だからキミを選んだ (6区 6.4kmタスキリレー)
文字数 2,113文字
アナ:
それでは映像、先頭です。
ジャスミンの井上が、6区、
最後の難所をクリアしました。
松田:
あのー、レース始まるまではね、
ジャスミン大学っていうと、
神宮寺さんと、周りの下級生が、
注目されがちでしたけど、
終盤の6区、
こんなに頼もしい4年生が
まだ控えていたんですね!
凄くこのチームの完成度の高さ
みたいなものを感じますね。
アナ:
やはりこうした、
ひたむきにやってきた4年生がいると、
下級生も育っていくんでしょうね。
松田:
はい。やっぱり4年生がしっかりしている
チームは強いです。
アナ:
井上いわく、自分達は入学した時から
谷間の世代と言われていた。
強い先輩の笠に隠れ、
強い後輩にレギュラーを
奪われる形になって、
ほとんどの部員は引退、
つまり部を去ってしまいました。
ただ自分は、一つ歳下の後輩、
神宮寺エリカのアドバイスで
強くなっていくジャスミンの
チームの姿が好きで、
部に残ったと言います。
アナ:
神宮寺キャプテンは、
自分のような遅いランナーにも、
決してキツく当たることは
しませんでした。
自分の持っている力を、試合で、
最大限に出し切るにはどうしたらよいか、
そういった視点で常に接してくれた。
そう井上は話しました。
彼女が入学してきて、
練習に対する意識も変わったそうです。
練習のレベルが上がって
確かに身体はキツくなった。
それでも、毎日成長を実感して、
本気でやるからこそ、
楽しくなっていったんです。
そんな風にも語ってくれました。
今日はその4年間の集大成の走り!
ここまで見せています!
アナ:
さあ! いよいよ、アンカーの待つ、
第6中継所が見えてきました!
それでは、山手中継所、お願いします。
中継所リポート:
はい。
雨がまだ残る、薄暗い空の下、
スタートしましたみなと駅伝。
数時間前まで、横浜の街を覆っていた、
分厚い雲を吹き飛ばすかのように!
若き学生達のエネルギーが
躍動しています!
中継所リポート:
6区最大の難所を、一番最初に越えて、
姿を現してきたのは、
緑のタスキ、ジャスミン大学です!
中継所リポート:
待ち受けますのは、又吉綾、2年生。
■1位 井上 美幸 (4年)
→ 又吉 綾 (2年) ジャスミン大
中継所リポート:
見事先頭を守りきりました! 4年生の井上!
今年は第6中継所、ジャスミン大学、
トップでタスキリレー!!!!
悲願の初優勝へ向けて!
2年生の又吉、スタートしていきました!
その頃、柚希は
既にローズ大の五十嵐に抜かれ、
3位に後退していた。
自分を抜き去った五十嵐の背中が
どんどん遠ざかっていく。
立花監督:
そうだ。本来なら6区は、
このチームで唯一の経験者でもある
茉莉に任せたいところなんだが、
手術の影響で
登り坂にはまだ不安がある。
そこで、柚希に任せたいと思う。
立花監督:
確かにあの坂はキツい。
でも、そこでライバルチームの選手を
抜き去って1位でタスキリレー!
…なーんてできたら、一躍
注目の的だろうなあ!
立花監督:
よおーし、
じゃあ今日はこれで終わりにするぞ!
夕暮れ時。電灯が点き始める坂道。
練習後、一人、ダッシュを繰り返す柚希。
アナウンス:
監督・マネージャーの皆様は、
ゴール地点へ向かうバスに
乗り込んでください。
立花監督:
(柚希、お前を6区に選んだのは、登りが得意だからだけじゃない。)
立花監督:
(めんどくさがりのフリして、)
(誰も見てないところで努力してて。)
立花監督:
(余裕ぶってても、本当は全然余裕なくて。)
(誰よりも負けず嫌いで。)
(…そして往生際が悪い。)
柚希:
(応援してくれるのは有難いけど、注目の的って言ったって、こういうことじゃないわよ! アタシが望んでるのは!)
(バス内のテレビの音)
小泉さん、いま、
一番傾斜がキツいところですけど、
少し息を吹き返しましたね!
中継所リポート:
さあ続いて、2位でやってくるのは、
ローズ大学です!
順位が入れ替わっています!
[区間記録]
20'39 荒井 美咲 (第4回・ローズ大)
中継所リポート:
さあ、区間記録の更新はちょっと
厳しくなりましたが、それでも
先頭との差をかなり縮めました!
■2位 五十嵐 蘭 (2年)
→桜井 ひまり (4年) ローズ大
中継所リポート:
先頭ジャスミン大とは24秒差!
そしてアイリスも来た!
■3位 小泉 柚希 (2年)
→ 栗原 楓 (1年) アイリス大
中継所リポート:
2年生小泉から、
7区唯一、1年生の!
栗原にタスキが渡りました!
中継所リポート:
大きく右手の拳を上げて
スタートしていきました!
先頭からは33秒の差!
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