三者三様 (6区 3km)
文字数 1,643文字
アナ:
という、バイクからの
リポートもありましたが、
小泉が…、
井上の表情をうかがいながら、
横に並びました。
松田さん、これ、
小泉がここから一気に抜いていく
ということはあるんでしょうか?
松田:
あのー、小泉さんのほうも、
いったん離されてから、結構
力を使って追いついてきてますので、
ここはいったん休んで、
この先のフランス坂の登りかどこかで、
一気に勝負を決めに
くるんじゃないでしょうか?
アナ:
先頭の二人は間もなく
3キロを通過します。
手元の時計で…、
ジャスミンの井上が、9分49秒。
中山さん、
このペースについてはどうですか?
中山:
はい。先ほど松田さんからも
お話があったように、
最初の1キロは速く入って、
それ以降は落ち着いたペースで
走れていると思います。
後半、登りもありますので、
本来はこのくらいのペースで
いいんじゃないかなと思います。
立花監督:
はーい、柚希、3キロ9分43ー。
今、先頭だからな。テレビにも映ってるぞ!
いいか、後ろにもローズ大が
いるんだからねー。
あんまり牽制しないで、
井上さんと二人で引っ張ってくんだよ。
アナ:
お、いま、「テレビに映ってるぞ」
という監督の声掛けも聞こえてきました。
松田:
今、レース中だから、苗字で
よそよそしく呼んでましたけど、
井上さん、実はね、
立花監督のいとこにあたるそうで。
松田:
今なんかも、
小泉さんと井上さんの二人に対して、
打倒ローズ大で頑張るぞ、
っていう感じで、声掛けてましたね。
アナ:
ああ、そうだったんですね!
その井上は、
ここまで順調なペースで来ている
ということですが、
アイリスの小泉は、
それ以上のペースで、
後ろから追いついてきました。
松田:
小泉さんは、高校時代、
神奈川の名門の白桃女子高校で、
今日ジャスミンの1区走った月澤さん、
それからデイジーの4区の花田さんと、
全国高校駅伝も経験してますから、
しっかり落ち着いてペース配分をして、
確実に差を詰めてきましたよね。
注目選手 持ちタイム比較
16'02:緑川 万里 (3年・デルフィ大)
16'05:五十嵐 蘭 (2年・ローズ大)
16'14:小泉 柚希 (2年・アイリス大)
16'20:井上 美幸 (4年・ジャスミン大)
アナ:
この両者、5000mのタイムでは、
ほぼ互角なんですが、
高校時代の3000mのタイムでは
差があります。
画面左側のアイリスの小泉は、
陸上の名門白桃女子高校の
主力として活躍し、
9分13秒という、
素晴らしい記録を引っさげて、
入学してきました。
アナ:
一方画面右側、ジャスミンの井上は、
入学時のベストは10分11秒。
ですが大学に入ってから努力を続け、
4年目にしてレギュラーの座を掴みました。
松田:
このまま並走が続くようなら、
やっぱり最後の登り坂が、
勝負のポイントに
なってくるんじゃないでしょうかね。
アナ:
中山さんからご覧になって、
先頭の二人の走り、
どのように映っていますか。
中山:
そうですね。おそらく
皆さん最後の登り坂を想定して、
起用されているとは思うんですが。
走りのタイプに関しては結構違うので、
そこが面白いなと思って見ていました。
アナ:
ほお!
ちなみに、この二人のタイプは、
どのように分析されていますか?
中山:
はい。
小泉さんのほうは走りが非常に軽くて、
接地も柔らかいですし、
天性のモノを感じます。
登り坂もスイスイ進んで行きそうです。
中山:
一方で井上さんは、ピッチ走法で、
重心が低めで安定感がある印象で。
非常に、お手本のようなフォームですね。
アップダウンにも対応できそうです。
中山:
そしてまた、
後ろから追って来ている、
ローズの五十嵐さんは、
腕の位置が低くて、
ダラーンと下げていて、
バネで登っていく感じですので。
前の二人ともまた違いますね。
アナ:
なるほど。
見れば見る程に興味深い、
三者三様の選手起用ですね。
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