる…。
やっぱり心枝ちゃんも同じ作戦なんですか?」
立花監督
「俺から特に指示はしてない。
今の今まで、傾斜の事なんて考えもしなかったし。」
サポートで来てくれている短距離部員
「えー!そんなんでいいんですか?」
立花監督
「しょうがないだろおー!俺だってこの駅伝初めてなんだから。
(もしかして、蓮李が何か言ってくれたかもしれないな。)」
3号車実況
「ローズ大の姫路、3キロの通過がなんと、9分20秒でした。9位まで浮上しています、ローズ大学です!」
アナ
「という姫路の映像、いまご覧いただいていますが。
3キロを9分20秒といいますと、1キロ平均、約3分6秒から7秒で推移していることになります。
松田さん、この2区、8km近くあるコースでは、ちょっと考えられないようなペースで追い上げていることになりますよね?この姫路。」
松田
「はい。姫路さん、もうここはオーバーペース承知で行ってると思いますね。
私達もね、必死に前を追う姫路さんってちょっと見慣れてないですよね。」
アナ
「あぁ、確かにそうですねえ。
姫路の場合は1年生の時から3年連続で1区を務めましたが、常に先頭を走っているイメージですからね。
4年目にして初めて、ビハインドでタスキをもらっているこの姫路の走り。
この後どこまで追い上げるでしょうか。」
アナ
「さて、もう一度順位を整理しますと、
1位デルフィ、2位デイジー、
3位集団にネモフィラ・ジャスミン・アイリスの3校、
6位から8位も混戦で、もうこの後ろ、9位にローズ大がきているという展開。」
アナ
「ディフェンディングチャンピオンのローズ大学が、1区から大きく遅れるという波乱の展開になっていますが、この2区、エース姫路でいよいよ反撃開始と、いった形になっていきそうです。
第6回みなと駅伝です。」
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